2020年5月22日、コロナの影響もありオンラインにて日本ブランド経営学会サロン第20回が開催され、オンラインで40名の方が参加されました。

日本ブランド経営学会は、ブランディングの視点から日本の企業経営を変えていくという志をもった学びの集まりです。なかでも活動を特徴づけるサロン活動には、「ブランディング」という共通の関心事をテーマに社会人が集まり、創発的な取り組みのきっかけの場にもなっています。

今回のテーマは「組織変革型インナーブランディングの進め方」。ヨハク代表、ヤマグチタツヤさん、日本ブランド経営学会会長／愛知東邦大学教授、上條憲二さん、愛知東邦大学入試広報課 課長、三輪哲也さんが登壇してくださいました。

オンラインでインナーブランディングを実践していくときの盲点。

まずはヨハク代表、ヤマグチタツヤさんのライトニングトーク。実際にご自身が手がけられたインナーブランディングのオンラインを利用した貴重な事例。そのひとつが「心理的安全性」。オンラインでインナーブランディングを進めていく際の注意点を具体的な手順で示してくださいました。そしてオンラインでインナーブランディングを進めていく際の5つの盲点を示し、現場での実践知を共有くださいました。

また、今回の愛知東邦大学のインナーブランディングの事例について、ヤマグチさんがnoteにまとめた詳細な記事もありますので、ご参考ください。https://note.com/yamatatsutatsu/n/nbff15b66d56c

基本通りに実行。偏差値10近くの上昇を達成した愛知東邦大学。

次は日本ブランド経営学会／愛知東邦大学教授の上條憲二さん。ブランドとは何か？という基本的な話から、ブランドの基本原則について、人間に例えて、わかりやすく話をしてくださいました。

その上で、愛知東邦大学のブランドの課題について共有。伝統ある大学であるにも関わらず、上條さんが赴任した当時2015年には定員割れ。しかし2018年、定員を大幅に上回る応募があり、偏差値は一気に上昇。2019年にはブランディングの以前よりも10近く上昇した学部もありました。地方の認知度の低い大学が、日本経済新聞でとりあげられ、そのサクセスストーリーは「JAPAN BRANDING AWARD」で表彰されます。

この結果から、大学内部でブランディングを手動した上條さんは「ブランディングは、熱意があれば、必ず成功する」と断言します。

2016年からブランド推進委員会を発足させ、プロジェクトが始まります。インターブランドが提唱する「ブランディング7つの原則」に沿って、基本に忠実に進めていきます。ロゴはもちろん、HP、パンフレット、バス、ファザード、体育会部活のユニフォームにまで、ビジュアルを統一していきます。愛知東邦大学がすごいのは、ここだけにとどまりません。教授、学生を巻き込み、入試改革にまで、コンセプト「オンリーワンを一人にひとつ」を徹底し、落とし込んでいきました。

「じぶんブランディング」プログラム開発。

最後に入試広報課の三輪哲也さん。職員の目線でのブランディングを話してくださいました。入試広報課を「ブランドを具現化する役割」と位置づけ、自身の仕事を「人生の岐路に立ち会う仕事」と定義し直します。広報として、高校生向けの「じぶんブランディング」プログラムを開発。高校を訪問し、50分で授業を行い、「じぶんブランディング」を開発する際のガイドとなる手帳を配布します。あまりの充実さに「これで無料ですか！？」と評判を呼んでいきます。三輪さんはブランディングのベースは「信頼」であり、そのために、良質なコミュニケーションこそが重要であると話します。未来を生み出していくのは、組織内での信頼関係こそがキーになるとのことでした。外ばかりに目が向いて、顧客との信頼づくりにばかりに注目してしまうと、結局、組織内にしわ寄せが行ってしまいがち。組織内にもしっかり目を向けることが、外に対しての約束にもつながっていくとのことでした。

三輪さんの話のあとは、ヤマグチさん、上條さん、三輪さんでのクロストーク。インナーブランディングを進めていく中での難しさや楽しさなど、本音のトークが繰り広げられました。

次回は6/18（木）19:30〜。机上だけではない、実践知がたくさんつまった時間が流れています。