経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

2017.03.15

組織はリーダーよりも、フォロワーづくりが、肝になる。

【ブランドは見えない組織風土でつくられる 第1回】

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「従業員はブランドを演じる存在になれ」とは、今日のブランド論を体系立てたアーカー氏が書いた言葉だ。その後、広告を中心とするプロモーションやブランド・コミュニケーションの研究や実践は進んだものの、肝心な組織風土や組織行動に関しての研究は、ブランドの見地からは進んでいるとは言い難い。今回は、企業理念が組織風土をつくる、と考える組織人事戦略コンサルタントでビジネス・ブレークスルー大学准教授、三城雄児氏に聴いた。

 

リーダーは、「批判型フォロワー」こそ大切にすべき。

——三城さんが組織のフォロワーに着目したのはなぜでしょうか。

世の中、リーダーばかり注目されます。すごい組織は、すごいリーダーがいたことは確かです。でも、そのリーダーをすごくしている人が必ずいることに気づいたんですね。例えば本田宗一郎さんも、松下幸之助さんも、稲盛和夫さんも。いいフォロワーがたくさんいる組織は、すべからく成長していくと思うのです。例えば、これは私も経験したことですが、フォロワーの人たちがリーダーに表向き、いい顔をしているんですが、実は裏ではそうではなかったり、リーダーに冷めていたりすると、リーダーは、本当に意味でリーダーにはなれないんです。リーダーというと、何かと目立たないといけないように思われがちですが、目立つ必要なんてないと思います。つまり、フォロワーが頑張る組織をつくる、ということが大切で、そういう人が多い組織は、非常に優れている組織であると、シンプルに考えています。しかしフォロワーとは言え、従順なだけでは、リーダーの器以上の会社にはなりません。「批判型フォロワー」と私は呼んでいますが、リーダーの方向付けを受けて、新しい発想が出来たり、リーダー自体を批判もできるし、力になることもできる。よく組織内のリーダーはこういう人を無下にしがちですが、こういう「批判型フォロワー」こそ大切にしなければなりません。

 

まずリーダーがフォロワーに感謝を。

——よく言われる「イエスマンばかりを隣に置いてはいけない」ということですね。

リーダーの方向性に賛成をしてくれるけれども、しっかりと批判もできるフォロワーを、リーダー自身が他のメンバーと対等に扱っている組織が強くなる組織だと思います。メンバーが補完しあっている組織で、かつチーム全体でリーダーの機能を持っている。そんな組織が理想だと思います。例えば、積極的なリーダーの裏側で、慎重なフォロワーがサポートするなど、そうすることで、よりリーダーが自分の色を出しやすくなるとも言えます。重要なのは、リーダーが自分以外のフォロワーに感謝することです。彼らがいるからこそ、今のリーダーシップが成立していることを認識しなければなりません。立場はリーダーの方が上かもしれませんが、マインド的には対等でなければならないのです。リーダーにだって、不得意なことがあると思います。それをサポートしてくれているのは、他ならないフォロワーのはずです。必ずしも表に出す必要はありませんが、リスペクトを持っていれば、行動に現れますから、その気持は相手にもしっかりと伝わります。

 

気づいていない見えない風土が強みになる。

——フォロワーとリーダーの補完関係が組織風土をつくるんですね。

リーダーがいて、リーダーが感謝しているフォロワーたちがいる。そういう組織には「見えない」風土が生まれます。例えば、あの会社はなぜか仕事が早い。なぜか会議が30分で終わる。なぜか意思決定が早い。いつも感謝を忘れない。そういう組織ならではの特徴が、必ずどこの企業にもあります。当たり前すぎて、自分たちも意識していない風土が、どの社員にも徹底されている組織は本当に強い組織なのだと思います。例えば、私たちのクライアントである翻訳会社がありました。翻訳というのは、どの会社も納期が遅れがちで、業界全体としてそれが当たり前のようになっています。しかし、ここの会社は納期を絶対に守る会社でした。自分たちは当たり前すぎて、PRしようとも思わなかったようです。しかし、外から見ると、こういうことはとても評価されます。実際、この会社は提案書に「私たちは納期を絶対に守ります」と入れたら、受注率が上がりました。何が「見えない風土」になっているのかを探ることは、とても自分たちだけでは難しいことです。エドガー・シャインが「企業文化には3階層ある」と言っていますが、この理論は、自分たちの強みを探る上で、とても参考になると思います。

 

第2回は3/22(水)に公開します。

 

聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

三城雄児

株式会社JIN-G 代表取締役
三城 雄児

早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社富士銀行(現みずほ銀行)入行。株式会社マングローブ、株式会社日本経営システム研究所、ベリングポイント株式会社(現プライスウォーターハウスクーパーズ株式会社)にて、組織人事戦略コンサルタントとして活躍。2009年、株式会社JIN-G設立。ビジネス・ブレークスルー大学准教授。

株式会社JIN-G

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