採用のコミュニケーションで、人生が決まる。という大前提。
広告ではなく「深告」というアタマを持てるか。
連日で採用がテーマです。昨日の「採用ブランディングはインナーブランディングだ」の記事の最後で「採用市場のコミュニケーションは人生の変わる場。だとすれば深く濃いコミュニケーションが必要」と書きました。果たしてそれはどのようなものなのでしょうか。
広告や広報を批判するわけではありません。モノはお金を出せば買えます。それが数百円の商品であれば、広告で買ってみよう、と思ってもらえる場合も多いでしょう。そして商品自体の品質がよければ、またリピートします。つまり、一時のキャンペーンでインパクトの有る訴求が効きやすいともいえます。一方で採用は正社員入社であればなおさらですが、やり直しが効きません。1,2ヶ月で辞めれば、その人の経歴にとっては大きなマイナスです。つまり採用はその人の人生を背負うわけです。だとすると、顧客に対する商品広告や企業広告のような感覚は捨てなければなりません。もちろん、自社に知名度がなく、まずは振り向かせる必要もあるでしょう。しかしただのインパクトで振り向かせても、意味がありません。なぜなら、入社後のギャップが大きければ大きいほど、辞めてしまいます。そうなれば、本人だけでなく、自社も大きな損失です。それまでの採用コミュニケーションに払った時間が一気に意味がなくなってしまうからです。
採用時に理念や価値観を重視する採用コミュニケーションはまだ一般的ではありません。しかし昨日の記事のように、インナーブランディングを出発点として考えれば、そこを訴求していくという大転換こそ、採用を効率的に、そして企業の業績をアップさせる本質的な方法であると理解できるはずです。だとすれば、広告ではなく、むしろ深く企業のスタンスを伝える「深告」くらいの考え方でコミュニケーションを行うべきです。
理念や価値観なんて話、応募者が聞きたいのか?という反論もあるでしょう。「顧客視点」が人気のある日本ではあたりまえの質問です。しかし、過去のBRAND THINKINGの記事を見て頂ければ、理念や価値観を堂々と訴求して、採用が成功した企業の話が掲載されています。もちろん、顧客視点ならぬ、応募者視点が採用市場において重要でないことがありません。しかしそれは、自社がどのような採用方法をするのか、どんな人物像が欲しいのかを明確にした上での話です。そこからの「ズレ」をコミュニケーションで補っていくことこそ、ブランド・コミュニケーションの本質です。応募者の中に、自社の答えはありません。あるのは一般論だけ。一般論だけで差別化しようとすると、結局コミュニケーションだけの差別化になり、採用広報にお金を使える大きく知名度のある企業ほど、有利の展開になっていくのです。
文:BRAND THINKING編集部
- 「コーポレート・アイデンティティ」と「人事制度」の連動について
- CHROこそ企業ブランドをつくるブランドマネージャーだ。
- コンセプトひとつで、 採用は劇的に変わる。
- コンセプトを徹底したときから、成功の連鎖がはじまった。
- スペックで採用するから辞める。
- だから採用できないし辞める。
- なぜインナーブランディングは進まないのか。
- やみくもなダイレクトリクルーティングのムダ。
- ラグビー日本代表の奇跡は理念浸透にあり。
- 一貫性のある組織の成否は、採用から始まっている。
- 急成長メルカリの縁故採用はなぜ成功しているのか。
- 採用において、条件勝負は必ず負ける。
- 採用における会社説明会の理想的構造。
- 採用ブランディングの出発点はインナーブランディングだ。
- 採用を成功させるためのブランド論 実践編①〜独自の採用フロー構築
- 採用を成功させるためのブランド論 実践編②〜コンセプトの重要性
- 採用を成功させるためのブランド論 実践編③〜こんなツールは失敗する。
- 採用を成功させるためのブランド論。理論編
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