経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

無添加こどもグミぃ〜。が、社会を動かした。その中心にある想い。

無添加こどもグミぃ〜。が、つくる未来。目指す社会。

 世の中が変化しているにもかかわらず、私たちの周りには、まだまだたくさんの課題が残っています。少子高齢化、環境問題、子育ての悩み、働き方の変化など、社会の問題は数えきれないほどです。そんな中、株式会社やまやまがつくった『無添加こどもグミぃ〜。』は、これらの課題に一石を投じています。

 無添加こどもグミぃ〜。は「捨てられてしまう果物を、障がい者福祉施設で加工し、子育て中のママたちに届ける」という仕組みで、複数の社会問題の解決に取り組んでいます。今、多くの企業がSDGsに取り組む中で、このような活動は、参考になるのではないでしょうか。今回は、株式会社やまやまの代表取締役である猪原 有紀子(いのはら ゆきこ)さんに、『無添加こどもグミぃ〜。』にかける想いと、目指す社会について話を伺いました。

 

ママを笑顔にしたい想いが、社会へ、世界へと広がっていく。

 

–無添加こどもグミぃ〜。を通じて、社会に何を発信し、何を残したいと考えましたか?

 

猪原 有紀子(以下:猪原):今回の取り組みを通じて、私が最も伝えたいことは「子どもにとっていい社会を残す」ことです。私の活動の根幹にあるのは、子どもとママの笑顔を作ること。この軸がブレることは決してありません。単に収益を追求するのではなく、次世代に良い社会を残したいという想いで無添加こどもグミぃ〜。をつくり、広げています。

 

–無添加こどもグミぃ〜。の販売するなかでの、こだわりや大切にしていることがあれば教えてください

 

猪原:「ゴールデントライアングル」のモデルを大切にしています。農家の廃棄フルーツを障害者福祉施設で加工し、ママたちに届けるという仕組みです。無添加こどもグミぃ〜。をつくるなかで、一見異なる3つの課題が、美しく繋がることに気づきました。

 たとえば、フルーツ農家は天候や外見の問題で廃棄せざるを得ない作物が、収益に変わるんです。障がい者福祉施設では、誰もが参加できる作業を通じて時給を得られるだけでなく、自分たちの仕事が社会に認められる喜びも生まれています。特に、障がいのあるお子さんを持つママにとって、我が子の仕事がメディアで取り上げられることは大きな励みとなっています。そして最終的に、添加物のない安全なおやつとしてママたちの元へ届きます。

 この取り組みは、決して一朝一夕に完成したものではありません。製造経験も、お菓子作りのスキルもない中で、様々な方々との出会いを通じて少しずつパズルのピースが埋まっていった感覚です。今後は、この仕組みを世界に広げていきたいと考えています。たとえば、マンゴーが廃棄されているアフリカでも同様のモデルが展開できるはずです。

 

子育てに笑顔を増やすために、ママ起業家として挑戦。

–今の仕事をされる前は、どのような仕事をされていたんですか?

 

猪原:私は以前、大阪の会社webマーケティングに携わり、グループ会社の赤字を黒字に転換するなど、充実したといえるキャリアを積んでいました。ネットを通じて商品を売るというスキルを磨き上げ、「どんなものでも売れる」と、自信も持っていました。

 

–それだけのスキルがありながら、なぜキャリアチェンジを選んだのでしょうか?

 

猪原:長男・次男の子育ての中で、大きな課題に直面した経験が大きいです。それが「おやつ」問題です。世の中には、カラフルで子どもが喜ぶおやつは沢山ありますが、その多くは添加物まみれです。逆に、無添加のおやつは見た目が地味で子どもが喜んでくれません。「カラフルで無添加、かつ美味しい」というおやつが世の中になかったんです。

 同時に、この状況が多くのママが抱える悩みだということも知りました。子どもにおやつをねだられ、添加物の入ったお菓子を与えざるを得ず、そのストレスを抱えている。このストレスは、産後うつや育児ノイローゼにも繋がりかねない深刻な問題です。

 そこで考えたんです。「私にはwebマーケティングのスキルがある。価値のある商品を作れば、必ず売れるはず」と。利益追求が目的なら、別の事業の方が効率的だったかもしれません。しかし、私の目標は「ママと子どもをニコニコさせたい」です。この想いが、現在の事業に踏み出すきっかけとなりました。

 

–キャリアチェンジと同時に大阪から和歌山へ移住されたんですよね。和歌山での事業での困難などはありましたか?

