【いい組織が、いいブランドをつくる 第2回】
ブランド構築の命は一貫性。社外へのコミュニケーションだけではなく、インナーブランディングとも言われる、組織内の理解や意思統一もとても重要になってくる。経営者自身や社員が、どのような意識になることで、一貫性のあるいい「チーム」ができていくのか。ゲシュタルト療法を組織開発に活かしてイノベーションが生まれるチームづくりを支援する企画経営アカデミー代表取締役・大槻貴志氏に聴いた。
頭で考えない。思考は嘘をつく。
——ゲシュタルト療法を駆使した組織開発とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
ゲシュタルト療法を活かした組織開発は、簡単に言えばメンバー全員が「今、ここに集中する」ということです。今、禅の教えやマインドフルネスという考え方が広まってきていますが、ゲシュタルト療法では、それらの考えは前提になっています。自分の身体感覚に集中していきます。人は思い込んでいることがたくさんあります。組織の中でああしないといけない、こうしないといけないと、いろんなしがらみのなかで、「ねばならない」で考えてしまいがちです。そうなると本当に自分が何をしたいのか、なんてどこかに置いてしまっていることが多い。そうなると、昔の自分みたいに「儲かるからやる」みたいになってしまいます。心が入らないから、うまくいかないのです。だから数値目標も設定しません。設定してしまうと、そこに向かって利益を上げないといけない、という思考になる。以前のように、社会全体が成長していて、何をしたら成功するのかはっきりしていた時代にはコーチ的なやりかたがうまくいくと思うのですが、今のように混沌とした時代には、ゲシュタルト療法が有効だと思います。
分析しない。ありのままをフィードバックする。
—— 明確な目標に導かないということは、あくまで自発的な行動を促す必要があります。それをどう引き出すのですか。
まず、仕事を始める時は、その企業の組織診断から始めます。経営者はもちろん、何人かいろんな階層の人たちにヒアリングをします。単にヒアリングする、というよりは、「本当はこの人は何を抱えているのか」ということの解明を目指して話を聴いていきます。よくアンケートはしないんですか?と言われるんですが、アンケートだけで診断することはしません。アンケートは回答者が自分の思考を操作してしまい、本人が意図せずに本音と違った回答をしてしまうことがあるからです。そして聴いたことは分析しません。あるがままに感じしていきます。そうすると、「笑いながら言っているけど、イライラしているな」というのを感じたりします。そこに対して、静かに、冷静にそのことをお話します。そうすると、徐々にその人の本音が見えてきます。以前言われたのは「大槻さんには本音を言わないとバレる」と(笑)。ゲシュタルト療法では、フィードバックをとても練習します。なにを感じ、なにを気づいたのかを、バトンのように渡してあげるという感覚です。これを何人も繰り返すと、組織の問題点があぶり出されます。その仮説をワークを用いて実験してみます。仮説が当たれば、そのメンバーに「気付き」を生むことができます。その気づきを生むことで、組織活性の最初の一歩を踏み出すことができるんです。本当に、この組織でやりたいことはなんなのか。成し遂げたいことは何か。それが人間を動かしていきます。
建前ではなく、本音を話せる組織がつくれるか。
—— 自律型の組織をつくっていくためのひとつの考え方がゲシュタルト療法の応用なのですね。
組織活性をするために大事なことは、社員一人ひとりが「今ここにある安心感」を抱けるということです。こんな意見を言ってもどうせ潰されてしまう。どんな企画を持っていけば上司はオッケーしてくれるだろうか。と常に誰かの顔を思い浮かべて人は仕事をしがちです。そうなると、当然リスクを背負うような発言をしなくなりますし、いくら経営陣が「もっと新しいアイデアを出せ」と言ったところで、全然出てこない、ということが起こりがちです。「あいつらなんで新しい意見出さないんだ」という声が、役職者から出てくることがありますが、部下からすると、自由な意見を言えない雰囲気がそこにあるということです。上司はアイデアを出してほしい。部下は出したくても出せない。こんな状態が日本のあちこちの組織にあると思います。これを解決するには、仕事の建前じゃなく、本音で話せる人間関係をまずは経営陣とその部下からつくっていくこと。そうすることで、意見を自由に言いあえる真の意味での「風通しのいい組織」になり、自律型の組織に生まれ変わっていくと思います。例えば、ランプトーク。暗闇でランプを立てて自由に話してもらう。最初はポツポツ仕事の話だけだったのが、いつしか同僚にも話していなかった自分の経験談をはなしていたりもする。そんなことをやったりすると効果があると思います。
(第3回は3/1水に公開します)
聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して弊社は一切の責任を負いません。