ブランドの改廃、統合はあるのか。
2強時代へ。Oisixが仕掛ける再編。
2/1、オイシックスドット大地が、らでぃっしゅぼーやを買収することが発表されました。らでぃっしゅぼーやは1988年設立。その前のNPO法人時代から考えれば、有機・低農薬野菜宅配市場をつくってきた老舗中の老舗。一方Oisixは2000年に元マッキンゼーの高島宏平氏が設立した会社。2017年にこれも有機・低農薬野菜宅配の老舗、大地と経営統合を行った。矢継ぎ早に業界再編を行ってきました。
有機・低農薬野菜宅配の巨人は、パルシステム。約2000億円程度の売上を誇っている。そこからオイシックスドット大地もらでぃっしゅぼーやも200億円程度の売上規模だから、この市場はほぼ1強で独占されてきました。その牙城を崩すべく、高島氏が再編を行っている、という構図が見えてきます。今回、らでぃっしゅぼーやの買収で、500億円強の売上規模になり、やっとパルシステムの半分の規模までは見えてきました。ちなみに今回の買収額は10億円だそうです。これで市場はほぼ2社のみ。ということは今後は、市場全体を大きくしていかなければ売上は増えないことになるので、オイシックスドット大地としては、需要創造を行っていくフェーズになっていくと思われます。
有機・低農薬野菜の宅配、と言っても、その基準はブランドごとに大きく異なります。何をもって有機栽培か、低農薬か、ということです。はじめから有機・低農薬で農家をはじめる人もいますが、そもそも就農は少ない上に、ほとんどの農家は跡継ぎがなく、耕作放棄地になっています。ということは、これまで農薬をつかっていた農家が有機・低農薬へ作り方を変えるパターンもありますが、例えば、何年前から農薬を使わなかったら、土への残留農薬の割合がどのくらいだったら、有機と言えるのか、低農薬と言えるのか、という問題が生じます。この基準は各ブランドバラバラの状態。公表されている資料を見渡す限りでは、らでぃっしゅぼーやの基準が一番厳しく、それゆえに品質的にいい(しかし割高)。というのが一般的な見方だと思いますが、らでぃっしゅぼーやは2017年2月期で売上200億円を割り、前期比11.4%減と言われていましたから、経営的には苦戦を強いられていました。
それに比べオイシックスは2000年にできた比較的新しい会社ながら、急速に成長してきました。オイシックスはマーケティング上手、とも言えます。その要員のひとつにおそらく「魅せ方」があると思います。宅配ですから、Webやチラシの紙面構成、デザインはとても重要な要素です。具体的には従来行われてきた「明るく、子どもじみたデザイン」を「大人のシズル感たっぷりのデザイン」を行ってきました。例えば写真も照明を当ててひたすら明るくではなく、陽の光や自然光を意識し、濃いものは濃く、薄いものは薄く、という野菜そのままの質感を大事にしているように思います。
しかしながら営業利益率は3~5%程度と、とても「儲かる商売」というわけではありません。社会的な使命がないととても動けないでしょう。再編を行ってきたオイシックスドット大地ですが、自社で3つのブランドを抱えることになります。必然、その「改廃」「棲み分け」が必要になり、検討しているでしょう。その行方やこうあるべき、などを勝手に論じていきたいと思います。
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