自社を理解できなければブランディングは不可能
自社を選んでもらうため、認知してもらうためには、自社を誰よりも理解していなければいけません。理解できていなければ、何をアピールするべきか、どう戦略を立てるべきか定まらないでしょう。ブランディングにはいくつかの要素がありますが、どの要素においても「自社の理解」は必要です。
自社を理解していない状態で、なんとなくブランディングをしても必ず失敗に終わります。何かしらのきっかけでブランドを知ってもらっても、選んではもらうことは難しいでしょう。
自社の強み・弱みを理解しなければ、正確なペルソナ設定もできません。そこで必ず知っておきたいのが、SWOT分析です。SWOT分析はマーケティングの基本中の基本。SWOT分析を飛ばしてのブランディングはできません。
SWOT分析とは?
SWOT分析は、4つのポイントの略称です。
・Strengths(強み)
・Weakness(弱み)
・Opportunity(機会)
・Thread(脅威)
また、SWOTそれぞれは2つの種類に分けられます。
・SW…内部環境
・OT…外部環境要因
SWは自社の強みを指します。O(機会)は利用できる市場の変化などを指し、Tは障害となりえる外部的要因です。
SWOTではなくTOWS分析理論
重要なのが、内部環境は外部環境に左右される点です。市場環境などが変われば、内部環境も世の中に合わせなくてはいけません。そこで推奨されているのが、TOWS分析。SWよりも、OTを優先した考えた方です。マーケティング論で有名なフィリップ・コトラーも「TOWS分析にすべき」としています(宮崎哲也『フィリップ・コトラーの「マーケティング論」がわかる本』秀和システム,2006年)。
まずはOTで世の中を分析し、OTに合わせた強みや弱みを理解した方が戦略が立てやすいです。
戦略を導くためのクロス分析
SWOT分析の要素を互いに掛け合わせ、戦略を立てていくのがクロス分析です。
・S×O(強み×機会)=強みと機会を最大限に活用
・S×T(弱み×機会)=強みで脅威への対策
・W×O(弱み×機会)=弱みを克服して機会を掴む
・W×T(弱み×脅威)=マイナスへの影響を最小限に抑える対策
クロス分析をすると、強みや弱みに対応した戦略を練れます。強みを更に活かす戦略、弱みを克服する戦略など、自社を打ち出す戦略が広がるでしょう。また、クロス分析が一度終わっても、常にやり続けることを意識してください。自社の状況や外部環境が変われば、SWOTに当てはまる部分は必ず変わってきます。
SWOT分析事例
SWOT分析の事例として、スターバックスが日本に進出した際の戦略を解説します。
・S…高級路線・お洒落・海外で展開している
・W…知名度が低い
・O…日本の喫茶店はメニューが少ない・日本の喫茶店は入りにくい雰囲気がある
・T…低価格コーヒーが人気
スターバックスが日本に参入したのは1966年。当時の日本は喫茶店が少なく、若者が気軽に入れる雰囲気ではありませんでした。そこでスターバックは、自社がどのような状況にあるか分析し、強みを活かした戦略に乗り出します。
ターゲットは若者と女性に絞り込み、おしゃれな内装で気軽に入れる店舗作りを行いました。さらにメニューのカスタマイズ性を導入し、独自性を出した事業展開を行います。見事スターバックスの戦略は成功し、現在の地位を築き上げたのです。
自社の「強み・弱み」を理解していますか?
SWOT分析は「自社をどれだけ客観視できるか」が重要です。いざSWOTを出そうとしても、ほとんどの場合「強み」ばかりが先行してしまいます。どんな企業も自社のブランドに自信があるのは当然です。もちろん強みを理解するのは良いですが、弱みをどう克服するかも重要になります。
SWOT分析を行う際には、できるだけ多数の意見を取り上げてみると良いでしょう。今まで気づけなかった強みや弱みを知るきっかけになります。また、SWOTを活かせているか、客観視してくれる存在がいると良いです。まずはブランディングの基礎として、SWOTから始めてみてください。
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