いつからプロモーションがブランディングになったのか。
プロモーションは、ブランディングの一部分。
BRAND THINKING編集部はこれまでもブランディングについてたくさんの記事を書いてきましたが、最も基本的で、最も間違えやすい認識が今回の「プロモーション=ブランディング」という考え方です。また一部の制作物をひとつのコンセプトの元、美しくつくりあげることも、ブランディングと間違って認識されている場合も多いことでしょう。それが証拠に、「Webブランディング」や「映像ブランディング」などの言葉が、バナー広告やフェイスブック広告で流れてくるのを見た方もいるのではないでしょうか。
新聞、TV、交通広告、店頭など、一斉に行われるプロモーションを統一(連動)することは、20年以上前から言われてきたことです。IMC(Integrated Marketing Communication)が90年代後半に日本に入ってきてから、「クロスメディア」や「メディアミックス」という言葉が出てきて、専門書にもさまざまな事例が合わせて紹介されたりもしました。おそらく、この時期に統一(連動)されたプロモーションのことを、ブランディングそのもの、という間違った認識が出始めたのではないか、と推察できます。
注意しなければいけないのは、「ブランディング」とはあくまで企業側からの視点であって、企業がどうブランドをマネジメントし続けていくかである、ということを認識しなければなりません。では「ブランド」とは何なのでしょうか。「ブランド」はユーザー頭のなかにあるもの。アーカーと並ぶ、ブランド論の大家、ケラーが言うところの「強くて、好ましくて、ユニーク」なブランド連想のことです。もっと簡単に言えば、ブランドに対する頭の中の「イメージ」のことです。
さて、ブランディングをしていくために最も重要なのは、「ブランド・ビジョン」を設定すること。そのビジョンはあくまで企業側(ブランド・マネージャー)が決めるものです。アーカーによれば、ブランド・ビジョンとは、「将来的にそのブランドがどう見られたいか」ですから、実際の見られている姿とは乖離があるはずです。その乖離を埋めるものが、コミュニケーションのはずです。ではどのようにコミュニケーションでそのギャップを埋めるか、というところで登場するのが、プロモーション活動やHP、映像、会社案内などということになります。
つまり、あくまでプロモーションは、ブランディングを行うためのツールにすぎません。ブランド・ビジョンとのギャップを埋めるためのもの。ブランディングを行うには、ビジョンを設定し、それをどのように一貫させるか、を組織内で考え、浸透させていかなければなりません。
このように、プロモーションとブランディングは、手段と目的という関係性なのであって、決してイコールなどではないのです。
文:BRAND THINKING編集部
- 「◯◯ブランディング」というミスリード。
- 「この媒体ならブランディングできる」は大きな間違い。
- アイデンティティがないから、ブランドにならない。
- いい表現にあるX=YZ。
- ケラーのブランド・レゾナンス・ピラミッドとは何か?
- すべての経営判断を、理念につなげられるか。
- その言葉は、企業の未来を切り拓くか。
- なぜインナーブランディングは進まないのか。
- なぜブランディングで売上が上がるのか。
- なぜブランドにビジョンが必要なのか。
- なぜ一貫性を保つのは難しいのか。
- なぜ地域活性では、活性しないのか。
- なんかカッコイイのつくってよ、でブランドはできない。
- ブランディングとマーケティングの違い。
- ブランディングを、数学の証明のように説明する。
- ブランド・ストーリーはつくるものか。
- ブランドが「資産である」とはどういうことか。
- ブランドが消える理由。
- ブランドとブランド構築の違い。
- ブランドは想いによってつくられる。
- ブランドは意志を持って成長させろ。
- ブランドを、理論とかフレームワークだけで語るな。
- 何のためにターゲットを明確化するのか。
- 制作物だけでブランドはつくれない。
- 広告だけの差別化に意味はない。
- 広告より組織行動の方が重要。
- 知名度さえ上がればいいのか。
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