2020年4月16日、コロナの影響もありオンラインにて日本ブランド経営学会サロン第19回が開催され、オンラインで50名以上の方が参加されました。

日本ブランド経営学会は、ブランディングの視点から日本の企業経営を変えていくという志をもった学びの集まりです。なかでも活動を特徴づけるサロン活動には、「ブランディング」という共通の関心事をテーマに社会人が集まり、創発的な取り組みのきっかけの場にもなっています。

今回のテーマは「ブランド戦略がコーポレートの価値を高める」。乙幡満男さん、松尾任人さんの2人を中心に発表頂きました。

コロナ時代にいかに「体験価値」を落とさず価値を出していくか

まずはチカイケ秀夫さんと山田祐一さんによるライトニングトーク。オンラインホワイトボード『miro』の使い方を中心に発表頂きました。オンラインを活かし、参加者全員で実際に『miro』に触れながら使い方を解説。付箋を貼る練習を主に、皆様で楽しみながら和気藹々としたスタートとなりました。

ブランドの資産価値が上がれば、企業価値は上がる

次は乙幡満男さん（株式会社ブランドテーラー 代表取締役）による発表です。乙幡満男さんは、イオンのプライベートブランドのブランディング、マツキヨのリブランディングなどに携わり、Japan Branding Awardsで最高賞受賞に輝くなど、多くの世界的権威のある賞の受賞に導きました。2018年には独立し、ブランドコンサルタントとしてブランディングや商品開発の支援を行っています。

今回のトークテーマは「ブランド戦略がコーポレートの価値を高める」。図を表示させながら、わかりやすく発表頂きました。まずは基本的な「ブランドとはなにか？」を解説。その中で「ブランドの資産価値が上がれば、企業価値は上がる」を前提に、ブランディングの重要性を改めて再認識させます。

乙幡満男さんの発表ということもあり、マツキヨの話に注目が集まる中、実際に小売りやスーパー、ドラッグストアのブランド価値向上方法に話は進みます。スーパーやドラッグストアーの差別化は難しいとした上で、PBの重要さを解説。PBでブランド価値を高めるにはどうするべきか？PBとはどうあるべきか？マツキヨの事例も含めながら、説得力のある解説を展開します。

社内で議論を重ね、マツキヨらしさを具現化し、見事にマツキヨのリブランディングは成功。成功のポイントとして、以下の3つを挙げていました。

・ブランド戦略をセオリー通りに行った
・会社が経営層（創業家）を中心に一丸となって行った
・ブランド戦略を立案し、確実にエクゼキューションを行った

経営とブランドとデザインの関係

次は松尾任人さん（株式会社インターブランドジャパン　エグゼクティブフェロー）による「経営とブランドとデザインの関係」の発表です。松尾任人さんは、環境デザイン研究所、西武百貨店、I&S/BBDOを経て、建築・流通・広告とさまざまな領域でデザインに携わり、ブランドの最前線で国内外企業のブランディングを手掛けています。

「ブランドをデザインするとは？」から始まり、経営とデザインの関係性から話を進め、デザイン経営の役割や定義を解説頂きました。「ブランドは社員と顧客に影響を与え、経済的な価値を生む」と定義し、顧客への効果、社員への効果を解説。

さらにスーパーホテルやMAZDAの事例を元に発表を続けます。スーパーホテルの事例では、「安いだけじゃない価値づくり」をテーマとし、実際に松尾任人さんが手掛けたデザインを表示させながら解説頂きました。

インナーブランディングの難しさを実感

最後の質疑応答で、インナーブランディングの苦労を語ってくれました。ブランディングで何をすのるか、という理解を得るのに大変だったそうです。さらに「最近の日本のデザイン経営の変化」や「コロナ時のブランドの位置づけ」など、さまざまな質問に回答してくれました。

質疑応答後はzoom飲み会へ移行。最初から最後まで和気藹々とした雰囲気ながらも、熱い議論が交わされました。