ブランド論的「陸王」の楽しみ方。
ビジョンがある。ペルソナ化ができている。強みを活かせている。
池井戸潤原作のTBSドラマ「陸王」が人気を博しています。埼玉で足袋製造を営む「こはぜ屋」が、ランニングシューズを開発する物語。そのランニングシューズの名前が「陸王」です。陸王がなぜ成功できるのか、その要素はすぐに指摘することができます。まずペルソナ化がしっかりできていること。陸王のペルソナはケガをして再気に懸ける長距離ランナーの茂木裕人。今のシューズのほとんどが底の厚さと走り安さを求めるあまり、ケガを誘発しやすいという課題を見つけ、人間本来の走法である「ミッドフット着地」を促進させる、ケガをしないシューズ開発を目指しています。
「ケガをしないシューズ開発」。これがいわゆるブランド・ビジョン(叶えたい未来)になっています。そして、「ミッドフット着地」を促進するために、これまで培ってきた足袋の技術が活かされ、そして底(ソール)の特許を持つ技術に出会います。それまでの強みを元に、新たに強みを付加し、これまでにないブランドをつくる。これらは、成功するブランドの共通点でもあります。この格闘にさまざまな人間ドラマが付加されることで、「陸王」は人気を博しているのでしょう。
では、現実的にビジョンをつくって、ペルソナ化と強みの整理を行えば売れるのでしょうか。もちろんそれだけでは難しいことは確かです。選ばれる基本的な理由を兼ね揃えただけに過ぎません。実際には、HPやパンフレットのツール類の制作はもちろん、販売店探し(チャネル)も重要です。そして何よりも、中小企業にとってハードルが上がるのは、どこで知名度を上げていくのかです。大手企業のようにCMをバンバン打つわけにはいきません。小ロット生産、チャネルも限定して付加価値を上げていく、というのが現実路線ではないでしょうか。その中で一貫性を保っていくことも重要です。
理論上はもちろんこうなります。しかし新規開発となれば、ドラマで描かれているように、時間もお金も労力もかかります。これをやり遂げるには、なによりも情熱。そしてそれが終われば、広げていく情熱も必要になります。ここは理屈でどうこう言える領域ではありません。ブランドやマーケティングの理論ができることは、少しでもその情熱をサポートし、効率的に世の中に広めていく一手段である。と、さまざまな企業のサポートをさせていただいている中で思うことです。
- BtoB企業こそ、ブランディングが必要な理由。
- CHROこそ企業ブランドをつくるブランドマネージャーだ。
- アイデンティティがないから、ブランドにならない。
- カテゴリーのつくりかた。
- ソーシャルエコノミー時代こそ理念が武器になる。
- ターゲットを明確化できない病。
- なぜインナーブランディングは進まないのか。
- なぜブランディングで売上が上がるのか。
- なぜブランドにビジョンが必要なのか。
- なぜプロモーションとブランディングを混同するのか。
- なんかカッコイイのつくってよ、でブランドはできない。
- ブランディングとマーケティングの違い。
- ブランディングに即効性は出せるか。
- ブランドが消える理由。
- ブランドとブランド構築の違い。
- ブランドは、何をマネジメントするべきなのか。
- ブランドは売上に貢献するか。その1
- ブランドは売上に貢献するか。その2
- ブランドは想いによってつくられる。
- ブランドは意志を持って成長させろ。
- ブランドは日々のオペレーションでできていく。
- ブランド構築はお金次第か。
- 制作物だけでブランドはつくれない。
- 商品にはライフサイクルがある。理念にはない。
- 広告だけの差別化に意味はない。
- 広告より組織行動の方が重要。
- 理念と戦略と現場。どれが一番大切か。
- 理念を全うするために、プールの概念をぶっ壊す。
- 知名度さえ上がればいいのか。
- 誰のためのブランドか、明確でなければ、共感は生まれない。
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