2020年9月17日、オンラインにて日本ブランド経営学会サロン第24回が開催され、オンラインで約40名の方が参加されました。
日本ブランド経営学会は、ブランディングの視点から日本の企業経営を変えていくという志をもった学びの集まりです。なかでも活動を特徴づけるサロン活動には、「ブランディング」という共通の関心事をテーマに社会人が集まり、創発的な取り組みのきっかけの場にもなっています。
まず、今回は「米国市場のブランディング最新事情〜COVID-19とBlack Lives Matterの影響〜」と題して、(株)SUBARU米国ダラス・オフィス所長・齋藤嘉昭氏が現地から発表を行ってくれました。なんと現地は5:30です。事例として取り上げていただいたのはNIKE。新型コロナウイルスが流行する初期の段階から、フェイスシールドやシューズを医療従事者に提供するなど、非常に早い取り組みを行ったそうです。そして多くの企業が追随したとのこと。新型コロナウイルスにより、アメリカでは日本では当たり前の意識である「手洗い」、「うがい」、「マスク」などの衛生意識が向上したそうです。
またアメリカでは制度的に人種差別が組み込まれている、と齋藤氏は指摘します。そしてさまざまなBlack Lives Matterとブランドの事例を紹介くださいました。しかし、BLMは米国において、もはや避けられないのではないか、と結論づけて発表を終えました。
次に発表くださったのは、(株)インターブランドジャパン戦略グループエグゼクティブ・ディレクター 田中英富氏です。『ブランド価値とは何か。ブランド価値を高めるためにはどうすれば良いか。』について発表してくださいました。ブランド価値評価は1988年がはじまりで、2000年からインターブランドではブランド価値評価を発表しているそうです。そしてブランド価値評価の力を表したのが、リーマン・ショック後の回復スピード。ブランド強度スコアの70点以上の株価パフォーマンスを見てみると、他の企業よりも2倍位以上の速さで株価が回復しました。また、企業価値とブランド価値には関連性が高く、ブランド価値が高くなると、企業価値換算が急速に高まることもわかっています。
また、田中氏によれば、ブランド価値とは次の4つのステップで算出するそうです。1,財務分析(既存の財務データを元に将来の利益を算出)、2,ブランドの役割(どの程度利益に貢献しているか)、3,ブランド強度(どういう状態ならブランドが強いと言えるのか)、4,ブランド価値となります。
例えば、2のブランドの役割では、機能的に購買が生じることよりも、情緒的に購買が生じるほうがよりブランドの役割が高い、と考えます。
経営者が強いビジョンを持つこと。それを全社員が共感し、顧客も同じことを思うこと。これが強いブランドをつくるために必要なことであると、田中氏は強調します。
2人の発表の後は、日本ブランド経営学会会長の上條氏がモデレーターとなって、齋藤氏、田中氏との熱いクロストークとなりました。
次回は10/24(土)10:00〜。いつもとは違い、研究発表会として数多くのみなさんが論文を元に発表を行います。
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