経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

選手だった自分が、水泳の世界を変えられない理由はない。

スタートアップのブランド論対談<ロッキンプール西川隼矢>第1回

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ロッキンプールというスタートアップ企業をご存知だろうか。元スイマーで代表の西川隼矢氏(写真左)が、「もっとプールに人と笑顔を集める」の理念のもと、つくった会社だ。現在はプールでの撮影、水中ウェディングフォト、プールアイテムの開発など、プールを中心に多岐にわたる。超独自性を持ったロッキンプールに、スタートアップのブランディングの第一人者、チカイケ秀夫氏(写真右)が迫った。

撮影:落合陽城

 

水泳が嫌いになってエンジニアへ。

チカイケ:プールのことしかやらない会社を起業するというのは相当珍しいんじゃないでしょうか。

西川:そうですね、ほとんど聴いたことがありません(笑)。

チカイケ:起業までの経緯って、どんな感じだったのでしょうか。

西川:大学卒業して選手としては引退して、スポーツクラブに就職したんです。子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで幅広く指導していました。3年続けたんですが、選手時代からもうずっとプールのある生活で、正直水泳が嫌いになってしまったんです。コーチ時代も、毎日5時間プールに入っていましたから、慢性的に風邪の状態。それで、高校時代の一時期にブラインドタッチにハマった経験もあったので、何を間違ったか、SEになろうと思ったんです。

チカイケ:かなり勇気がありますね(笑)。

西川:その時わかったのが、未経験OKって言っていても、まったくの未経験はやんわり断られるんですよね。それでも1社だけ、ウマがあったところがあって。

チカイケ:どんな会社ですか。

西川:あとでわかったことですが、そのときの面接官の方が、会社のソフトボール部の部長さんだったらしく「君、いいカラダしているね。ソフトボール打てる?」って聞かれたんです。こちらも競技は違えど、アスリートでしたから、「多分大丈夫です」とノリで答えていました。そしたら採用してくれて(笑)

チカイケ:縁ですね!

西川:そうなんです。でもその会社には本当に感謝していて、エクセルくらいしかできなかった僕をエンジニアとして立派に育ててくれました。研修などもしっかりやらせて頂きましたし。

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(撮影:西川隼矢)

 

カメラを知って、またプールへ戻る。

チカイケ:その後、どんな経緯でフォトグラファーとしての仕事が増えていくんですか。

西川:尊敬していた会社の先輩がカメラが大好きで、自分も興味があったので教えてもらっていて、まだ水泳を選手として続けていた友人の練習や大会を撮影していました。ある日、北京五輪の予選大会の前に、引退するという話を打ち明けられて。それで、最後にお疲れ様の意味を込めて、彼が泳いでいる写真とこれまで大会成績を記した一冊のアルバムを大会後に渡そうと企画しました。そのときに、撮りに行ったプールの水中に小窓があったので、何気なしに写真を取ったら、とてもいい写真で。

チカイケ:それが今の水中撮影の原点なわけですね。

西川:それでハマってしまって、自費でとにかく水中撮影用の機材を集めました。撮影したものをFBにコツコツアップしていたら、「撮影して欲しい」という声が徐々に集まってきて、という感じです。

チカイケ:最初は会社員をやりながら、撮影していたんですね。

西川:ふつう水中カメラマンというと、海で撮影する装備になります。それをプールに持っていくと、のっぺらぼうで、影のない感じに写真のテイストがどうしてもなってしまう。でも光も上からあててみたら、とてもきれいにと撮れましたね。

チカイケ:もともとは、カメラマンとしての仕事をどう増やすか?って考えていたんですよね。

西川:そうです。仕事もやめて、アルバイトをしながら、本格的にカメラマンとしての道を探っていたところに、チカイケさんと出会って….。

チカイケ:会社の設立を猛烈にプッシュさせていただきました(笑)。

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(撮影:西川隼矢)

 

「お前にそれをやれない理由はあるのか」。

チカイケ:2015年5月に出会って、もう7月には会社をつくっていましたよね。

西川:早かったですね(笑)

チカイケ:カメラマンとしての腕もすごいな、と思ったんですが、当時、プールを使ってイベントしていましたよね。コースを取っ払って、ゴーグルを投げて小学生から、それこそオリンピックを目指す選手とかまで一緒になって遊べるイベントをやっていました。

西川:僕自身、選手だった経験があるので思っていたんですが、水泳界っておもしろくないな、と。

チカイケ:どのあたりですか?

西川:一度、エンジニア時代にカメラを教えてくれた上司に、「水泳界に不満はないのか?」って言われたことがあって、「水泳と言えば泳ぐだけでおもしろくない」「タイムを測らないで誰でも楽しめる大会があればいいなって思います」って言ったことがあったんです。例えば、自分が今、大会に出ても現役時代よりタイムが何秒落ちたって、衰えを確認する場になっちゃうんですよ。

チカイケ:それはしんどいですよね。

西川: そんな話を上司にしたら、「お前がそういう大会をやれない理由があるのか?」と。

チカイケ:すごい上司ですね!

西川:そうなんです、それでイベントを開催するようになりました。

チカイケ:僕は西川さんが、そういう既存にとらわれないアイデアや本当にそれを実現する実行力があることがすごいなと思いました。だから単にカメラマンとして独立するだけじゃなく、それもやりつつプールという枠組みで会社をつくったら、かなり独自性が高く、注目も集められると思ったんです。「ガネットアイ」(※編集部注:水中にやぐらを立てて、縦横5方向から撮影できる)なんて、どうして思いつくんですか(笑)。

西川:あれはお風呂に入りながら、こんな機材があったら、水中でもっと面白く撮影できるだろうな、と思ってストローでつくっていたんです。そしたらできたので、次の日、鉄パイプ70本買って、自分でつくりました(笑)。

(第2回は2/16木曜日に公開します)

 

文:BRAND THINKIKNG編集部 

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撮影:落合陽城

(写真左)株式会社ロッキンプール 代表取締役CEO 西川隼矢
鹿屋体育大学卒。9歳の頃から大学卒業まで水泳を続ける。アテネ五輪代表選考会出場や、200m自由形の香川県記録を10年間保持。独学で覚えたカメラで水中フォトグラファーとしても活躍。2015年、株式会社ロッキンプール設立。

(写真右)パーソナル・ベンチャー・キャピタル 代表 チカイケ秀夫
デザイナーの経験を経て、株式会社GMOで新規事業などさまざまな事業を経験。2015年よりパーソナル・ベンチャー・キャピタルの代表として活動開始。スタートアップ企業にブランディングを広めることを使命に、数多くのサポートを行っている。ロッキンプールのチーフ・ブランディング・オフィサーも務める。

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