【セクション・エイトのブランド論 第4回】
「相席屋」をメインに様々な出会いのきっかけを提案する“恋愛プラットフォーム”セクション・エイト。「相席屋」はすでに全国に70店舗を越え(2016.11月現在)、この事業だけで80億円近い売上を誇る。最近では結婚相談所や結婚式場の運営まで手がけ、「恋愛」の出会いから成就までを事業の柱に据えている。さまざまな事業を手がける独自のブランド論を、代表取締役社長・横山淳司氏に聴いた。
聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城
40のブランドのうち、当たったのはたった2回。
——これまでたくさんの業態を立ち上げてきています。新規事業を行う上で、なにかルールはありますか。
とにかく他社とは違うことで勝負しよう、と言っていますし、それしかやりません。うちじゃなくてもできることは、他がやったほうが絶対にいい。例えば、僕らにはオシャレなバーは絶対にできない。それはやらないと決めています。オシャレなバーはやっぱり、もっと経験を積んだ大人じゃないとできないと思う。僕らにはイメージしにくいですね。もしかしたら50歳くらいになったらやっているかもしれないけど(笑)。それと、新しいことをやるときは、必ず自分たちがすでにある資産を活かして、プラスアルファでまったく異分野に挑戦してみるということです。全く知らないこと、異分野のことは、実感がわかないので成功をイメージしにくい。事業は、うまく当たればホームランにもなるけど、思いっきり空振りすることの方が多いように思います。なにせ40業態立ち上げて、2つしか当たっていないわけですから(笑)。それでも、ホームランなら、その市場やカテゴリーをつくったということで、独占状態にできる。1店舗だけ黒字のお店は、やればできるけど、自分たちはやらないと決めています。やっぱり自分たちのブランドを大きく広げていくことにチャレンジしたいですね。
無数のコツコツが、ひとつの成功につながっている。
——新しい事業への挑戦は一見非効率。それでもチャレンジするのはなぜですか。
新卒の説明会でも話すことですが、相席屋が10店できたときに、すごいですねとよく言われました。そして多くの人から「実は僕も同じことを考えていたんです」とも言われました。でも、僕が言いたいのは「じゃあなぜやらなかったんですか」ということです。相席屋の事業だけで、売上100億円が見えています。やった人と、やらなかった人の差は、たった2年でこれだけの差になる。でもそれは、最初の1歩を踏み出したか踏み出さなかっただけの差でしかないんです。ただし、これはアイデアを単に実行したということではなく、そこには40業態の、もっと言うと、それ以上の目に見えない試行錯誤やうまくいかなかった失敗が、相席屋につながったのだと思っています。事実、たくさんの教訓の上に「相席屋」は成り立っています。ひとつやふたつのチャレンジで、いきなりホームランはありえません。セクション・エイトの歴史が始まったときからの、社員全員のコツコツが今のところの成功につながっているのだと思います。相席屋だけでなく、もっと新しい事業をつくりたいし、社員と一緒に試行錯誤を繰り返したい。誰かの頭にあることが数百億円になるかもしれないですよね。失敗しても死ぬわけじゃないんだから、やってみたほうがいい。たくさんチャレンジできる「打席」のある会社を目指していこうと思っています。
恋愛の数を増やせば、経済は活性化する。
——結婚相談所や結婚式場など、飲食以外の新しい展開も始まりました。
自分は飲食店のアルバイトから始まって、会社をつくって、「居酒屋はなこ」、「相席屋」と、人間の根源にある欲求と向き合って仕事をしてきたように思います。「相席屋」は「婚活応援酒場」の名の通り「出会い」のきっかけの場です。それを恋愛の入り口とすると、同じように入り口として、結婚相談所だってアリだし、恋愛のひとまずのゴールとしての結婚式があると思いました。恋愛している時は男女関係なく楽しいし、それにともなって、オシャレもするし、食事もする。必ず消費が生まれます。日本の少子化や晩婚化の要因は、恋愛の数の減少なのではないかと仮説を持っていて、恋愛をする人を増やしたり、応援したりすることで、それが大きな消費を生みだし、停滞している日本経済をもっともっと覚醒させることさえできると思っています。そのためには、恋愛したいけど、一歩踏み出せない人たちの味方であるべきだと思っています。そして、味方になったら当然ずっとサポートしたい。だから、僕らにとっては必然の事業展開なんです。最近、歴史を見て、そこにどんな人間の本能があったのかを読み解いています。昔流行ったものも、その本質を見極め、今に置き換えると、また流行るかもしれないから。恋愛でそれをやってみたい。恋愛は人類が生まれたときからあるんですから。恋愛の数を増やすことで、日本のエネルギーにしたい。そんなことを今、本気で考えています。
(おわり)
株式会社セクション・エイト 代表取締役社長 横山淳司
2006年、22歳のときに会社設立。500万円の自己資金を手に、北海道の食材✕カワイイ女の子が制服を着て接客する新業態「居酒屋はなこ」を新宿歌舞伎町にオープン。2014年、「相席屋」を赤羽にオープン。約2年で70店舗までに成長させた。これまで立ち上げた業態は40以上。
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