自社にしか言えないストーリーがあるはず。
言わなければ、伝わらない!
BtoB企業は大手企業でも採用に苦戦する場合があります。その理由は簡単で、知名度が低いからです。巷の就職人気企業ランキングを見ればわかりますが、そのほとんどがBtoC企業。商社やマスコミは世の中の景気に関係なく人気業種なので除くとして、いわゆる製造業系のBtoB企業はかなり大手でも苦労する場合があります。
BtoB企業の訴求点として、技術力やグローバルがよく出てきますが、そこまでの言及になっていて、なにがどう具体的にグローバルなのか、はっきりとはよくわからないものがほとんどです。しかも、部品関係であれば、どれも似たように見えて、何がどう完成された商品に貢献しているのかもよくわかりません。
このあたりをホームページやパンフレット、あるいは説明会でしっかりと言及するのは基礎の基礎。そうすると必ずと言っていいほど出てくる懸念は、「それらを言って、応募者は興味を持ちますか?」というもの。つまり、製品に詳しく言及しようとすると、ものづくりの職人魂で、結構詳しく言わないと、言い当てられないほどの細かい、こだわりの技術が詰まっているからこその、この質問なのですが、もちろん製品紹介のように詳しく言及する必要はありません。大切なのは、欲しい人物像に対して、その人物像が知りたいと思っているギリギリ深いところまで言及する、というのが理想です。これはホームページを見る時点、パンフレットを手にする時点でも異なります。なぜなら前者は企業を探して、ちょっと興味を持った時点で、後者はすでに企業説明会に来てから手にするものだからです。
しかし、情報の出し入れの他に、BtoB企業にはほとんどの他の企業よりも深い愛情を持っているものがあります。それが先程も出てきた技術力です。この技術の背景、歴史、開発者の思い、今のバージョンがどんな課題から生まれたのか。詳しい技術を語ると難しくなりすぎても、これらのことは、難しくなることはありません。そして応募者でなくても、実は知りたいことでもあるほど価値のある情報です。ですから採用の場でこれを公開することは、聞いている応募者にとっては、とても貴重な体験となります。つまり、脳の中に記憶として残りやすいともいえます。
それらの説明が、ほとんどのBtoB企業の場合、理念につながっていることが多いとも感じています。技術の会社は、その発祥はまた技術であることが多いのです。技術で人を助けたい。世の中を明るくしたい。そういうことは理念になっているのであれば、それを紐解くことで、芋づる式に説明を展開することが出来ます。それはその企業だけの唯一のストーリーです。
BtoB企業は、技術が優位であるがゆえに、採用でも「いいものをつくってるんだから見てくれればいい」という姿勢になりがちです。しかし、よく言われるように、伝わっていないのが日本の製造業の弱点。採用からその改革を始めることが、BtoB企業のブランディングの始まりにもなるのです。
- BtoB企業こそ、ブランディングが必要な理由。
- CHROこそ企業ブランドをつくるブランドマネージャーだ。
- CHROは、予算を達成するための人材戦略を描け。
- コンセプトひとつで、 採用は劇的に変わる。
- スペックで採用するから辞める。
- すべての経営判断を、理念につなげられるか。
- なぜインナーブランディングは進まないのか。
- 採用において、条件勝負は必ず負ける。
- 採用における会社説明会の理想的構造。
- 採用ブランディングの出発点はインナーブランディングだ。
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