2020年7月22日、オンラインにて日本ブランド経営学会サロン第22回が開催され、オンラインで約40名の方が参加されました。

日本ブランド経営学会は、ブランディングの視点から日本の企業経営を変えていくという志をもった学びの集まりです。なかでも活動を特徴づけるサロン活動には、「ブランディング」という共通の関心事をテーマに社会人が集まり、創発的な取り組みのきっかけの場にもなっています。

今回のテーマは「ブランドと言葉の力」。株式会社パラドックス執行役員ブランディング・プロデューサー/クリエイティブ・ディレクターの鈴木祐介氏がメイン登壇。その前にまずは３人のライトニングトークで始まりました。

トップバッターは、フルカワカイ氏。SIGN主宰、ブランディング・プランナー/コピーライターとして福岡を拠点に活躍しています。さまざまな事例を共有してくださいました。「読んで気持ちいい言葉ではなく、人を動かしたい」。これがフルカワ氏のスタンス。そのために「個性＋普遍性」というを伝えることを大切にしているそうです。それが行動への「覚悟」を生むのではないか、と問題提起します。そして人を動かしたその先は、「想像社会から創造社会へ」。自身の才能に目覚め、多様な社会に可能性を見出す社会になるのではないか、とプレゼンしてくれました。

２番目は高田勝太氏。90ENGLISHという90日で話せるオンライン英会話を主宰しています。ドバイで生まれた彼は幼少期で日本へ。英語を習得するためにアメリカへ留学し、新卒であこがれの企業で働き始めますが、まずは靴磨きのサービスで独立し、徐々に現在のオンライン英会話へシフトしていきます。毎日英語で日記を送っていただくことで、90日で徹底的に英会をモノにするサービスを確立されました。

笏本達宏氏。株式会社笏本縫製の専務取締役。今年、社長に就任するとのこと。しかしもともと家業は「ダサい」と思い、絶対に継がないと思っていたそうです。しかし継ぐと決めたときから、「縫製はカッコいい」をミッションに決め、これを言い続けようと決意します。しかし、「下請けにブランディングなんかできない」と多くの人に言われ続けたそうです。

そしてメインの登壇は、株式会社パラドックス執行役員ブランディング・プロデューサー/クリエイティブ・ディレクターの鈴木祐介氏。「社会の課題をクリエイティブに解決する」がご自身のミッション。「PARADOX INCUBATION」を設立し、社会の課題を解決するスタートアップを支援する事業を行っています。当日は出資先企業のある沖縄から参加してくれました。

鈴木氏はまず、みなさんに「ブランディングとは何でしょう」と問いかけます。「唯一無二の存在」「価値の定義と記号化」などたくさんの回答がチャットで寄せられました。鈴木氏は「いい経営そのものである」と言います。コミュニケーションでやれることをすべてやっていく。そのことで、そのブランドのファンが増え、いい人が採用できたりする。それがブランディングなのではないか、と話してくださいました。

事例として挙げていただいたのが、沼津港深海水族館。「深海がいのちの謎を解く」がミッション。「沼津には深海がある。深海をブランドにできないか」。そんな思いを戦略から、コミュニケーションにまで一貫させていきます。しかし、深海魚は飼育が難しく、ビジネスにならないと言われました。しかも2011年、東日本大震災の年に開館。経営のリアルまで共有いただきながら、まさにブランディングが「経営そのもの」であることを感じさせてくれました。

次回は8/20（木）19:30〜。机上だけではない、実践知がたくさんつまった時間が流れています。