2019年3月27日、Hoops Link Tokyo(渋谷)にて、「ブランド価値と経営戦略」をテーマとして、日本ブランド経営学会サロンが開催されました。
日本ブランド経営学会サロンでは、各回ごとに実務で活躍されている方がゲストスピーカーとして登壇します。
今回は、インターブランド社にてエグゼクティブ・ディレクターを努めている薄阿佐子さんがゲストスピーカーです。
▲ゲストスピーカー・薄阿佐子さん
インターブランド社といえば、グローバル・ブランドランキングなど、独自方式によるブランド価値評価によって、世界経済にも影響を与えている会社です。
ある意味で、ブランドの価値を決めている会社とも言えなくもありません。
ブランディングにおいて、重要な仕事をしているインターブランド社がどのようにブランドを捉えているのか、参加者の注目も高まります。
ブランド価値評価のなかでわかった!ブランド価値の高い企業とは?
インターブランド社の見解としては、ブランドを表面的なものとは捉えておらず、「ブランドとは会社を変革する道具」だと薄さんは語ります。
ブランドによって経営戦略が見える化されることで、社員が経営に参画することが容易になります。
つまり、ブランドをどのように形成していくかが、組織としての会社が、どれほど効率的に機能するのかに関わってくると言えるでしょう。
このような側面を捉えて、薄さんは「ブランドとは生きている資産」と言います。
生きている資産とは、どのようなことなのでしょうか?
一般的に、資産と言われるものは、価値が高まることは、市場からの評価が高まること以外にはあまり考えられません。
しかし、ブランドの場合には、社内での取り組みによって、評価が高まることもあります。
たとえば、インターブランド社のブランド価値評価モデルでは、財務諸表からみられる価値以外にも、「そのブランドが附されることでいくら高く購買されるのか?」という役割分析もされます。
広告・広報活動を通じて、適切にコミュニケーションをとることで役割分析におけるブランド価値を高めることが可能です。
さて、このような考え方に基づいて、毎年世界の上場企業についてブランド価値評価をしているインターブランド社ですが、価値評価をしていくなかで「高いブランド価値をもつ企業」の特徴を抽出しています。
そのなかでも、ブランド価値にとって最もインパクトの大きな特徴は、「顧客中心の考え方」だと語られました。
顧客のためになることを、真に考えている企業ほど、ブランド価値が高くなっているのだというのです。
このことから、インターブランド社は「差別化の文脈でブランディングは語られがち。けれども、本当に注目すべきは、競合他社ではなく、顧客である」というメッセージを表明しています。
「なんのためのブラディングなのか?」という設定が大切なことは、日本ブランド経営学会サロンでは繰り返し語られてきました。
ブランド価値を高めて、投資家からの評価を受ける目的においては、顧客のためのブランディングが有効なことが伺えました。
いよいよ、日本ブランド経営学会が設立されます
#9の今回の次、4月21日には、日本ブランド経営学会がついに設立されます。設立前から、各方面に日本ブランド経営学会は積極的にメッセージを発信してきました。
その甲斐もあって、設立直前となる今回は、いつもとは一際、熱量の高い参加者で賑わいました。
日本ブランド経営学会サロンという場所は、ブランドを本質的な視座から考えるアゴラとして機能し始めているように考えました。
自然と広がるブランドについての話題からは、今後の発展の可能性を感じられました。
次回の日本ブランド経営学会サロンは、5月23日・19時30分からHoops Links Tokyoにて「マーケティングとブランディング」をテーマに開催されます。
4月21日の設立を経て、ますます勢い付く日本ブランド経営学会サロンからは、今後も注目です。
(写真・文/長尾和也)
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