ブランディングは、手法論ではない。
ムダを減らすことが、リーン。
『リーン・ブランディング』という本が出ています。リーンという言葉のシリーズで、他のたくさんの本も出ています。そのシリーズのひとつなのかもしれません。この本について解説していきたいと思います。
リーンという言葉、普段は馴染みがありませんが、スタートアップ、つまり起業家の世界では、ここ数年、よく言われるようになった言葉です。おそらく2013年に出版された『リーン・スタートアップ』の影響があるのではないか、と思います。
「リーン」という言葉はもともと少量多品種生産に対応できる「トヨタ生産方式」のことを「リーン生産方式」と名づけられたことから始まります。プロセスの効率化を徹底的に行いながら、大量生産に負けない品質を生み出し、作業時間の削減や在庫量を減らすことができる生産方式のことを言いました。
この考え方を応用し、ムダの多いスタートアップでムダを減らし、スタートアップさせようというのが、前述の『リーン・スタートアップ』の考え方で、『リーン・ブランディング」はそのブランディング版ですが、「スタートアップにおけるムダのないブランディングの方法」と言い換えるともっとわかりやすいかもしれません。
わかりやすいが、ブランド構築とは何か、を忘れずに。
中身を読んでいくと、ページが進む度に、とても詳細にその方法論が書かれており、ブランディングとは何かを知らない人にとっては、とてもわかりやすく見えると思います。例えば、SNSの使用方法など、詳しくない人にはとても助かるハウツーが書かれています。
しかし、誤解してはいけないのは、ブランディングとは本来、手法論ではないということです。
リーンだろうが、そうでなかろうが、つまり、大手だろうが、スタートアップだろうが、ブランディングは、ブランディングです。何をいいたいのか、というと、スタートアップ期だけに通用するブランド構築の理論というものは今のところありません。
この本の後半に書かれていることは、ブランド・コミュニケーションのひとつの方法であり、(ブランド・コミュニケーションの理論でもありません)もし、論文風に題名をつけるのであれば、
「スタートアップ期における、効率的なブランド・コミュニケーションの一方法」
という形になるでしょう。
そのあたりをふまえ、ブランド構築は、ビジョンを浸透させる活動である、ということを忘れずに一貫性を出していくのであれば、いい指針となる本であることは間違いありません。
文:BRAND THINKING編集部
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