経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

2017.05.24

心の底に想いがあるブランドは、きっとうまくいく。

【効果が出なければブランド構築じゃない。第3回】

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「ブランドをつくろう!」と思った時に、何から始めればいいのか悩む経営者は多い。おそらく、外部のさまざまなパートナーを検討するだろう。そこでブランディングのプロは何を考え、どのようなところに留意してブランドづくりを行っているのか。独自のビジネスモデルを持ち、成長意欲の高い企業群がクライアントに多い、株式会社パラドックスの執行役員ブランディング・プロデューサーで経営管理修士(MBA)、TCC会員でもある鈴木祐介氏にその極意を聴いた。

 

因果関係次第で、会社の未来も決まる。

——前回、理念づくりは「判断軸をつくり、覚悟を決める作業だ」という話がありました。もう少し具体的にお話いただけますでしょうか。

例えば、メガ盛りで愛される「景勝軒」さまのプロジェクトがありました。そこで食べたことで、心も元気になっていく、そんなブランドになりたい、ということで最終的に「「たくさんの心」を満腹にする」、「思い出になる「心の味」をつくる」というふたつの言葉が出てきました。どちらもニュアンス的にはこの会社らしい。ただし、どういう因果関係にするかで、会社の未来が変わってくると思います。目指す未来であるビジョンをどっちにして、そのためにすべきこと=ミッションをどちらにするか。もちろんアドバイスはできますし、するのですが、最終的に、私たちには決められないことです。実際、会社の方向性を決める大事な決断である、ということをお伝えしながらメンバーに話した時、全員の目の色が変わりました。理念を決めていくというのは、経営の判断をつくるということなのです。

 

心の底にある熱い想いを引き出していく。

——プロジェクトを進めていく中で、うまくいく、いかないの分岐点はあるのでしょうか。

うまくいく場合は、経営者や決済者に意志がはっきりとある場合や、心の奥底に実現したい熱い思いはあるけど、それを言語化できていなかったり、社員に言えなかったりしている場合などです。プロジェクトを進めていけば、メンバー内の理解も進むので、浸透も早くなります。一方、うまくいかないというか、時間がかかる場合はその逆です。迷いやどうしていきたいのかの想いがない人や経営者が社員に気を遣う人だと、どうしても時間がかかります。特徴として、私たちのクライアントはオーナー系が多いので、このプロジェクトで、絶対に成長させるんだ、という覚悟が決まっている人は多いですね。だから私たちの仕事は、メンバーの意見も踏まえて、経営者の心の奥底にある想いを引き出し、決断を下せるように材料をしっかりと揃えてあげることが重要であると考えています。プロジェクト後、ブランド構築がうまくいっているところは、経営者や事業の責任者にはっきりとした志が出来上がり、みんな命を懸けてやっていますよ。

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八方美人はやっぱり嫌われる。

——ターゲットの設定に関しては、明確にしたがらない企業が多いと思いますが、その点はいかがですか。

理念づくりから行う企業ブランディングの場合、あくまで自分たちの「想い」から出発すべきだと考えています。誰に好かれる、好かれないの問題ではないからです。事業や商品ブランディングほど細かく設定はしませんが、おおまかな方向性としてこんな人に好かれたい、ということの言語化まで行います。事業や商品のブランディングの場合は、ペルソナまで設定します。年齢や、年収や、性別など事前にしっかり考えてきてもらいます。確かに、ターゲット像をペルソナまで明確にしたがらない企業が多いと思います。しかし、八方美人な人ってやっぱり嫌われますし、熱狂的なファンは、必ず誰かにおすすめしてくれます。自分たちで、誰に好かれて、誰に嫌われるか。それを決めた上で、そこに市場があるかどうか、調査すべきです。例えば、何の仮説もなく、今の流行を調査して、その中からブランドを生み出そうとしても、すぐにコモディティの波に埋もれてしまうでしょう。ブランドをつくるということは、市場にイノベーションを起こすことでもあるのですから、調査に躍らされるのではなく、自分たちは誰に好かれたいのか、をしっかり考える必要があると思います。

 

第5回「目指す姿に会社を成長させるエンジンが、ブランド構築だ。

第4回「その言葉は、企業の未来を切り拓くか。

第2回「理念を言語化することは、判断軸をつくり、覚悟を決めること。」

第1回「ビジョンが決まったら、すぐに走り出せる準備ができているか。

 

聴き手・構成:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

鈴木 祐介

株式会社パラドックス 執行役員
鈴木 祐介

ブランディング・プロデューサー。慶應義塾大学法学部卒業後、広告代理店へ。その後、パラドックスへ移籍。創立期から会社を支えるメンバーのひとり。企業、商品、採用領域のブランドの土台づくりから、最終アウトプットまで一気通貫した、きめ細かいプロデュース、ディレクションを得意とする。グロービス経営大学院大学修了(MBA)。日本BtoB広告賞、福岡コピーライターズクラブ(FCC)新人賞など受賞多数。東京コピーライターズクラブ(TCC)会員。

株式会社パラドックス

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