CHROとは何か。どんな価値をもたらす人なのか。
わざわざ「CxO」をつける意味とは。
経営の所有と執行をわける考え方である「CxO」はアメリカに端を発し、2000年以降爆発的に増えました。CEOから始まって、COO、CTO、CFOの4人を基本に、その次にCMOが叫ばれるようになり、日本においてCHROの議論が少しずつ始まっている状況です。CHROの議論に入る前に、おさらいとして下記にこれまでのCxOの役割を記しておきます。
CEO:Chief Executive Officer=最高経営責任者
COO:Chief Operating Officer=最高執行責任者
CTO:Chief Technical Officer=最高技術責任者
CFO:Chief Financial Officer=最高財務責任者
CMO:Chief Marketing Officer=最高マーケティング責任者
CHRO:Chief Human Resource Officer=最高人事責任者
日本においては、代表取締役CEOのように、取締役とCxOが並んで表記されることが多いので、そうであればCxOという表記はその成り立ちや意味において、本来いらないはずなのですが、実際のところ取締役+CxOの表記は多いですね。
CHRO以外の役割が比較的明確で感覚的にわかりやすい一方で(もちろんそれぞれを深掘りすればとても深遠なテーマで議論を展開できるのであるが)、CHROも「人事」という、わかりやすいテーマであることは、誰しもわかるのですが、「人」がテーマであるゆえに直感的にどこまでをCHROとするのか、という「難しさ」が先に立ってしまうように思います。
人事には大きく分けて、採用、教育、労務、評価、配置(異動)と5つの仕事があります。CHROを短絡的に捉えれば、これらを統括する人事部長のことなのでしょうが、しかしそれは他のCxOにも言えることで、CMO=(取締役)マーケティング部長なのでは?という疑問と同じくらい掘っていくと深遠なテーマであると思います。そして双方、もしそうであれば、わざわざCxOと役職名を名乗る必要はないはずなのです。
「予算を達成できる人材戦略を描け」
以前、BRAND THINKINGでもイベント協力を行い、記事にもしましたが、リクルートやソフトバンク、GREEで人材戦略の責任者を行い、現在、株式会社SANBOW代表取締役社長の堀尾司氏が言っていたCHROの仕事の定義が印象的でした。それが「予算を達成できる人材戦略を描け」ということ。究極、この人材を採用することで、企業の売上が上がるのか?ということにコミットする人物こそCHROである、という話でした。
新卒でも、中途でも、採用しただけでは、人は活躍できません。理念も含めた教育を行い、正しく評価し、配置を行う。この一連の流れを企業の売上にどう結びつけていくのか。もしそれがCHROなのだとしたら、私はCHROこそ企業ブランドをつくるブランドマネージャーであると声を大にして言いたいのです。なぜなら、ブランド力を上げていくことは、長期的に見て売上を伸ばしていくことであり、だとすれば、ブランド戦略にとって、一般的な認識であるプロモーションや制作物などの「コミュニケーション」のみが、ブランド力向上に寄与するとは限りません。それをつくり、現場で実践する「人」こそが、企業ブランドを上げていくための重要なファクターでなのです。もし、仮にマーケティング部、営業、製造、広報それぞれが全く別々の行動をしていれば、ブランドにとって一番重要である一貫性を保っていくことは難しくなっていきます。広告は社会的な影響力も大きいですが、しかしその広告さえ、企業内の一部署の人間が、マネジメントするはずです。
CHROが企業内のブランド・マネージャーとしての視点を持って、企業の売上アップを人材の面から支援する。それこそ、企業にとって本質的であるのではないかと思うのです。
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