経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

強みの再発見で、言葉に力がみなぎった。#1

【ベッセルの採用ブランド論 第1回】

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広島県福山市に本社を置く株式会社ベッセルは現在(2017年9月)、全国にベッセルブランドのホテルを18店舗展開。2020年までに30店舗を目指し、アジアへの展開も見据えている。若手支配人候補の採用・育成が急務となる中、採用におけるブランディングに着目し、同社の採用を大きく改善させてきた。ブランディングによって、これまでの採用活動をどのように変えたのか。採用責任者である木下秀二氏に聴いた。

 

 

採用の土俵にすら上がれていなかった。

——もともと採用においてどのような課題があったのでしょうか。

私が新卒採用を始めたのは2011年からです。その前年にホテルの営業から人事課に異動となりました。当時の課題は、採用に対する予算がほとんどなかったこと。これに尽きると思います。ナビ媒体も使っておらず、求人票をつくって学校やハローワークを回るという、ドブ板営業のようなやり方をしていました。今思えば、いわゆる採用の土俵にすら上がれていない状態だったと思います。大卒もほとんど採用できていませんでした。私の採用1年目(2011年)は、大卒1名と高卒11名の入社でした。人数としては多くはありませんが、私が採用と教育を担当した「木下塾」の1期生。彼らがいてくれたから、人事が楽しいと思えました。そこから、今後はもっと大卒を採用すべきだと考え、翌年の2012年から関西や九州の大学にも積極的に訪問を始めました。大卒採用を任され、基本的には自由にやらせてもらえましたね。

 

いかにして福山に振り向かせるか。

——どのような工夫をされていましたか?

営業時代にリクルーターをしており、何度も学生の前で話した経験から、自分の言葉で伝えることの大切さは身に染みていたので、それは今でも実践しています。また、県内の合同説明会には必ず参加すると決めていました。その頃、ホテル業界の他の企業は、あまり合同説明会に出ていませんでした。同じ広島県にある大手のホテルで言えば、特別なアピールをしなくてもブランド力で人を集められていたのだと思います。合同説明会では、短い時間の中でどれだけ魅力を伝えられるか、いかに福山に振り向かせるかを意識して、資料づくりにも様々な工夫を凝らしました。さまざまな試行錯誤を繰り返す中、2015年の終わりに、会社として「採用ブランディング」のプロジェクトを進めることになりました。この時は、本当にありがたいと思いました。ベッセルグループ全体で、支配人候補となる人材の採用に向けてプロジェクトがスタート。大きな期待を持って、プロジェクトのスタートを迎えました。

 

仲間の言葉から、いろいろな武器をもらえた。

——採用ブランディングの取り組みについてはどのような感想をお持ちですか?

今思えば、自分の中で天井を決めていたところがあったと思います。極端なことを言えば、そこまで優秀な学生がうちに来るはずがない。無意識のうちにそんなふうに考えてしまっていたのだと思います。でも、そうではないと気づけたことはすごく大きいと思います。それまで、ナビの紹介文や説明会の資料はすべて自分の言葉で書いていました。会社からダメと言われることもありませんでしたし、しっかり魅力を伝えられている自信もありました。でも、プロジェクトを通してメンバーの言葉を聞くうちに、たくさんの新しい気づきがあったんです。創業90年をアピールするなんて、カッコ悪いと思っていました。でもそれを「伝統」とポジティブに変換すれば、会社としての大きな強みの一つになる。メンバーの言葉から気づきをもらうことで、自分の言葉にも自信がみなぎってくる。だからこそ、学生の心にもより響くようになる。メンバーの言葉から、いろいろな武器を与えてもらったような気分でした。

(第2回につづく)

 

聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:櫻井充

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株式会社ベッセル 総務部 人事課 課長代理 木下秀二

2001年入社。宴会部、フロント、営業を経て、2010年に本社の人事課に配属。ベッセルの採用責任者として、あらゆる採用活動の企画から実施までを担当。自身が講師を務める新入社員研修を「木下塾」と称し、入社後のフォロー研修や育成にも力を入れており、社員からの人望も厚い。

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