ブランドにとって一貫性は生命線。
スティーブ・ジョブズは一貫性を全うした。
ブランドにとって、一貫性は非常に重要な問題です。「一貫性が勝利をもたらす」とはアーカーの言葉。しかし実際に一貫性を目に見えて保てるブランドはごくわずかです。現実、ブレることは避けられないように思います。なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。よくある原因を以下に挙げてみます。
1,経営者やブランドマネージャーに認識がない。
責任者にブランドの一貫性についての重要性が伝わっていない、もしくはその重要性の認識がなければ当然一貫性は保たれません。近視眼的な施策にどうしてもなりがちです。またそれで業績を上げているのであれば、なおさら手間のかかる管理という印象を与えかねないブランド管理を行うことにはほど遠くなってしまうかもしれません。
2,機能別組織の問題。
ブランドマネージャー制の究極は、開発から生産、売り場までブランドごとに管理(マネジメント)することです。しかし多くの日本企業に見られるように、マーケティング部、広報、営業、生産、開発などと分かれていると、ブランドごとに川上から河下まで管理というよりは、商品別の管理となります。つまり、それぞれのブランドをどう打ち出すか、ということに関して、個別にそれぞれの部署が対策を練るということになります。ゆえにブレやすくなります。組織が大きくなり、ブランドの数が増えるほど、ブランドマネージャー制は程遠くなりがちです。
3,目の前の数字に追われる。
2の問題と絡みますが、目の前の数字に追われると、手っ取り早く結果の出る方法に流れがちです。その結果、当初のブランド・ビジョンを曲げてしまう、また想定のターゲットとは異なる層をめがけてプロモーションを行うことで、表現がブレます。ゆえに一貫性は出にくくなります。
スティーブ・ジョブズが1997年に復帰した後のAppleが奇跡的な成長を遂げたひとつの要因をブランドの視点で挙げるとすれば、当初掲げた「Think different」という企業スローガンをその後のiMacやiPod、iPhoneなど徹底的に商品からプロモーションまで貫いたことです。経営マネジメント面でいろんな批判や辣腕の逸話があるジョブズですが、ブランド論の観点で見れば、本人が亡くなるまで見事に一貫性を保った稀有な事例と言えます。
一貫性を保つには、強力なリーダーシップや強烈なこだわりも必要なのかもしれません。
文:BRAND THINKING編集部
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