機能のみでの差別化はコモディティへの道。
ブランド論にある4つの便益という考え方。
ブランドは企業の資産であるとして「ブランド・エクイティ」を提唱したアーカーはブランドには4つの便益があると考えました。
1,機能的便益
2,情緒的便益
3,自己表現便益
4,社会的便益
1はとてもわかりやすく、そのブランドの持つ機能(スペック)がどのようにユーザーにとって利益があるのか、ということを指しています。2はユーザーが、どんなことを感じるか、です。例えばこのブランドを使う時に、興奮を感じる、ということは情緒的便益になります。
3は2と似ていますが、より自分のアイデンティティに近いところで、そのブランドを感じているということでしょうか。アーカーは「このブランドを買うとき、または使うとき、私は●●である」と説明していますが、例えばMacを使用することで、自分はクリエイティビティを重視しているという、極めて自分の人生の考え方とマッチした感情を持つことになるということです。アーカーは「自己表現便益を顧客に提供した時、そのブランドと顧客のつながりは強化される」と書いています。
4は、そのブランドを使用することで、社会としてどの集団に属するのかを明確にするということです。つまり仲間意識です。アーカーは「このブランドを買うとき、または使うとき、私は●●タイプの人たちの仲間である」ということを表すと説明しています。また「ブランドの後押しによって、個人のライフスタイルと価値観を中心にするコミュニティが形成されると社会的便益が生まれる」としています。特定のブランドのファンの集団、例えばハーレーダビッドソンなどはこの典型でしょう。違った視点から考えると、コミュニティの形成が、ブランドへの関与度を高めるとも考えられますから、ファンの集まりが作られることはブランドにとって誉れであり、また意図的に作ることで関与度を上げていくということもまたできるでしょう。
1〜4のうち、機能的便益の課題を指摘しておかなくてはなりません。機能での差別化はブランドの基本中の基本ではありますが、日本の多くのブランド、とくに製造業の商品が「機能」によって差別化を測ろうとして、負けていきました。これはブランド論に限らず、多くのアプローチで指摘されていることでもありますが、今や機能だけでは差別化が難しく、コモディティになってしまうことを意味しています。差別化を考えるとき、2~4がヒントになるかもしれません。
文:BRAND THINKING編集部
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