経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

2019.06.03

アドラーからブランド論へ。 異分野だから、イノベーションが起こせる。

【BRANDING PERSON 第4回】 むすび株式会社 嶋尾 かの子

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BRANDINGに携わる人に焦点を当てる「BRANDING PERSON」。第4回目はアドラー心理学をブランド論に応用し、業種や事業規模関係なくブランド構築を行うことができる「ブランド実践™(ブランド・プラクティス)」という新概念の研究開発を行っている嶋尾かの子氏。彼女は芸術文化学の博士号を持つユニークな経歴の持ち主だ。さまざまなことを経験しながら今に至る彼女の源泉と原動力を探った。

 

聴き手・構成:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

 

バックパッカーだった学生時代。

バックパッカー(バックパッカーだった学生時代 ※写真は嶋尾氏提供)

高校時代、実は理系だった嶋尾氏。一方で5歳から始めたピアノもずっと続けていた。自身が師事していたのは、大阪府大東市内で一番有名だったピアノ教師。師匠から高校時代に音大進学を進められたのが、大阪芸術大学に進学するきっかけになった。しかし、ピアノの練習は毎日8時間を超え過酷を極める。賛美歌が好きだったこともあり、声楽分野で芸大への進学を目標にした。「本当は家から近く、家がキリスト教だったこともあり、同志社女子大の音楽科を第一志望にしていましたが、落ちてしまったので、大阪芸大に進学したのが実のところなんです(笑)」。大学入学後、当時ベトナムのホーチミンで働いていた兄を、友達とバックパッカーで訪ねたと言う。最小の荷物、最小の資金でどれだけ楽しめるか。バックパッカーにハマり、ベトナムからタイ、カンボジア、ラオスと訪ねる中で、そこで出会った民族音楽に興味を持った。「私、ずっと西洋音楽ばかりだったので、はじめは『何!?このダサい音楽!』って感じでした(笑)。でも嫌いなはずなのに、なんか気になってしまって。それで修士課程に進んで研究することにしたんです」。

 

第二子を授かりながら書いた博士論文。

民族音楽を学ぶときに必須なのがフィールドワーク。ラオス国立大学ラオス語学科に留学し、ラオス語を学びながら、ボランティアでラオス国立音楽舞踊学校でピアノ教師として働くことになる。「まだまだ当時は貧しい国で、当然クーラーはないですし、窓の扉まで木造でした。楽器は湿気やほこりはNGなのですが、暑いので窓を開けると、赤土が舞ってくるような場所でした。ピアノの黒鍵も3,4個ありませんでしたね(笑)」。その後、修士課程を修了し、さらに博士課程へと進んだ嶋尾氏は、ラオス国立大学のある首都・ビエンチャンではなく、南へ600kmほど離れたチャンパーサック県に早稲田大学の研究員としての肩書も持ち、赴任することになる。研究テーマは「世界遺産地域における音楽文化の研究」。「電気も水も通っていない山奥で研究活動をしていました。家の中に虫がいるのは普通の環境でしたね。ラオスのゴキブリってなぜか動きが遅いんですよ(笑)。おかげでどんな場所へ行ってもあまり驚きません」。博士課程中、結婚と出産を経験し、1年間の休学後、第二子を授かりながら博士論文を提出し、無事に修了。出産を経て、すぐに大学の講師になったが、大阪の大学と東京の自宅の往復、大学の授業の準備など多忙を極め、子育ての時間を大切にしたいと、1年間の講師経験の後、子育てに専念する。その後、子どもが幼稚園に通うようになってから、限られた時間にアルバイトをしていた。「子育て中に出会ったのがアドラー心理学。私がとても厳しく育てられたこともあり(笑)、子どもと深い信頼関係を結びながら、穏やかに子育てできないかと思ったのが発端でした」。

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企業の目的と働く目的が重なれば、業績は上がる。

とことん突き詰めるのが嶋尾流。アドラー心理学も、この人に教わりたいという人と直接連絡を取り、講座に申し込み、ついには講師の資格まで取得した。「学んでいるうちに、子育てでだけではなく、大学生にも応用できることに気づきました。アドラー心理学を大学生に伝えることで、自分なりの就業観を育むきっかけになるだろうし、さらに発展させれば、企業研修にも応用できるだろうと思いました」。そのうち自身でアドラー心理学の講座を開催。各地から講演にも呼ばれるようになった。働く女性として、母親として、これまで伝えてきた人数は全国でのべ1000人以上。嶋尾氏のワークショップでは感動して涙を流す人も出るという。「アドラー心理学が他の心理学と大きく違うのは、原因を見ずに目的を見ること。原因は過去を探るのみで、解決策は導かれないことが多いんですね。目的とは言い換えれば、『なんのためにやっているのか』ということ。この考えを企業に置き換えれば、『ビジョンやミッションなど、理念のこと』だし、人に置き換えれば、『そこで働く理由や、やり甲斐そのもの』。この2つをすり合わせることで、効果的に理念浸透を行うためのメソッドが開発できるはずです。理念浸透は業績アップを生み出しますから、効率的なマネジメント方法をここからつくりだすことができます」。アドラー心理学からブランド論へ。異分野だからこそ、イノベーションを起こせる。今、嶋尾氏はまさに自分で起こしつつあるイノベーションの渦中にいる。

 

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嶋尾 かの子
むすび株式会社 ブランド構築研究開発室 室長/ブランディング・ディレクター

大阪府大東市出身。大阪芸術大学大学院博士課程修了。芸術文化学博士。思春期真っ只中の小6男子、小5女子の2児の母。子育て中に出会ったアドラー心理学の学びを深め、全国で講演、講座を開催。これまで約1000人以上に自身の経験を踏まえ、子育てや女性のキャリアについてアドラー心理学の観点から伝える。現在はアドラー心理学をブランド論に応用し、ブランド・ビジョンを効率的に社内に浸透させる新概念「ブランド実践™(ブランド・プラクティス)」理論を構築中。戸板女子短期大学講師。アドラー心理学講師。アドラー心理学会、日本マーケティング学会、日本ブランド経営学会会員。日常会話レベルで話せる言語は、英語、ラオス語、タイ語、大阪弁。

 

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ビジネスにいきる酒場 居酒屋アドラー #1

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