ブランディング失敗事例から学ぶSTP
ブランディングは必ずしも成功するとは限りません。ブランドを成長させる過程やリブランディングの中で、失敗する場合もあります。ブランディングは常に変化していくものですが、主な失敗の原因は大幅な変化にあるでしょう。では一体どのような変化がブランディングとして失敗となるのか、事例を交えて解説します。
ブランディングの失敗とは?
そもそもブランディングにとって失敗とは何を指し、成功は何を指すのでしょうか。例えば批判的な意見が相次ぎ利益を落とすことが失敗なのか、反対に利益さえ上げられれば成功になるのか、ブランディングの成功や失敗は曖昧です。
もちろんビジネスである限り利益を落とすことは失敗と考えられますが、一時的な利益の低下の場合、上がっていく可能性もあります。どこの段階で失敗と見分けるかは難しい部分でしょう。ここでブランディングの価値を見直してみます。
ブランディングの価値は「STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)」とされる場合が多いです。つまりブランディングの失敗はSTPに依存すると解釈できます。STPを裏切る動きがブランディングの失敗に繋がるのではないでしょうか。
Gucciのポジショニングによる失敗事例
Gucciはポジショニングによる失敗例があります。ポジションニングの失敗によって、Gucciというブランドが一般的なブランドに格下げされてしまいました。失敗とされているのが、グッチ・パルファンです。
グッチ・パルファンの商品は「GAC(GUCCI Accessories Collection)」と呼ばれ、従来のGucci製品と比べると安価な物が増えました。今まで馴染みのなかった層も購入するようになり、一時は成功したかのように見えましたが、GAC商品はGucciのブランド価値を低下させてしまったのです。
これはGucciのポジショニングによる失敗と考えられます。以降高級革製品に商品を集中させ、店舗は基本直営店や免税店、イメージに合わない場合は即座に徹底という対応をし、ラグジュアリーブランドとしての地位を築きなおしました。
コーラのセグメンテーションによる失敗例
ブランディングの失敗事例として有名なのがコカ・コーラでしょう。コカ・コーラは1985年に大きな失敗をしています。当時ペプシ・コーラなどライバル商品が販売され、危機感を覚えたコカ・コーラ社は「NewCoke」ブランドの開発に取り組みました。
しかし当時顧客が求めていたものは「新しいコーラ」ではなく、「従来のコカ・コーラ」だったのです。「NewCoke」は品質自体は上がったものの、市場に受け入れられず、何千件以上のクレームが相次いでしまいました。
これはコカ・コーラのセグメンテーションによる失敗と考えられます。従来の商品の市場を読み違えたのが、失敗の原因でしょう。以降は元の味に戻し「コカ・コーラクラシック」として販売。見事にシェア回復を果たしました。
ユニクロのターゲティングによる失敗例
ユニクロは過去に野菜の通信販売業で失敗しています。2002年ユニクロは野菜の通信販売業に乗り出しますが、売上は低迷。たった2年で28億円もの赤字を出してしまいました。これはユニクロのターゲティングによる失敗と考えられます。
ユニクロの強みといえば「カジュアルウェアの高品質・低価格化」です。顧客がユニクロに求めるものは、もちろん野菜ではありません。つまりユニクロは勝負する市場を見誤ってしまったのです。ユニクロの失敗例に関しては、ターゲティングのみならずSTP全てに当てはまるでしょう。
顧客を裏切ることがブランディングの失敗に繋がる
それぞれの失敗例を見ていくと、共通するものがあります。それが「顧客への裏切り」です。Gucciならば高級ブランドのイメージを裏切り、コカ・コーラなら従来の味を裏切り、ユニクロならアパレルブランドとしてのイメージを裏切っています。
ブランディングは、ブランドを見てイメージする顧客がいてこそ成り立つものです。顧客がどんなイメージを持ち、何を求めているのか追求することこそブランディング成功の秘訣となるのではないでしょうか。
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