【GMOペパボのブランド論対談 第2回】
企業の価値観を根付かせていくことは、すべての経営者にとって、非常に骨の折れることだ。あらゆるインターネットサービスを提供する巨大なGMOインターネットグループにあって、GMOペパボという会社はその名前からして独特の色を放っている。レンタルサーバー「ロリポップ!」やハンドメイドマーケット「minne」など、「インターネットと表現の可能性を追求し、誰でも活躍できる機会を提供したい」という想いの下様々なサービスを提供しているGMOペパボ株式会社代表取締役社長、佐藤健太郎氏(写真左)にパーソナル・ベンチャー・キャピタル代表チカイケ秀夫氏(写真右)が迫った。
自分たちの存在価値は、個人のサービスに特化すること。
チカイケ: ペパボのカルチャー「もっとおもしろくできる」を企業理念として定めたのは上場前ですか。
佐藤: ちょうど上場のタイミングですね。これは必ずやらなければいけないと常々考えていました。上場にあたって、GMOグループの中での存在価値は何か、ということを考えていきました。
チカイケ:そこで導き出されたものは何ですか。
佐藤:やはり、ずっとやってきた個人が表現することをサポートするサービスに特化しようということです。それが私たちの一番やりたいことだし、やるべきことだと考えました。
チカイケ:上場して変わったことはありますか。
佐藤:自分の見ていた景色からは変わらなかったですね。とにかくおもしろい会社にしようと思っていたし、今もそう思っています。
チカイケ:GMOの熊谷さんとは、文化のあたりで何か意見を交わされましたか。
佐藤:もともと独特の文化があったことは、熊谷も認識してくれていて、無理にGMOカラーに染める必要はない、と言ってくれていました。
社員旅行は、上場前から続けている。
チカイケ: 企業の文化を浸透させていくのに苦労した点はどこですか。
佐藤: 距離の問題はありましたね。もともと福岡で起業して、しばらく経って東京にもオフィスを構えたんですが東京で新規事業をつくって、福岡では既存の事業をもくもくとやっているというように、役割がわかれたんです。
チカイケ:それは福岡方面からいろいろ反発が出そうですね。
佐藤:「東京は赤字でも好きなことやれていいな」という声はありました。あと、やっぱり新しいことをやる人は目立つじゃないですか。尖ったことをする人が評価されて、もくもくと今の事業をやっている人が評価されないのはどうか、という声もありましたね。
チカイケ:そこを改善していったということですね。
佐藤:そうですね。あと、大事にしているのは、社員旅行です。上場前から続けています。
チカイケ:全社員ですか!それはすごいですね!
佐藤:全員が集まって、考え方の共有をして、夜はみんなで飲んで語らって、ということをしていますね。
ボトムアップの制度でも、いいものは採用する。
チカイケ: 社員同士のコミュニケーションに関して、社内で工夫されていることはありますか。
佐藤: 社内では、どの職種の人も誰が何やっているか、可視化されています。オンラインでのやりとりはとても多いと思います。その上で、東京メンバーも福岡メンバーも年に最低でも1回は会うことで、お互いの人となりを知ることができるというのはあると思います。
チカイケ:考え方を浸透させていく時に、評価制度も重要だと思いますが、どのように考えていますか。
佐藤:もちろんトップダウンで評価に価値観を反映させていくことはこれまでもしていましたが、ボトムアップで制度ができていく例もあるんです。例えば、エンジニアの評価制度はそうですね。
チカイケ:有名な「お産合宿」も、社員のアイデアですか?
佐藤:はい。僕が注文することが多いのは、制度内容よりもネーミング。職種の枠を超えて参加し、社内に浸透しないと意味がないので、そこだけは注文つけますね。
第3回「もっとおもしろくできる」を実践するためなら、ヘビメタにだってなる」。
第1回「クリエイティビティを刺激するための「もっとおもしろくできる」。
聴き手:チカイケ秀夫 構成:BRAND THINKING編集部 撮影:落合陽城
GMOペパボ株式会社 代表取締役社長 佐藤健太郎
2003年、GMOペパボの前身、有限会社paperboy&co.の時代に創業者・家入一真氏に誘われて入社。そこからともに二人三脚で会社を成長させていく。社長室長や経営企画室長などを経て、2006年取締役経営企画室長。2007年取締役副社長経営企画室長。2008年代表取締役副社長経営企画室長。2009年より現職。
パーソナル・ベンチャー・キャピタル 代表 チカイケ秀夫
デザイナーの経験を経て、GMOクラウド株式会社で新規事業などさまざまな事業を経験。2015年よりパーソナル・ベンチャー・キャピタルの代表として活動開始。スタートアップ企業にブランディングを広めることを使命に、数多くのサポートを行っている。さまざまな企業のチーフ・ブランディング・オフィサー(CBO)を務める。
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