経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

デートに役立つほど、VRをあたりまえに。#3

【スタートアップのブランド論対談<スペースリー森田博和>第3回】

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近年、VR技術の発展が目覚しい。一般消費者にもVRデバイスが販売されたことにより、実際に体験された方も多くいるだろう。しかしまだ一般的にはゲームや動画などの娯楽としての用途が主である。そんな中VRを事業者向けのサービスとして運営している会社がある。それが「株式会社スペースリー」。事業者に向けたVRサービスとはいったいどういうものなのか。創業者である、森田博和氏に、事業内容や起ち上げの経緯などについて、パーソナル・ベンチャー・キャピタル代表で、BRAND THINKINGでも連載を持つチカイケ氏が迫った。

 

聞き手:チカイケ秀夫/編集:BRAND THINKING編集部/撮影:落合陽城

 

これが当たり前になれば必ず便利になる。

チカイケ:実際VRを使った人は、新しい驚きや発見は感じてもらえているでしょうか?

森田:直接ユーザーに聞いたわけではありませんが、この部分は、実際に弊社のサービスを利用した結果、ユーザー企業の顧客満足度だったり、問い合わせの率が上がるなどの具体的に目に見える形で判断できるのかなと思いますが、事業者の方からはVRの価値を感じてもらえるようにはなってきていると思います。その価値をもっと知ってもらうために、事業者の方には弊社のサービスをわかりやすく価値として説明できるようにしていかないといけないと思っています。

チカイケ:会社のビジョンはありますか?

森田:理念にあたるところが、「新しい発見と驚きを届けよう。」というところで、それによって生まれたVR事業のビジョンが「360°VRが世の中の皆の当たり前に。」ということです。このビジョンがあったので、「どこでも簡単VR」というコンセプトになりました。さきほどVRによるアーカイブとして、アートと不動産の話をしましたが、これら以外にも、例えばレストランを予約するときに僕がよく思うことは、サイトの写真を見ただけだと室内がわかりにくいなと思うんです。これもVRで空間を見ることができれば解消できます。技術が進歩して、テキストだけだったものが、写真の出現で写真が活用されるようになり、動画が生まれ、情報がどんどんわかりやすくなっていく中で、360°VRも表現の1つになっていくのだろうと考えています。これが当たり前になれば必ず便利になる。

チカイケ:VRが当たり前になった社会はどのようになっていると思いますか?

森田:具体的なところで言うと、不動産を選ぶ際にも、実際に内見に行く数はすごく減るでしょうし、レストランの個室を予約するときには、そのお店の雰囲気が簡単にわかるので、例えばデートの時には役に立ちますよね。社会人だったら接待をする場所を選ぶときにもわざわざ下見に行く必要はなくなります。旅行だったら、事前にどこに行こうかと考えるときにも、よりイメージとしてわかりやすくなるので、旅行先選びもさらに楽しくなると思います。今、頭の中にないようなこともきっといっぱいあって、いろんな可能性を秘めていると思います。アートに関しても、より多くの人にアートが触れられるようになるという事も、VRが当たり前になった社会になれば、実現されているはずです。もちろん最終的には直接行ったほうがいいということは当然あるんですが、情報に全く触れられず、体験が0なのと、少しでも体験したということでは雲泥の差です。

チカイケ:体験することにより何が変わると思いますか?

森田:知らないって単純にかわいそうですよね。体験できるはずだった事をそのまま知らずに一生を終えてしまうかもしれません。本来、その事を知るチャンスだったのに、知らないまま失われていくわけです。なので、より多くの人がVRによって、体験できる世の中を実現できるといいなと思います。

 

経営者がイメージしていることがすべて。

チカイケ:採用の際には、ビジョンを語ったりしますか?

森田:そうですね。エンジニア志望の人達は、テクニカルチャレンジに興味のある人達なので、もちろん話しますが、ビジネスサイドの人達にも、理解してもらった上で一緒に頑張っていきたいと思っています。自分たちはこういう世界を作っていきたいから、今はこういうことをやっていて、最終的にはこんなところ目指していますと、しっかり伝えるようにしています。

チカイケ:素晴らしいと思います。やはり基本は経営者がイメージしているビジョンがすべてだと思っています。僕はコーポレート・アイデンティティが一番重要なところだと考えていて、コーポレート・アイデンティティは100年以上続くものです。ブランドは10年、サービスは3年くらいです。このサイクルで回っていくわけですが、この中で言えば一番目に見えやすいのはサービスです。しかしコーポレートのアイデンティティが弱くなると、他社と差別化できないんですよね。

森田:一方で、しっかりと事業として成り立たせないといけないところが難しいところです。

チカイケ:もちろん事業を成り立たせることはとても大事です。でもビジョンを実現させるための手段の1つだと思います。個人的には先ほど仰ってた「失われた文脈」という言葉がとても刺さって、「失われた文脈」を知ることで、「新しい発見と驚き」が届けられるわけですよね。

森田:「失われた文脈」、「失われた空間」、「失われた建築」こういったものはちゃんと残したいし、僕たちなら、ちゃんとした形で残すことができます。これにはとても大きな価値や意義があると信じて、これからも活動していこうと思っています。

 

おわり

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株式会社スペースリー 代表取締役 森田博和(写真左)

東京大学大学院で宇宙工学を専攻。経済産業省内閣官房宇宙戦略本部で宇宙開発に従事。国費留学でシカゴ大学ビジネススクールに留学し、MBAを取得するも、卒業と同時にスペースリーを起業する。

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チカイケ 秀夫

パーソナル・ベンチャー・キャピタル代表。企業ブランディングパートナー/社外CBO(チーフ・ブランディング・オフィサー)。一部上場IT企業でベンチャー立ち上げ、グロースハック、企業理念策定や代表直下でグループでのさまざまなプロジェクトを担当。そこでの『ブランディング』を通して、現在は、個人/スタートアップ/ベンチャーへの支援を行う。

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