【SAKE storyのブランド論】第3回<最終回>
2016年Mr.SAKEコンテストグランプリ。飲食業界の異端児とも言われ、常に新しいことを考え、即実行する橋野氏。類まれな行動力により酒蔵さんと共同開発した「酒パーク(リング)」などで日本酒業界に新風を吹き込んできました。2017年8月に独立。「旅するように日本酒を」をコンセプトにした「SAKE story」を五反田にオープン。定期的に地域を限定して、その土地だけの日本酒を出すお店だ。代表の橋野元樹氏に「SAKE story」や飲食業界への思い、今後の展望をお話いただきました。
聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城
スマホで調べれは、英単語くらいわかる。
———–インバウンド需要はどうお考えですか??
是非、お越し頂きたいと思っていますが、それは、これから外国人の観光客の方が増えていくから商売として。と言うよりも日本の個人飲食店を楽しんで欲しいと思っています。
以前、ニューヨークで日本酒を勉強する学校をしている友人が来てくれた際に、『日本の日本酒のお店は、外国人がドアを開けた途端に顔がこわばって断られたりすることが多い』とお聞きしたのですが、確かに周りを見てみると英語を話せない店主やスタッフの方が多いとは思っていましたが、実際に当事者からお話を聞いて驚きました。
僕の場合20代の旅行中に覚えた簡単な英会話と、度胸と愛嬌で大体話が通じるのを知っているので身構えませんが、‘伝わらなかったら恥ずかしい‘と言う日本人の奥ゆかしさの負の面が顕著に表れているのかなと思います。
ですが、会話をしたいと言う気持ちさえあれば、今は皆、スマートフォンと言う電子辞書を1人1台持ち歩いているわけですから、後は度胸だけさえあれば海外の人と話せる良い時代だと思っています。
お酒を飲む人は減っている。
———–変わることへの大切さをもっているのですね。
毎年星の数ほどのの飲食店が閉店しては開店を繰り返しています。
特に東京のお客様は、世界でも一番と言われるほど、舌が肥えていて、価格にもシビアで、新しい業態にも敏感です。
数年前の自分と同じことをやっていては、退化しているのと一緒です。
かなり昔に、ラーメン評論家で有名な石神秀幸さんがどこかで言っていた言葉が10何年経った今でも忘れられないのですが、「何年も行列が途切れないお店はお客さんが飽きない様に、分かるか分からないかくらいの改善をずっとしてブラッシュアップを続けている」と言う言葉です。
どんなに美味しいラーメンでも好きで通えば通うほど、同じままでいたら飽きられる可能性も高いと言う言葉だと認識しています。
日本酒も‘辛口‘(大多数の方はスッキリした味わいのお酒を指している模様)を頼まれて、お店の人も言われるままにそう言った味わいのお酒をお出ししていたら飽きられてしまう可能性が高いのではないかと思っています。
上:初めはお重入りのお通し、少しづつ楽しめて嬉しい。左:パリッとした食感、どんちっちのあじの開き。右:大人気!すき焼きころっけ、中からとろーり卵が出て来ます。
‘売って良し 買って良し 世間良し’の三方よしの精神で
———–やりたいことがいっぱいですが、今後お店を含めた未来の展望はありますか?
チェーン店ができるような器用なタイプではないので、もし他にもしっかりとサポートをしてくれるスタッフと出会えたら、お店での料理開発以外にも小売りや卸売りしたい物がありますし、初代Mr.SAKEとしてイベント等にも出ていきたいなと思っています。
先ずはお店のコンセプトである、各地域にどんどんと出張に行けるように営業日は必ず満席以上にする努力をしています。
日本酒人の前に飲食人。飲食人の前に商売人でありたいので、近江商人の格言である‘三方よし‘(売って良し 買って良し 世間良し)の精神を常に忘れずにいたいです。
お店としては、特集地域が変わる(2018年1月~3月までは宮城県のお酒を特に揃えている)3ヶ月に1度ご来店を続けて下さるお客様が増えていけば理想です。
各地の蔵元さんの想いや、僕なりに感じているその県のお酒の印象やお勧めしたい銘柄等をお伝えしていきますが、もしこちらの記事をお読みになってご興味を持たれたお客様がいらっしゃいましたら、その旨をお伝えいただきこういったビジネスのお話も一緒にできたら嬉しいです。
SAKE story 代表 橋野元樹
2016年 Mr.Sakeコンテストグランプリ優勝。 利き酒師でもある橋野氏。 日本酒をより身近に楽しく、日本酒を通して蔵元さんやその地方、日本文化を伝えていくことに奮闘中。三角形の日本酒チャートの開発や、炭酸注入の「酒パーク(リング)」「チェイ白湯普及の会」「酒蓋マグネット」等々を考案する発明家。若い頃は世界中を旅していた。趣味はグルメ、読書(特に時代小説と漫画)。将来はマンションで猫と一緒に住みたいと思っているお茶目な方。
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