経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

デジタル施策における効果効率の追求とブランド価値。

PDCAサイクルにおける広告運用

望まない広告掲載面への掲載はなぜ起きるのか

前回のエントリーでは,近年話題となっている「ブランドセーフティー」というキーワードを中心に,インターネット広告施策におけるブランド毀損の危険性を説明しました。企業の各部署において様々な施策を実施する際に,自らのブランド価値を毀損する施策内容を好んで検討することは通常あり得ません。しかし,各部門独自のKPIに則り施策を進めていくと,知らず知らずのうちに部門KPIと企業としてのKGIがズレくることは現実的に起きる可能性があります。この少しずつ発生してくるズレに気づくことができないと,良かれと思って実施していた施策がいつの間にか自らのブランドを毀損する結果につながることになります。

一般にマスメディアのプロモーションプランニングにおいては,施策の目的とターゲットを明確化し,その上で自社のブランドにふさわしいメディアを選定しながら最適と考えられる広告枠を選定していきます。選定においては,メディアコンテンツの内容や傾向,掲載を予定する時期に企画されている特集内容,さらには今までどのような商品やサービスが掲載されていたのかなど,多くの情報を入手しながら,そのメディアは自社の広告を掲載するにふさわしいかどうか,そこに掲載した場合に読者や視聴者の目にはどのようなイメージに映るのかを検討して掲載するか否かの判断をしています。

1クリックの価値は,どの広告スペースでも同じなのか

インターネット広告のメディアプランニングでも,掲載するメディアをあらかじめ指定したり,あるいはコンテンツをスポンサードしたりするケースではマスメディア同様の検討過程を経ることは可能です。しかしインターネット広告の場合,マスメディアの考え方と同じように一つ一つメディアを選定するケースは少なく,顧客やメディアなどのデータを活用しながら自動的に広告が配信されるアドネットワークなどの広告メニューを利用するケースも多いでしょう。

これらのデータを活用する広告メニューでは,狙ったターゲットにピンポイントでメッセージを届けられるという利点があり,さらに広告を配信したターゲットの反応(クリック数など)をリアルタイムで見ることができます。したがって,もしターゲットの反応数が想定より少ない場合には広告クリエイティブを変更したり,ターゲットを変更したりといったキャンペーン内容の微調整をキャンペーン期間中に広告配信を止めることなく行うことも可能です。

その為インターネット広告では,効率的に多くの成果を上げていくために細かくPlan-Do-See-Re planを進めていく「広告運用」といった考え方が基本となってきます。

ところがこの広告運用では,数値で示される効果や効率を改善していくことに重きが置かれやすくなり,どこに掲載されているのかといった配慮がおろそかになる傾向があります。つまり,一回の広告配信単価や1クリックあたりの単価,あるいはクリックの総数のみをKPIとするので,効率よくクリックを獲得できていることが数値として報告できればそれで良いと考えるようになり,極端な場合には自社の広告がどこに出稿されているのかは問わなくなる危険性があるのです。

確かに数字上の1クリックは1クリックですし,自社のWebサイトに訪問をしてくれたことには変わりありません。しかし,信頼性の高いメディアに掲載された広告を見ているユーザーの1クリックと,真偽の不明な怪しい信頼性の低いメディアに掲載された広告を見ているユーザーの1クリックは同じ価値と言えるでしょうか。

広告の効率とブランド管理

数字だけをみれば,どんな広告からリンクしてきたとしても,自社のWebサイトに訪問し何か商品を購入した場合,その売上としての金銭的価値は同じです。

しかし,ブランド毀損の落とし穴が一つここにあります。

消費者が信頼性の高いメディアで広告を通じてブランドに接触した場合,それは「信頼性の高いメディアに掲載されているブランド=相応の信頼のあるブランド」であると一般には認識されると考えられます。しかし,信頼性の低いメディアに掲載されているブランドに対し,消費者はそれを「信頼性の高いブランド」であると認識するでしょうか。おそらくほとんどの場合,信頼性の低いメディアに掲載されているブランドは「信頼性もそこそこである」という認識しかもたないのではないでしょうか。インターネット以外のメディア出稿や店舗展開などでブランディングを行なっていても,インターネットでは信頼性の低いサイトばかりに広告が出ていた場合,消費者はそのブランドに対してどのような印象を持つでしょうか。さらには,自社ブランドがアダルトサイトに掲載されていたとしたら,あるいは違法なサイトに掲載されていたとしたら。また,そのようなサイトをスポンサードしているかのような広告掲載であったとしたら,消費者はそのようなサイトとブランドを同一視してしまいかねません。

もちろんブランドとしてもそのようなことを避けるべきであるということは十分に理解しているでしょう。しかし,「1クリックは1クリック」と数値を効果と効率で追い求めて過ぎてしまうと,どこに掲載されているのかといった視点がおざなりになってしまい,ブランド毀損につながる危険性があるということも同時に理解しておく必要があるのです。

田村 修

Digital Life Lab. 
田村 修

獨協大学経済学部経済学科卒業 東京理科大学大学院 経営学研究科技術経営専攻課程終了(技術経営修士/MOT) 大学卒業後,総合広告会社に入社。11年の営業を経て、インターネット広告メディアレップのスタートアップメンバーとして出向。インターネット広告初期より広告メニューの開発・営業・メディアプランニングに携わる。現在はデジタルマーケティングエージェンシーに在籍しながら,多方面にて活動 中。 東京理科大学大学院 経営学研究科講師(非常勤)、 専修大学兼任講師、産業能率大学兼任講師。 著書: 単著:田村修「いちばんやさしいデジタルマーケティングの教本」インプレス(2017) 共著:JIAA篇「必携 インターネット広告」インプレス(2019)

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