2021年7月15日、オンラインにて日本ブランド経営学会サロン第31回が開催されました。
日本ブランド経営学会は、ブランディングの視点から日本の企業経営を変えていくという志をもった学びの集まりです。なかでも活動を特徴づけるサロン活動には、「ブランディング」という共通の関心事をテーマに社会人が集まり、創発的な取り組みのきっかけの場にもなっています。
ライトニングトークは、和田哲郎さん(特定非営利法人江戸商店観光振興会)の発表です。
浅草はこの20年苦難の歴史でした。実は2000年代には観光客が激減したそうです。商店街はそこでさまざまな対策を行い、歴史あるイベントの復活を行い、少し人通りが戻ってきますが、東京スカイツリーができてからはそちらに観光客が流れ、苦心の末、外国人観光客(北米、欧州)をターゲットにした戦略で数多くの観光客が訪れました。ポストコロナの浅草を、和田氏はこのように予想します。浅草のリピーターは文化や歴史のある層へ変化。欧米の観光客に加えアジアの英語圏(台湾、シンガポール)や日本文化との親和性のある台湾、ベトナムが浅草観光の中心になるとしています。
最後に、和田氏は「まちの遺伝子を掘り下げ、誇りを持って伝えられる『まち』の顔をつくります」と宣言。元広告代理店勤務の和田氏らしい、発表となった。
今日のメイン登壇は、石原 和仁 (株式会社日経BPコンサルティングブランドコミュニケーション部/SDGsデザインセンター)氏です。テーマは「企業価値を高めるブランド経営のイロハ~ブランド・ジャパンランキングから探る“ブランド経営の1歩目“~」です。
石原氏はシンプルに「このブランドなら間違いない」と言わせたら勝ち、とブランディングを定義します。ブランド研究の第一人者「デービッド・アーカー」やその教え子で一橋大学ビジネススクール教授阿久津聡氏の監修のもと、日経BPが毎年開催しているブランド・ジャパンの経験をもとに、わかりやすく解説してくれました。
ブランド総合力ランキングを写しながらわかるのは、ランキングするのは「カテゴリーの第一人者」であること。例えば1位のYouTubeは無料の動画サイト。石原氏はオンリーワンではないと、「ブランドの基礎体力がない状態」説明します。
今年の傾向は、業界内でかなり優劣がついたということ。DX化を促進できた企業はブランド力が上がり、そうでない企業はブランド力が下がるということになりました。あるブランドを例に、さまざまな企業と比較して、数値がどのように変化し、ブランドの見え方がどのように異なるのか、わかりやすく解説してくれました。
「ひとりの人の想いをいかにして世の中へ伝えるか。それがブランドをつくるということ」。そう石原氏は話します。ブランディングの王道は「理念を大切にすること」。キリンやソニーの例を挙げ、理念がないと、らしさを失い、売上を上げることが第一になり、手段を選ばなくなり不正が横行する。そして、なんのために働いているのかわからなくなると警告します。一方、理念を大切にすることで、「ただ集まりがチームになる」を皮切りに、さまざまな利点を挙げてくださいました。石原氏はブランドづくりのポイントは「役に立つ」×「意味がある」を目指すことと指摘しています。
石原氏の発表後はいくつかのブレイクアウトルームに分かれ、それぞれのルームでディスカッションが行われました。
毎回このディスカッションでは、成功話だけではない、苦労や失敗などのブランディングの実践における、生の議論が繰り広げられています。次回のサロンは8/19(木)19:30〜の開催となります。
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