経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

ブランディングとマーケティングの違い。

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「売れるしくみづくり」と「売れ続けるしくみづくり」。

マーケティングとブランディング。この違いを正確に話せる人はなかなか少ないのではないかと思います。まず、マーケティングもブランディングも、いろんな人がいろんな解釈でその目的を語っています。

日本マーケティング協会は下記のように、マーケティングの定義を定めています。

マーケティングとは、企業および他の組織が
グローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、
公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。

・・・正直、よくわからないと思います。ただ、大事な点は「市場創造のための総合的な活動」というところです。

マーケティングで扱われるところの範囲がとても広いので、まとめるとこのようなわかりにくい文章になってしまうのだと思いますが、大事なところだけ読み解くと、つまりは、「売るためのしくみづくり」なわけですね。ドラッカーも、マーケティングとは「顧客創造である」と言っています。この点で、2つの定義は重なりがあります。

では、ブランディングはどうでしょうか。

ブランディングは、マーケティングに更に輪をかけて、明確な定義のない言葉でもあります。

ブランディングとは、もともと牛を見分けるための刻印が語源の発端になっています。つまり「区別」をするためのものだったんですね。しかし、その考え方は今でも続いています。

ブランディングは、「他との差別化」が焦点です。差別化するには、「ブランド・ビジョン」が肝になります。ブランド・ビジョンとは、ブランドがどう見られたいか、という意志でした。これはブランド論を作ったアーカーも言っています。

そのブランド・ビジョンに惹かれた「顧客」がいること。つまりそのブランドの「ファン」がいる状態。これがブランディングの究極の目的です。ということは、ブランディングとは、ファンづくりであり、ファンがいるということは熱狂的な固定客がいるわけですから、つまり、「売れ続けるしくみ」がある状態です。

マーケティング=売れるしくみづくり・・(1)
ブランディング=売れ続けるしくみづくり・・(2)

こう見ると、マーケティングは企業活動において短期的な施策で、ブランディングは長期的な施策と見えがちですが、(1)も学術的な観点に経てば、企業マーケティングという言葉などもあるように、長期的な企業活動を指す場合もあります。しかし、実務に目を向ければ、短期的な活動として捉える向きが多いように思えます。

 

マーケティングとブランディングの共通点と相違点。

マーケティングとブランディングの違いは顧客の優先順位にも現れます。マーケティングは、顧客の望んでいることをどう捉えて、反映させるか。マーケットインという言葉もあります。

ブランディングとは、先にも記しましたが、顧客にどう思ってもらいたいか、という企業としての意志がまず来ます。だからといって、プロダクトアウトか、というとそれもちょっと違和感を覚えます。顧客が望んでいるけど、まだ自分たちでわかっていないこと。それを、自分たちの価値観にのせて、世に出していくこと。このニュアンスがブランディングにはとても大事だと考えています。顧客を捉える角度がマーケティングとブランディングは大きく違います。

しかし、似た考え方もあります。マーケティングでよく言われるのは、ロイヤルカスタマーをつくりなさいということ。8:2の法則というのを聞いたこともあると思います。売上は2割のリピーターと8割の新規顧客で構成され、売上の8割が2割のリピーターによってつくられていると。だから、2割を大切にしなさい、という理論でした。

ブランディングは、「どういうふうに見られたいか」から始まりますから、それとセットになって「どんな人に好きになってもらいたいか」が大事です。つまり、同時にロイヤルカスタマーを定義する必要があります。

ここに、マーケティングとブランディングのアプローチの違いが見えてきます。

ロイヤルカスタマーの議論を一歩推し進めたのが、早稲田大学ビジネス・スクール教授の永井猛氏。「富と知性のマーケティング戦略」の中で、「ロイヤルカスタマーの中でも、オピニオンリーダーを見つけなさい」と説いています。市場導入の早い段階でオピニオンリーダーに到達したブランドは長生きする、という理論です。

マーケティングとブランディングを混同して捉えている人や企業が多いと思います。それはもちろん、どちらもありとあらゆる定義があり、そもそも定義していない書物もあるので、しょうがない面もあるのですが、どちらも本質をしっかりとらえたうえで、使っていきたいものです。

 

 

文:BRAND THINKING編集部

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