経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

2017.07.11

ブランドは売上に貢献するか。その2

ブランディングと業績向上の関係性とは。

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理念浸透と業績に正の相関あり。

前回、企業ブランディングと業績の相関を別の機会に説明することを書かせていただきました。下記の本に調査が示されています。

リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所(2010)『日本の持続的成長企業』東洋経済新報社

今まで肌感でしかわからなかった(というか業界全体がそうでしょう)ブランド構築と業績の関係がデータを持って示されます。リクルートワークス研究所が「人材マネジメント調査2005」で行った分析結果によると、

「理念・ビジョンは全社員に浸透・共有されている」という項目と、業績に正の相関関係が見られました。この調査は90社へのアンケートと財務状況で統計的に相関関係を分析しています。

ブランド構築とは、社内外にブランド・ビジョンを浸透させていくこと、と捉えると、ブランド構築は、業績向上に大いに関係があると言うことができます。

さらに、リクルートマネジメントソリューションズが行った「業績を高める組織能力と組織・人材マネジメント2009」の分析結果によれば、業績総合指標(平均売上成長率・平均ROA・対TOPIX株価上昇倍率)を高める直接的な組織能力は、「実行・変革力」で、そこに影響をあたえるのが、組織の「知の創出力」であると。知の創出力とは、ものすごく簡単にうと、部門を超えて、コミュニケーション活発にアイデアを出し合っている状態です。

 

ビジョンが起点になっている。

その2つの要因、どちらも影響をおよぼすのが、「ビジョン共有力」。いずれも統計的な相関が認められています。これで、今まで「ブランディングは肌感でなんとなく効果がありそうだ」という状態が、統計学的に証明されている、と言えると思います。

ブランド論の見地から言えば、これが組織行動的な視点で調査が発想され、証明されているところにちょっとした残念さを感じます。本来のブランド論とは、従業員の行動×コミュニケーション(非人的な)の掛け算であると、アーカーも書いているのに、後者の広告やブランド論の分野は、コミュニケーションの研究ばかりが発達してしまいました。

もう7年も前に出されている本なのに、私も実は最近この調査の存在に気づきました。「理念浸透と業績の相関は証明されていないので、調査するしかない」という頭になってしまっていたように思います。凝り固まっていてはダメですね。

いずれにしても、ブランド構築は、ファンづくりのために、ブランド・ビジョンを浸透させていく活動である、と置くと、その活動は、業績に直結すると胸を張って言えるわけです。さらに踏み込めば、短期的ではなく、長期的な視野に立つ場合、とてもブランド構築は重要ということなのです。

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むすび株式会社 代表取締役
深澤 了

ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター、BRAND THINKING編集長。日本ブランド経営学会副会長。2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン酒チャレンジ2018銀賞、2019金賞、フランスKura Master2019金賞。埼玉県戸田市では「埼玉戸田・かけはし・純米吟醸微発泡」と、立て続けに日本酒をプロデュース。山梨県都留市ではネクタイブランド「TSURUIKI」の立ち上げも行う。クリエイティブ・ディレクター、コピーライターとしてFCC賞、日本BtoB広告賞、山梨広告賞など。雑誌掲載、執筆多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても"光る人材"が集まる採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。

むすび株式会社

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