経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

理念を決めて、店舗数が一気に増えた。

【ロットのブランド論 第2回】

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ロットは埼玉県戸田市を中心に、飲食店を30店舗を展開する会社。戸田公園駅の周囲100メートル以内には7店舗を構える高密度ドミナント出店を行う異色の企業だ。その背景には、「埼玉を元気にする」という明確な企業理念がある。栄枯盛衰の激しい飲食業界で成長を続ける秘訣とは何か。創業者の田子英城氏にこれまでの歩みを聴いた。

 

店を閉めるのは、もうこれきりにしたい。

——与野と光が丘、2つの失敗は何をもたらしてくれましたか。

まず、取締役の鈴木がレストランビジネスを学ぶためにスクーリング・パッドへ通いました。専務(当時)の武山は経営という視点からロットを前に進めるべく、グロービス経営大学院大学へ通いました。私が行けとは一度も言っていないんです。彼らが自主的に「行きたい」と相談してくれた。失敗直後ですから、お金はありませんでしたので、彼らの自腹。経営者としてこれほどありがたく、また嬉しいことはありません。当然、時間が取られることはあるでしょう。それでも、ロットを前に進めるために彼らが決めたことに対して、感謝しつつ、送り出しましたね。お金以外の最大限のバックアップをしようと思いました。あそこでの学びが、その後のロットの成長の基礎になったのは言うまでもありません。一方、僕はもともと街を元気にしたいと思って戸田にお店をつくっていました。それをどこかで忘れてしまったことが良くなかったと反省しました。与野や光が丘は、自分たちの想いが入っていなかったなあと。内装も設計事務所の言うとおりだったし、何もかも他人任せ。現場を見る時間も、戸田の店舗より圧倒的に少なかったと思います。

 

お金だけじゃ、人は動かない。

——2店舗を閉め、そこからまた順調に動き出します。

再び、少しずつ息を吹き返して、当時、「年商25億、経常利益3億の会社を5年でつくろう」と、「253プロジェクト」と命名して社内で事あるごとに話していたんです。だけど、私がどれだけ話しても社員に浸透しない。ポカーンとしているだけの社員や、日々の店舗での仕事に追われ、言葉には出しませんが、「社長がなにか言っている」、「自分には関係ない」という雰囲気を出す社員もいました。1年経っても、浸透していく気配を感じませんでした。なんでなんだろうと。これには頭を抱えました。ここで、武山がグロービスで学んできたことが早速活かされます。大きくなった企業には必ず「理念」があると。僕にはまったく馴染みのない言葉でしたが、武山がグロービス時代に出会った、外部のコンサルタントと一緒に理念の言語化に挑みました。一応、僕らも何もないところから、数億円稼ぐところまで来ていたわけです。だから正直、自分たちが一番優秀だと思っていたんですよ。でも、武山が「一度でいいからそのコンサルタントに会ってみろ」と言うんで会ったんです。そうそうのことじゃ私もびっくりしないんですが、本当にすごいな、と。自分たちで何もかも完結させるんじゃなく、外部の力を積極的に借りて、会社を大きくしていくことの大切さをここで実感しましたね。

 

理念を決めて、社員の顔つきが変わった。

——どのようにして理念を決めていったんですか。

まず役員3人で合宿を何回か繰り返しました。最初は売上50億円だったんですけど、現実的な数字になるまで、何度も練り直しました。2008年当時に描いた金額がまさに今、実現しています。企業理念を「地域とまちづくり」をテーマに絞り、ミッションに「食を通じて地元埼玉から笑顔と元気を発信し続けます」と埼玉に限定した。ビジョンは「埼玉NO.1のレストランチェーンを達成します」と掲げたんです。ここで「地元密着」を初めて言語化して、それらをもとに、「ROT WAY」というクレド(行動指針)を決めました。このクレドをもとに、社内の評価制度も運用しています。理念を体系立てて決めてわかったことは、◯年で何十億ということは、飲食の現場ではわかりにくいだなということ。やっぱり自分のお店の範囲のことしか人は想像しにくい。でも、自分のやっていることが「地元の街づくりのため」という目的があって、自分のお店が繁盛店になることが、自分たちの理念に近づくことなんだ!ということが具体的にわかった。その目標として「30店舗、埼玉ナンバーワン」を掲げたんです。この効果は抜群で、一気に従業員に広まった。それが証拠に、理念を決めてから出店数も一気に増えています。

 

第3回 すべての経営判断を、理念につなげられるか。

第1回 理念を決めて、店舗数が一気に増えた。

 

聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:梅原 渉

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株式会社ロット 代表取締役 田子英城
大学在学中の2001年に会社設立。何もない戸田を元気にしたいと、戸田公園駅に今もある「Café & Dining SUN」をほぼ手作りで出店。社員に信じて任せる手法を貫き、直営で30店舗を展開するまでに。2017年、山崎将志氏へ社長交代。さらなる事業展開を目指す。

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