経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

人に喜んでほしい。想いの束にブランドがついてきた。

ピープル株式会社 取締役兼代表執行役 桐渕 真人インタビュー【後編】

ピープル株式会社は、乳幼児玩具メーカーのなかでも、ロングセラー商品を多く開発している企業です。「やりたい放題」や「お米のおもちゃシリーズ」、「ピタゴラス」に「ぽぽちゃん」など、子どもがいる家庭なら一度は名前を聞いたことがあるおもちゃばかりでしょう。第2回では、ピープル株式会社の企業理念、企業の核となる部分や、インナーブランディングについて聴かせて頂きました。

 

”楽しい”の奥にある生活にまで寄り添うおもちゃ作り

–ピープル株式会社の企業理念について聴かせて頂きたいのですが、まずミッション『子育て生活を研究し、新しい「ためになる」をつくる』、ヴィジョン『一番身近で「私たち(=子育て生活者)のことを本当にわかってくれている商品・サービスを最前線で世の中に提供し続ける』の2点について具体的に聴かせてください。

 

桐渕:核となる部分は「本当に喜ばれるおもちゃを作る」になるかと思います。ミッションの新しい「ためになる」とは可能性を指し、研究とは言い換えるなら「対話」です。ただ楽しく自由に遊べるだけではなく、おもちゃで遊んだ結果、脳がどのような反応をおこし、行動がどのように変化していくのかまで見ていく。そこまで深めていかなければいけないと思っています。また、子どもの”好き”や好奇心を伸ばすためには、家族の環境も考慮していかなければいけないので、子どもだけではなく、その先の親、家族のことまで考えたおもちゃ作りがミッションになります。これは、ヴィジョンにもつながるのですが、本当に子育て生活者のためになるものを作るために、弊社ではママモニター制度を導入しています。毎年0~6歳までのお母さんにモニターになっていただき、実際に会社に来て頂いておもちゃで遊んでもらったり、社員と話したり、お宅訪問させて頂くこともあります。メリットだけではなく、ベネフィットから考えるおもちゃ作り、ニーズではなくウォンツから作るおもちゃ作りでなければ、本当にタメになるおもちゃにはならないと考えています。よく「ママの声から生まれた商品」という言葉を聞きますが、実際にここまでお母さんに関わって頂いておもちゃ作りをしているのは、弊社だけではないかなと思っています。

 

社員主導で立ち上がったプロジェクト

–バリューの社員が共有する価値観について、どのような体制、どのような想いや価値観を浸透させていますか?

 

桐渕:前提として、弊社は不毛な差別化戦略をやめて、新しいものを作っていこうというスタンスで考えています。同じカテゴリのなかで価格競争をしても自分たちの首を絞めるだけになります。値段が高くなっても「それが欲しい!」「使って満足!」という人を増やせば、世界が良いスパイラルになると考えているんです。この想いは、社員に浸透してきていると思いますね。実際に「バリューアッププロジェクト」というのが、社員主導で立ち上がりました。これは、既存の物を良い値段で、コストダウンして売るのではなく、商品に対する想いをしっかり伝えて、価値を理解してもらおうというプロジェクトです。こういったプロジェクトが立ち上がったのは、社員に価値観を理解してもらえているからだと思います。

また、ガバナンスの部分ですが「委員会設置会社制度」をいち早く導入したことも、一つの体制作りになっているかと思います。そういったところからも、とにかく透明性を大事にしていこうと、社会に対してもお客様に対しても、関わる企業の方に対しても、真摯で誠実に、お金儲けではなく人に喜んでもらえる仕事をしようという部分が、会社の根本として根付いていると感じています。三方良しではなく、五方良し。工場・問屋と販売店・株主・社員・お客様が全員幸せになるように、自分一人が得しないようにというのを、大事にしています。

 

自然と集まる”人を想える人”がブランドを作った

–ピープル株式会社のインナーブランディングは、自然とできあがっているように感じたのですが、実際にどのような社員が多いのでしょうか?

 

桐渕:弊社としては、人に関心があり、好奇心旺盛な人。漠然とした言い方になってしまいますが、何かキラっと光るものを持っている方を採用で重視しています。同じ意見の人が集まっても斬新なアイディアは生まれないので、個性的な人ですね。ただ、結果として、女性社員が圧倒的に多くなっています。その理由として、産休や育休の強みがあります。どんなに大きな企業でも、女性の産休や育休をリスクに感じる企業が多いなか、弊社の場合は、産休や育休はリスクではなく、むしろお母さんとしての経験が武器になる会社です。そういった部分は、採用に上手くつながっているかと思います。

また、お母さんになった社員さんの多くは「早く産んで早く会社に戻ってきたい」って言ってくれるんですよね。この気持ちって結局「自分の経験を早く誰かのために活かしたい」という気持ちが働いていると思うんです。採用としてあえて何か特別なことをしているわけではないですが、結果として、根本的に子どもやそこに関わる家族、人への関心・好奇心を持つ人が会社に集まってくれています。そして、それが自然とピープルのブランドになっているのかなと。ブランドを掲げてそこに向かうのではなく、大事にする想いを元に続けていたらそれがブランディングになっていたという感覚です。

 

 

桐渕 真人
ピープル株式会社 取締役兼代表執行役

2005年3月:ピープル株式会社へ入社
2016年1月:自転車事業部長 就任
2016年4月:執行役 就任
2017年4月:取締役兼執行役 就任
2019年4月:取締役兼代表執行役 就任

名城政也

 
名城 政也

SEO記事からオウンドメディア、脚本や台本、HP文章までweb媒体の記事を多く手掛けるwebライター。 多趣味で幅広い知識を基にさまざまな記事を執筆。

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