経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

人間の本能と、社会的なしくみの必要性。その答えが相席屋だった。

【セクション・エイトのブランド論 第2回】

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かつては「居酒屋はなこ」、今は「相席屋」をメインに展開するセクション・エイト。「相席屋」はすでに全国に70店舗を越え(2016.11月現在)、この事業だけで80億円近い売上を誇る。最近では結婚相談所や結婚式場の運営まで手がけ、「恋愛」の出会いから成就までを事業の柱に据えている。さまざまな事業を手がける独自のブランド論を、代表取締役・横山淳司氏に聴いた。

聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

 

 

生命線、いいスタッフが採用できなくなった。

——「居酒屋はなこ」の撤退の原因はなんだったのでしょう。

出店を始めた頃と変わって、スタッフが採用できなくなったんです。というか、そもそも募集しても集まりにくくなった。今の採用市場がそうですが、徐々にその足音があったんですね。スタッフが採用できないと、当然カワイイ子もいなくなりますから、強みがなくなります。今いるスタッフが無理して働かないといけなくなる。そうすると、いろいろと行き届かなくなります。例えば、挨拶に元気がなくなったり、片付けが遅れたり。スタッフのモチベーションが下がると、飲食店はとたんに売上が下がります。だからこれも「はなこ」時代の教訓ですが、スタッフのモチベーションをいかに上げていくかはとても大事なんだと思いました。そのために、ちゃんと労働環境を整えないと、と思いますね。今はかなり改善しました。週休2日、有休、労働時間。あたり前のことなのですが、しっかりとらせるようにしています。「はなこ」のビジネスモデルは、もともと人件費が高いモデルでした。採用できないとさらに予算をかけることになるから、食材の質を落とさざるを得ない。採用できない、スタッフに無理がかかる、お客さんも徐々に足が遠のいてしまう。すると、スタッフ全体のモチベーションが下がり、先ほどのバッドスパイラルを呼び込んでしまうのです。

 

 

幹部全員反対。それでもやってみたかった。

——その次に繰り出した手が「婚活応援酒場 相席屋」でした。

もともとの着想は「街コン」でした。うちのお店も何軒か「街コン」会場になっていて、「街コン」というイベントがあると、普段飲みに来ない人も飲食店に来るんですよね。そうすると街全体が潤う。これはいいしくみだと思ったんです。でも「街コン」は単発イベント。日にちが決まっているので、来られる人と来られない人が出てきます。こういう社会的な装置がたくさんできれば、もっと気軽に足を運べる。結局、恋愛って人間の本能だし、楽しいものだから、これをつくれば、もっと街が、お店が盛り上がるだろう、と思ったのがきっかけです。しかし、当時の社内の人間に話しても、誰も理解してくれなかったですね(笑)。「男女?出会い?居酒屋?どう動けばいいんですか?そもそも人、来るんですか?」。みんな?マークがたくさんついちゃう感じで。「居酒屋はなこ」も昨対比売上がどんどん下がっている中で、次の手を繰り出したいとも思っていました。ちょうどその頃、「はなこ」の赤羽店の店長から相談がありました。もともとうちの社員で、FCとして独立したメンバーだったんです。店舗の大幅改造をしたいと。そこで、この話をしたところ、面白がってくれました。だから、社内のメンバーの声は一度無視して、2人でまずは「相席屋」をやってみようと、赤羽からオープンさせたんです。

 

 

リピートのしかたが、ガラリと変わった。

——その後、4ヶ月後に、やはりまた新宿歌舞伎町に出店しています。

赤羽の最初の1ヶ月は全然だめでした。僕も一緒に店舗に出て、スタッフとして、お客さんとして、店に来た女の子にバンバン直接ヒアリングしていきました。2ヶ月してもう黒字になりましたね。当初からリピートの動きが違っていました。通常の飲食店だと、数週間とか月単位での来店頻度になるのですが、相席屋は週2とか週3の勢いで女性がたくさん来てくれました。女性が来れば、男性は自然と来ることはわかっていましたから、これはいけると思いました。当初、女性は無料にするか、少しはお金を頂くか、迷ったんです。でも多少頂くよりは、割り切って無料にすることで、訴求力が生まれますからね。また、飲み物は自分で注ぐスタイルにすることで、そこでスタッフがお客様にお声がけして、現在の状況なども個別に聞き出すことができます。少しずつ改良を加えながら、お店で男女をマッチングさせる今のスタイルが出来上がっていきました。今につながるしくみは第1号の赤羽店で、ほとんど出来上がりました。4ヶ月後には、新宿歌舞伎町店の「はなこ」を「相席屋」に変えました。またメディアに大きく取り上げて頂き、もうその日の夜から大行列。ここから怒涛の出店が始まります。

(第3回は2/13月に公開します)

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株式会社セクション・エイト 代表取締役 横山淳司

2006年、22歳のときに会社設立。500万円の自己資金を手に、北海道の食材✕カワイイ女の子が制服を着て接客する新業態「居酒屋はなこ」を新宿歌舞伎町にオープン。2014年、「相席屋」を赤羽にオープン。約2年で70店舗までに成長させた。これまで立ち上げた業態は40以上。

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