経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

新規会員登録

BRAND THINKINGはFacebookアカウントで会員登録いただけます。今後、会員向けメールマガジンを配信予定です。

経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

2017.05.23

なんかカッコイイのつくってよ、でブランドはできない。

ロゴをつくることは、ブランディングするということ。

ipad-605439_1920

ブランドのあり方をビジュアル化したものが、ロゴ=ビジュアル・アイデンティティ(VI)

よくフェイスブック等で「ロゴを作りたいんですけど、誰かデザイナー知りませんか?」「ロゴを作ったんですけど、どうですか?」と問いかけているのを見かけます。それに対して、「あのサイトで、デザイナーみつけたら?」とか「紹介できるよ!」とか「いいデザインですね!」とかコメントしているのを見かけたりもします。

こういうやりとりを見ていると、生業にしている私としては、ちょっと悲しかったりするわけです。上記のようなやりとりに悪意はありませんし、彼らを敵視するようなことはありません。

ですが、これはそのまま「ブランディング」ということの本質をしらないままの会話であるとも言え、まだまだ多くの人が「本当のブランディング」について知らないという状況に悲しくなるのです。同時に、この状況を解消するために、会社をつくったので、もちろんそれが原動力にもなっています。

「ロゴ」というのは、ブランド論的には、ビジュアル・アイデンティティ=VIと言われます。それはコーポレート・アイデンティティ=CIやブランド・アイデンティティ=BIを明確化した上で、行われるのが通常です。CIやBIは、現在のアーカー流に言うと、「ブランド・ビジョン」ですので、以後、ここに合わせます。

つまり、ロゴ=VIというのは、企業やブランドの「あり方」をビジュアル化したものであるのです。もう少し説明すると、「顧客とともに、目指す未来の規定であり、顧客にどう見られたいのかを決めること」なのです。これをビジュアル化したものが、ロゴ=VIなのです。

これができるデザイナーは、業界ではそうそう多くありませrん。それは高度なヒアリング力を要すからです。なので、VIをつくりたい経営者の方は、

1,自社や自分たちのブランドが、どんな顧客と、どんな未来を目指したいのかをまとめておくこと。どんなふうに、自分たちブランドを見て欲しいのかを考えておくこと。

2,その上でデザイナーに発注すること

をされるといいかと思います。とくに、スタートアップやベンチャーの経営者はここにお金をかけられないでしょうから、上記を最低限されるといいのではないでしょうか。

 

なんかカッコイイのつくってよで、動かないつくり手が正解。

よく「なんかカッコいいの、つくってよ」という発注がありますが、あまりおすすめできません。「カッコいい」は完全に主観です。自分がカッコいいとおもうものが必ずしもデザイナーからドンピシャに出てくる可能性もわかりませんし、デザイナーからすると、よほどその人との付き合いが長くないと、どうしていいかわかりません。また、カッコいいの基準がお互いに違うので、修正の繰り返しで結局VIが出来上がらないということも考えられます。経営者側がどこかで妥協すればそれは解消できますが、こだわる方であれば、先にデザイナーが折れるかもしれません。

以上のようなことは、よくよく起こり得ることなので、まっとうな制作者なら、「なんかカッコいいの作ってよ」では仕事を受けず、しつこくヒアリングを開始するのではないでしょうか。

そして、「なんかカッコいいのつくってよ」というオーダーこそ、自分たちのブランドについて、何も考えていないか、考えが浅いことを露呈してる発言にほかなりません。

また、制作する側からすると、目に見えない会社の雰囲気を汲むということもやります。だから、必ず対面で、じっくり話をしてから、VIをつくっていくということをします。ブランドは一貫性が命ですから、企業内の雰囲気とVIにも一貫性が必要なのです。そうでないと、お客様もそのズレに気づきます。だからよく、激安!ロゴ制作●円、●案まで、●円!を利用するとか、クラウドソーシング系のサイト内だけで、ロゴを何案も提案してもらって決めるというのを聞きますが、それで本当にブランドを体現したVIが出来上がるのかを、もう一度考えられたほうがいいと思います。

もちろん、こういう業界側にいる私たちの価格への努力も必要だとも思います。オーダーメイドだからといって、価格を高止まりさせておいてばかりではいけないでしょう。だからといって、Webだけで完結するクラウドソーシングはそのブランドのためにならないので、私は賛成しません。

会社の顔をきめるVI(=ロゴ)。それは何年も何十年も使用するものだと思います。絶対に安易には決めないでほしいと思います。

fukasawa

むすび株式会社 代表取締役
深澤 了

ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター、BRAND THINKING編集長。日本ブランド経営学会副会長。2002年早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。広告代理店アドブレーン社制作局配属。CMプランナー/コピーライターとしてテレビ・ラジオのCM制作を年間数百本行う。2006年パラドックス・クリエイティブ(現パラドックス)へ転職。企業、商品、採用領域のブランドの基礎固めから、VI、ネーミング、スローガン開発や広告制作まで一気通貫して行う。採用領域だけでこれまで1000社以上に関わる。2015年早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年むすび設立。地域ブランディングプロジェクト「まちいく事業」を立ち上げ、山梨県富士川町で開発した「甲州富士川・本菱・純米大吟醸」はロンドン酒チャレンジ2018銀賞、2019金賞、フランスKura Master2019金賞。埼玉県戸田市では「埼玉戸田・かけはし・純米吟醸微発泡」と、立て続けに日本酒をプロデュース。山梨県都留市ではネクタイブランド「TSURUIKI」の立ち上げも行う。クリエイティブ・ディレクター、コピーライターとしてFCC賞、日本BtoB広告賞、山梨広告賞など。雑誌掲載、執筆多数。著書は「無名✕中小企業でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング」(幻冬舎)、「知名度が低くても"光る人材"が集まる採用ブランディング完全版」(WAVE出版)。

むすび株式会社

まずはこの記事から

新着記事

タイアップ記事

最新連載記事

人物から記事を探す

セミナー・イベント情報

ランキング