経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

旅の力をもっと、多くの人に感じて欲しい。

スタートアップのブランド論対談<SAGOJO新拓也>第1回

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友人たちとの温泉旅行や、海外での一人旅、家族旅行など、誰しもが旅をした経験はあるだろう。しかし、それをただの旅行で終わらせず、旅の可能性を広げ、新しい価値を生み出そうという志のもと、旅を仕事にできるサービスを運営している会社がある。それが「すごい旅人求人サイトSAGOJO(サゴジョー)」を運営する株式会社SAGOJO。代表の新拓也氏に、事業立ち上げのきっかけや考え方などを、パーソナル・ベンチャー・キャピタル代表で、BRAND THINKINGでも連載を持つチカイケ氏が迫った。

 

聴き手:チカイケ秀夫 聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

 

「旅って社会のためになるよね」と思ってもらえる世界を作りたい。

チカイケ: 会社を立ち上げた想いについて教えてください。

新:学生の時に初めて海外一人旅を経験しました。東南アジアやインドなど、アジアを中心に約五ヶ月間旅をしたんですが、思考が発想の起点から大きく移り変わるというか、旅の力をとても強く感じました。旅というと「遊び」「ドロップアウト」といったイメージが強いですが、もっと多くの人に、「旅は自己満足だけじゃない価値を生み出す」「旅は社会の役に立つ」ということを理解してもらえるような世界を作りたいと考えたのがきっかけです。

チカイケ:旅の力を感じた原体験はありますか?

新:ネパールが好きで、首都のカトマンズに滞在していたんですが、帰国後にカトマンズで大地震があったんです。旅をしていなかったら他人事というか、大変だなくらいにしか思っていなかったと思うんですが、「あの時出会ったあの人は大丈夫かな」と思いを巡らせたり、ニュースを食い入るように見るようになったりと、他人事ではなく、世界が自分事になったんです。

チカイケ: 起業はもともと考えていたんですか?

新:いえ、まったく考えていませんでした。前職に勤めているときに、旅の魅力を発信するWebメディア『Travelers Box』を立ち上げました。でも、旅の魅力を発信するだけでは旅好きな人にしか届かなく、もっと旅をしない人、これまで「旅をする」という選択肢がなかった人にも価値や魅力を伝えたいと思うようになりました。

チカイケ: そこから起業を考えるようになったわけですね?

新:はい。最初はSAGOJOのティザーサイトを作って公開してみたんですが、これが思いの外バズって、TwitterやFacebookなどでも期待してくれるコメントがたくさん届きました。これはビジネスとしても育てていきたいなと思い、当時一緒の想いを持っていた3人で創業しました。

 

旅人の熱量が「最高のコンテンツ」をつくる。

チカイケ:旅を仕事にするために、具体的にどんなことを行っているのでしょうか?

新:旅人とクライアントをマッチングし、旅人がスムーズにシゴトを実行できるようサポートしています。お客様はメディア系の企業やPRニーズのある企業が中心で、一番マッチングとしているのはコンテンツ制作(記事制作・動画制作)。Web業界を中心に、しっかり取材したコンテンツの価値が高まっている市況の中で、旅人に現地を訪れて取材をしてもらうからこそ生み出せる記事をクライアントに納品しています。

チカイケ:旅人をライターとして起用しているのでしょうか?

新:カメラが得意な人なら写真を撮ったり、モデルとして活躍してきた人なら記事の中で登場してもらったりと、旅人各人のスキルを活かすという形ですが、まあライターが一番多いですね。基本的には、それぞれのスキルで既に実績がある方々を採用しています。

チカイケ:旅人にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

新:旅人にはシゴトの報酬として、金額や物資、チケット(宿泊券や割引券など)といった、旅の出発や継続に繋がるリターンを提供しています。

チカイケ:逆に旅人を起用することによる企業側のメリットはなんでしょうか?

新:大きくは2つあります。1つは、タイムリーにニーズに合ったコンテンツを作れること。例えばこれから取材をしに海外に行こうと思ったら、調整や実施に時間もお金もかかります。そこをSAGOJOなら、今現地にいる人やこれから向かう予定のある人、またはフットワーク軽くすぐに旅に出られる人をタイムリー起用できるんです。

チカイケ:もう一つはなんでしょう?

新:当たり前ですが、旅人は旅が好きなので、熱量がすごく高いものが生み出せます。ただのシゴト以上に楽しんで取り組んでくれるので、普通のライターよりも面白いコンテンツを作れる自信があります。あとは、ソトモノ目線でその土地を切り取ったり、旅行系のコンテンツなら読者目線で発信したりできることも強みですね。

 

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自分の信じていたものは、立場によって変わり得ることを知った。

チカイケ:そもそも最初に、旅に行こうと思ったのはなぜですか?

新:当時学生だったのですが、自分とは違う発想を持つ人と会話をするのがすごく面白いと思っていて。僕はずっとサッカーをやって育ってきたのですが、アーティストとかバーテンダーとか、新しく出会う人とのコミュニケーションがすごく刺激的だったんです。もっと関わる人のバリエーションを広げたいと考えていたときに、それなら異国の人たちとたくさん会ってみたいなと思ったんです。

チカイケ:実際に旅で価値観の違う人たちと出会って、気づいたことはありますか?

新:「許容範囲が広くなった」というんでしょうか。自分の正義と相手の正義ってもちろん違うじゃないですか。例えば、日本ではゴミをポイ捨てすることは悪ですが、インドだと「ポイ捨てすることによって掃除をする仕事(雇用)が生まれる」という発想する人もいて。些細な例ですが、今まで信じていたものは相手の立場によって簡単にひっくり返るんだということを痛感しました。

チカイケ:サービスとしては「すごい旅人求人サイトSAGOJO」と書かれています。

新:旅人にシゴトを依頼するというのは今までにないアイデアだと思っているんですが、既にある言葉で表現することで理解しやすくなるのでは思って、「すごい旅人求人サイト」というキャッチを付けました。最初は「旅を仕事に・SAGOJO」などと、実現する世界観を見せようかとも考えていたんですが、利用者目線で考えたときにわかりにくいのでは、という話になりやめました。

(第2回は4/20(金)に更新します。)

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株式会社SAGOJO 代表取締役 新拓也(写真右)

立教大学在学中に海外ひとり旅を経験し、旅の力によって自分の価値観が変わることを体験。株式会社LIGで編集者として働きながらも、もっと旅の魅力を世の中に伝えたいという思いから「旅×ストーリー」をテーマにしたWebマガジン『Travelers Box』を立ち上げる。それをきっかけに、2015年12月、株式会社SAGOJOを設立。

 

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チカイケ 秀夫

パーソナル・ベンチャー・キャピタル代表。企業ブランディングパートナー/社外CBO(チーフ・ブランディング・オフィサー)。一部上場IT企業でベンチャー立ち上げ、グロースハック、企業理念策定や代表直下でグループでのさまざまなプロジェクトを担当。そこでの『ブランディング』を通して、現在は、個人/スタートアップ/ベンチャーへの支援を行う。

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