ライターの長尾です。日本で唯一となるブランディングに特化した学会こと「日本ブランド経営学会」の取材を担当しています。
日本ブランド経営学会は考えるだけでなく、参加者同士の創発を促し、行動を手助けする学会です。
理事長の愛知東邦大学の上條先生の旗振りのもと、既存の学会のカタチにとらわれない学会の有り様を模索しています。論文誌の発行も予定していますが、そこにおいても外部プラットフォームを活用したり、随時公開にしたりと新たな試みをする予定です。
▲日本ブランド経営学会の理事長の上條先生
さらに、ブランド経営学会の設立論集の出版も予定しています。こちらでも執筆者を募集しています。ブランドについて日ごろ考え、実戦しておられる方は、まずはブランド・シンキング編集部のほうにお気軽にご連絡ください。
さて前置きが長くなりましたが、日本ブランド経営学会創立を前に回数を重ねてきたサロン企画。冒頭で述べたように日本ブランド経営学会は、新たな学会の有り様を模索しています。そこで、12月は一気に創発を加速させる試みとして、ともに学んできた仲間でのMeet upを開催しました。Meet upとは、簡単に言えば、組織や立場をこえて、共通の関心事をもつ仲間で集まることを言います。
私もMeet upに参加して、参加者の話を取材してきました。
ブランディングのプロフェッショナル:ブランドコンサルタントの木村さん
▲ブランドコンサルタントの木村さん(写真左)
日本ブランド経営学会では、上條先生の出身であるインターブランド社の方々に登壇していただいていますが、参加者にも数名、インターブランド社出身の方がいらっしゃいます。
その一人が、株式会社イーブランドラボを経営する木村さんです。ブランディングだけでなく、マーケティング・コミュニケーションを幅広く手がけておられます。
「ビジネススクールの講義とは異なり、毎回、立場や職種の異なる実践者が登壇されるので、刺激を受けています」とおっしゃっています。特に、近年では地域ブランディングの相談を受けることが増加しており、先日のプレイス・ブランディングの講義は参考になったそうです。
ブランディングのベースを事例で学ぶために参加:IT企業の石川さん
▲IT企業で広報担当の石川さん
上写真の石川さんは、ITベンチャー企業にて広報活動を手がけておられます。同じ会社の先輩から「勉強になるからぜひ行った方がいい」と勧められたことが参加のきっかけです。
石川さんがお勤めの企業は、まだまだ発展途上とのこと。そのため石川さんは、プロダクトからCIや採用にいたるまで多様な領域でのブランディングを一手に引き受ける忙しいポジションです。
「これまでブランディングに関わったことがありません。ブランディングの土台となる考え方を、現場の方から学びたくて参加しています。だから、抽象的な概念ではなく、実際の事例で教えてくれるのがとても有難いです」
上記のようなコメントを頂きました。石川さんのように、受け身ではなく、前のめりの積極的な姿勢で参加してくれる皆様に、日本ブランド経営学会は支えられています。
ニューロマーケティングをブランディングに:電通サイエンスジャムの飯田さん
▲電通サイエンスジャムの飯田さん
続いてご紹介する飯田さんは、電通サイエンスジャムというユニークな会社に勤めておられます。この会社は、日本におけるニューロマーケティングの草分け的存在です。例えば、通常のカスタマーがロイヤルカスタマーになる前の、脳の状態などをリサーチしています。今は、脳波についての知見をマーケティングだけでなく、ヘルスケアプロダクトへの応用を検討中とのことです。
元々は化学を先行しておられた理系肌の飯田さん。参加の動機は、「12名の小さな会社なので、自社のマーケティングやブランディングに関わる場面があります。そのときに、ブランディングとは?マーケティングとは?と概念に関心をもったことがきっかけです。実際の事例から学んで、自分なりの答えを考えてみたいと思っています」
日本ブランド経営学会サロンの登壇者は実務家中心ですが、アカデミックな関心を持っておられる方もいらっしゃるようです。実務とアカデミックのコラボにも期待が高まります。
学びのさらにその先を求めて:広告代理店の黒田さん
▲広告代理店の黒田さん(写真中央)
広告代理店にお勤めの黒田さんは、とても勉強熱心な方で日ごろから書籍や論文を読むなど、マーケティング知識の研鑽に余念がありません。
「日本ブランド経営学会は、登壇者との距離が近いのが魅力的です。第一線で活躍する人に、ブランディングについて個人的に話を伺う機会を自分次第でつくることができるのは嬉しいですね。学会というよりも、私塾のような気配があります」
ブランディングは今の世の中と密接に関連する、いわば”生もの”です。黒田さんのように勉強すればするほど、文字情報だけでは飽き足らなくなるのも自然な流れでしょう。
日本ブランド経営学会のファシリテーター:チカイケ秀夫さん
▲チカイケ秀夫さん(写真中央)
最後に、日本ブランド経営学会にてファシリテーターを務めているチカイケ秀夫さんに、Meet upにて普段にも増して参加者と身近に接した感想を伺いました。
「ブランディングが好きな方には、やぱり熱くて尖った方が多いですね。ブランディングは、なんだかんだいってもマーケティングのなかではニッチなジャンルです。さすが、ニッチな方々は熱くて尖っていると思います。そうした方々の、熱量を高め、エッジを研いでいくために、日本ブランド経営学会はコミュニティ化を進めていこうと思っています」
日本ブランド経営学会は「動く学会」
今回は、登壇者の話のまとめではなく、日本ブランド経営学会の雰囲気を参加者への取材を通してお伝えしました。普段から、カジュアルな雰囲気で進行する日本ブランド経営学会ですが、年の瀬Meet upではさらに懇親が深まったようです。
受け身で学ぶだけでなく、学びの場を共にした仲間と一緒になって動くことのできる日本ブランド経営学会。来年度には社団法人化を予定しています。「動く学会」として現場目線から、ブランディングにどのような変化をもたらしていくのか要注目です。
撮影/文:長尾和也
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