口コミ、直接説明が結局一番効果がある。
ブランディングの課題は、素早い知名度の上げ方。
弊社ではまちいくプロジェクトという事業を行っています。山梨県富士川町で「本菱」という日本酒を製品開発から行い、今年の4月で2年目の発売を行いました。プロジェクトとしてはこれから3期目に入ろうとしています。埼玉県戸田市では飲食店を直営で30店舗以上地元を中心に展開する株式会社ロットさんとともに、「かけはし」という純米吟醸・微発泡の日本酒を発売しました。そして山梨県都留市ではネクタイブランド、「TSURUIKI」を発表しています。いずれもブランディングの観点から地元の企業はもちろん、広くメンバーを募集し、製品化、ブランド化を行うプロジェクトです。
まちいくふじかわに関しては昨年7回に渡って「無名の酒がなぜ売れたか」を書いていますので、ぜひ興味ある方はご参考ください。さてこれらの商品開発やブランド化をしていて思うのは、結局マーケティングやブランディングなどの活動は、直接の営業活動(人的販売)のアシスト役にしかならない、ということです。まちいくふじかわの本菱に関しては、弊社で在庫を持ち、個人のみなさんに主にネットで販売しています。まれに飲食店もありますし、今年からは卸売の免許も取得できたので今のところ、山梨の2店舗の酒屋さんで取り扱ってもらっています。
プレスリリースを積極的に出し、フェイスブック広告やもちろん買ってくださったみなさまにDMを出したりもしますが、一番購買の確度が高いのは、口コミであり、直接の説明です。「じゃあ買ってみよう」となることが多いと感じています。ということは、結局そういう直接に伝えるときの補助として、マーケティングやブランディングはある、ということになります。これがもっと大きな組織で当てはめてみれば、ブランディングを行っていくことで、現場の営業担当が「話しやすく」なり、それにともなって相手に「伝えやすくなる」というメカニズムが働いていると思われます。
例えば、アサヒやサントリーなど、大手飲料メーカーで言えば、バンバンと広告を打ちます。販促も店頭でたくさんやっています。しかしそれも結局、飲食店やスーパーで「扱ってもらう」ための補助なのです。そうでなければ、現場に営業担当をたくさん配置する必要はありません。CMを行うことで、知名度を上げ、指名購買を引き出すことを各社はねらっているわけですが、それも店頭で選ばれやすくするためであり、そうであれば大手流通も「買う」わけです。理由は売れるから。
そういうサイクルに気づくのは、自分たちでモノを作り、売るメーカーのみなさんであれば当たり前でしょうが、「ブランディング」という実態のない商売をしてきた自分としては、実感を持ってそれが体験できたことはとても大きなことでした。やはり人から人へ伝わっていくことが一番強く、信頼性が高いわけです。そのためにブランディングはあるのです。数分でそのブランドの魅力を濃密に語るために、ブランド・ビジョンではあるのだと思います。
ではどのようにして知名度を上げていけばいいのか。その手っ取り早い方法はプロモーションなわけですが、すべての企業がそれを行えるわけではありませんし、予算の勝負ですでに大手企業には負けてしまいます。手っ取り早く知名度を上げる方法とはなんなのか。それが可能になれば、ブランド・ビジョンをしっかり決め、一貫性のあるブランドであれば、一度手にとってさえもらえれば、ファンになってくれる確度は高まります。
そこがブランドにとっての今後の課題なのだと思います。
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