【テーブルクロスのブランド論】第3回<最終回>
外食をする時にアプリから予約をすると、予約した人数分の給食が途上国の子どもたちへ届けられるサービスがあるのをご存知だろうか。それが社会貢献できるグルメアプリ「テーブルクロス」。予約をするだけで誰かのためになる。そんな「チャリティ予約」を新たな日本の寄付文化にしようと事業を展開している株式会社テーブルクロス 代表取締役 城宝薫氏に、会社設立の経緯や事業に対する想いを訊いた。
聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城
飲食から他分野へ。成長速度は落とさない。
———–ぐるなび、食べログ、レティなど他社のサービスとの違いをどう認識されていて、どう差別化していこうと考えていますか?
考えるより先に始めてしまったところがあって、周りには大手ばかりだと自覚したのは後になってからでした。資金を貯めないといけないとか、真似されるかもしれないとか、そこに対しての改善策は考えています。細く長くはできないと思っているので、一気に成長するか、業態を変化させていくか、資本力を高めて同じ土俵でいくかを見極めていかなければなりません。今現在の資金調達がなかなかできないレベル感で、売上を上げてというのではどうしてもスピードが遅くなると思います。後発会社に真似もされるでしょう。特に後発は研究した上でやってくると思います。実際、同じようなことをやり始めている会社もあります。でも真似されるのは分かっているので、成長速度を早める努力はしています。技術的なものは特許も取りましたし、ITの部分で差別化を図っています。そして、この仕組みを飲食の分野だけにとどまらせず、他の分野にまで広げていけたらと思っています。
日本人的なサービスだからこそ広げていける。
———–誰を一番笑顔にしたいか。ターゲットについてはどうお考えですか。
ペットボトルのキャップ外して捨てる人。キャップを外して捨てる人って習慣になっていますよね。でも、その人自身には実はメリットはありません。あるとすれば、社会に対して良いことをしているというモチベーションくらいです。これはうちのサービスの予約と似ていると感じているんです。特に自分のためにはらないけど、ちょっと良いことにつながるのであればやろうという。予約に着目したのも、日本人にあった寄付文化がつくれると思ったからです。習慣の中にあって、お金の負担がかからないこと。それができれば、日本人はみんな参加するのではないかと考えて、予約に着目したんです。飲食店の予約でそれができる。すごく日本人的で、日本人にあっていると感じています。来日した外国人が、ここから予約したら自国のためにも日本のためにもなると思ってくれたら嬉しいですね。国と国同士の取り組みでは難しい。民間企業だからこそできることでもあると思います。目標は、年間4,000万食を届けることです。つまり、4000万人の予約。それを実現できれば、毎日給食が食べられるレベル感につなげることができるんです。
文化づくりと環境づくり。両方を追い求めたい。
———–今後の展望について教えてください。
お金も時間もかかることではありますが、一貫して文化づくりをしていくことですね。1年前、当時は11人の会社でしたが、11人で文化をつくるのではなく、100万人で文化をつくろうと話していたんです。当然、人が多い方が文化は作りやすいですから。ファンクラブをつくって、ユーザーさんとともに文化をつくるというようなアイデアもあります。それから、必然的にプライバシーマークを取得しないといけませんし、社内に託児所を作つくりたいと思っています。子どもを持つママさんもメンバーに入ってきていますし、子育てか仕事かを選ぶのではなく、どちらも両立できる環境をつくっていきたいと考えています。0歳の子どもがいるママさんを採用したんです。子どもを会社に連れてきていいよと言っているんです。みんなが安心して働ける環境づくりにも力を入れていきたいと思っています。
(おわり)
株式会社テーブルクロス 代表取締役 城宝薫
1993年生まれ。立教大学経済学部在学中に企業と提携して新商品開発を行う学生団体「Volante(ボランチ)」を創設し、関東、関西、台湾に支部を広げて活動。中高生時代の生徒会活動や浦安市とアメリカフロリダ州オーランドを繋ぐ親善大使活動などを通じて、ビジネスと社会貢献の融合への関心が高まり、テーブルクロスの事業を考案。社会人や投資家などの支援により、大学3年生の時にサービスを本格始動させ、現在も精力的に活動中。
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