経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

2017.03.22

組織の本当の強みは、意識すらされない文化の中にある。

【ブランドは見えない組織風土でつくられる 第2回】

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「従業員はブランドを演じる存在になれ」とは、今日のブランド論を体系立てたアーカー氏が書いた言葉だ。その後、広告を中心とするプロモーションやブランド・コミュニケーションの研究や実践は進んだものの、肝心な組織風土や組織行動に関しての研究は、ブランドの見地からは進んでいるとは言い難い。今回は、企業理念が組織風土をつくる、と考える組織人事戦略コンサルタントでビジネス・ブレークスルー大学准教授、三城雄児氏に聴いた。

 

意識すらされない中に、本当の文化が隠れている。

——エドガー・シャインの企業文化の3階層とはどのようなものなのでしょうか。

エドガー・シャインはまず企業内の文化レベルを3つに分けました。まず「人工物と創造されたもの」。これはつくり出された物理的・社会的な環境のことです。建物やオフィス、公式的な企業理念などもここに含まれます。次に「価値」です。議論されたり、疑問視されたり、行動として目に見えるものが含まれます。3つ目が「基本的仮定」です。これはかつては議論される「価値」であったものが、成功体験などを積んで、議論さえされないもの、この組織では無意識なレベルのもの、と定義されています。つまり、組織ではこの「基本的仮定」の中にこそ、本当の強さがあり、それが企業文化づくりの目指すべきところだと考えています。ただし、当然意識されていないので、社内の人間同士では見つけるのが困難です。社外から見てもらうか、もしくは社内の人が違う環境に行くとわかるという類のものです。海外に行くと日本の良さが分かる。あれと一緒です。異文化体験して初めて気づくことなのです。これをなんとか見つけ出して、社内共有していくと、自分たちの本当の強みをコントロールして戦うことができるのです。

 

一貫性のある文化をつくるには、フォロワーが絶対的に必要。

——企業文化をつくるには、無意識を意識して、また無意識に落とすというプロセスが必要ということですね。

まず、意識されていない企業文化を一度顕在化して、エドガー・シャインの言う、「人工物」に一度仕立て上げる必要があります。そうすると「ルール」になります。それをもう一度無意識に落とすことで、強い企業文化を醸成することにつながるということです。そして、文化をつくるということと、フォロワーの存在は密接な関係性があります。例えば、文化をつくるには、宗教が広がっていった時の手法が参考になります。難しいことではありません。キリスト教で言えば、宣教師がいて、キリストの教えを世界中に伝えていきました。仏教ではブッダがいて、その弟子たちがいます。つまり、リーダーがいることは重要であるものの、それを「伝える人たち=フォロワー」の存在がとても重要であるということです。すごいリーダーであればあるほど、普通の人はリーダーの真似はできないと思ってしまいます。でもフォロワーの真似は、「私にもできそうだ」と思える。それが一貫性のある企業文化を伝えることにつながっていくのです。

 

任せる。権限と責任を奪わない。それがリーダーに育てる。

——社長のフォロワーもまた、部下のいる組織ではリーダーです。このあたりの振る舞い方はどのようにすればいいのでしょうか。

例えば部長のAさんがいるとします。その上司で役員のBさんはどうすればいいか。それはAさんにリーダーだと思わせることが必要だということです。Aさんが率いている部署は、Bさんのものではなく、Aさん自身が「私が率いている」と思わせる環境をつくらねばなりません。AさんがただBさんの意向を伝えているだけでは、ただの伝書鳩ですからね(笑)。そのためには、権限と責任を同時に与えることが大切です。権限だけ与えても、その上のリーダーが思うような結果はできません。「やることはここだよ」という責任を彼に与えてあげることが重要です。単に数値的なノルマを与えるのではなく、期待される状態を一緒につくろうというスタンスで、権限と責任を与える必要があります。極端に言うと、ひとつ上のリーダーは権限を放棄するくらいの感じがいいんです。自分がやらない。それを意識するといいと思います。任せたら、ひとつ上のリーダーは権限や責任を奪っちゃいけません。意見もなるべくならしないほうがいい。そうすれば、Aさんは自分が決めないといけません。だから彼は自分の率いている組織でリーダーになれるんです。

 

第3回は3/29(水)に公開します。

 

聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

三城雄児

株式会社JIN-G 代表取締役
三城 雄児

早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社富士銀行(現みずほ銀行)入行。株式会社マングローブ、株式会社日本経営システム研究所、ベリングポイント株式会社(現プライスウォーターハウスクーパーズ株式会社)にて、組織人事戦略コンサルタントとして活躍。2009年、株式会社JIN-G設立。ビジネス・ブレークスルー大学准教授。

株式会社JIN-G

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