 

猪原:和歌山への移住で、一般的に考えられる「田舎ならではの困難」というものは、特にありませんでした。人口の少ない地域で、すぐに話が広がる環境でしたが、だからこそ私の活動が早い段階で地域全体に知れ渡りました。また、行政と距離が近いことも、この地域ならではの特徴であり、私の事業展開において大きな利点でした。和歌山では、県知事から直接お電話をいただくこともあります。大阪のような大都市では考えられません。これによって、行政実績や自治体実績を積み上げやすくなりました。さらに、起業当初、広告費をかけられない状況で、私自身が広告塔になる必要があったのですが、その際「金髪のママが和歌山で起業」という特異性は、むしろ注目を集めるための強みとなりました。

 また、子育て環境も充実しています。和歌山では隣近所の目が行き届いており、地域全体で子育てを見守る雰囲気があります。子どもの安全面でも、不審な車がすぐに把握できるなど、安心感があります。

 

–この事業をやり遂げられた軸にある想いについて教えてください。

 

猪原:きっかけは、長男へのおやつ対応での経験です。子どもが欲しがるグミを与えたら、グミに依存するような状態になってしまったんです。特に夕食の準備中、子どもがおやつをねだって泣き叫ぶ状況は本当に辛かったです。そんな中、「フードトラップ」という本に出会い、おやつにある中毒性について知り、危機感と同時に憤りを感じました。

 また、自己肯定感を育む子育てをしたいと思いながらも、現実には子どもを怒ってしまう状況も続きました。夜になって「今日も怒りすぎてごめんね」と涙する日もありました。おやつを通じて、子育ての質を向上させたい。母親が自分を責めることなく、子どもと向き合える環境を作りたい。その思いが、4年にも及ぶ開発期間を支え続けた原動力です。

 

ママと子どもの幸せな1秒を増やす。それが、未来の社会を変える。

–無添加こどもグミぃ〜。を通じて、多くのママにどのような影響を与えたいですか?

 

猪原:私たちの商品を通じて、ママたちに「子育ての幸せな時間」を取り戻してもらいたいと考えています。子どものおやつ習慣は1歳を過ぎた頃から始まり、その後の健康に大きな影響を与えます。特に3歳までの腸内環境は、その後の人生を左右すると言われています。この重要な時期に、添加物ではなく食物繊維を豊富に含んだ健康的なおやつを選ぶことは、とても大切です。

 それ以上に私が大切にしているのは、ママと子どもの関係性です。子どもと一緒に過ごせる時間は、細かく計算すると約7年3ヶ月だそうです。その貴重な時間の中で、おやつの時間がストレスではなく、笑顔で過ごせる瞬間になってほしいです。限られた時間のなかで、子どものおやつ問題でイライラしたり、怒ったりしたりするのはもったいないですよね。反対に、安心して子どもに与えられるおやつがあれば、それだけでママの心にゆとりが生まれます。健康的なおやつを通じて、ママと子どもの笑顔あふれる時間を増やしていく。それが私たちの願いです。

 

–掲げているMISSION「子どもにとっていい社会をつくる!」に込めた想いについて教えてください。

猪原:「子どもにとっていい社会をつくる!」は、次世代への責任から生まれた想いです。現代社会では、利益を追求するあまり、環境破壊や心の健康を損なうような選択が多くなされています。3人の子どもを育てる母として、私たちは未来世代からさまざまなものを「前借り」している状態だと感じています。また、仕事と子育ての両立に悩む現代の状況を、孫の世代では当たり前のように解決できる社会にしたいと考えています。

 私自身、3人の子育てをしながら仕事を続け、家族との良好な関係を保てています。この経験を多くの人々と共有すると同時に、私たちの「ゴールデントライアングル」モデルを広く展開していきたいです。子どもたちは私たち大人の行動を見て育ちます。だからこそ、利益だけでなく社会的価値を追求する姿勢を示し、より良い社会づくりに向けて大人が真摯に取り組む姿を見せていく必要があると考えています。

 

 

【プロフィール】

猪原有紀子

株式会社やまやま 代表取締役

3人の出産を経て2018年、和歌山県かつらぎ町に移住。翌年に農業で起業。県内の廃棄フルーツアップサイクルの「無添加こどもグミぃ〜。」が2年で累計5万袋突破。農家のフードロス解決、障害者雇用創出などSDGsへの取り組みがメディアで大反響。22年、耕作放棄地再生観光農園・キャンプ場オープン。『日本アントレプレナー大賞』『経済産業省 JETRO「始動」優秀賞』受賞。

 

無添加こどもグミぃ〜。Webサイト

https://yama2.shop-pro.jp/

株式会社やまやま

https://nou2c.com/

名城政也

 
名城 政也

SEO記事からオウンドメディア、脚本や台本、HP文章までweb媒体の記事を多く手掛けるwebライター。 多趣味で幅広い知識を基にさまざまな記事を執筆。

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