経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

目指す世界は、ペライチがなくなること。

【スタートアップのブランド論対談<ペライチ>第4回(最終回)】

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このネット社会において、企業だけでなく、個人でホームページを持っている人も少なくない。しかしその中で、ホームページを作りたくてもパソコンが苦手で作れないという人もたくさんいる。そんな人のために、誰でも簡単に1ページのホームページを作れるサービスがある。それが「ペライチ」。サービスを運営するのは、株式会社ペライチの創業者である橋田一秀氏、山下翔一氏、香月雄介氏(写真)の3名。事業の立ち上げのきっかけやペライチのユーザーが広がることによって、世の中をどうしていきたいのかなどについて、パーソナル・ベンチャー・キャピタル代表で、BRAND THINKINGでも連載を持つチカイケ氏が迫った。

 

文:BRAND THINKING編集部 写真:落合陽城

 

コミュニティとITは切っても切れない。

香月:他のスタートアップと違うところとしては、イケてるプロダクトを作る会社はたくさんあるし、そこを押し出しているところは多いですが、うちはサポーターだったり、コミュニティ、人という部分をすごく大事に考えていて、サポーター×プロダクト=ペライチというサービスだと思っています。人×ITですよね。世の中の大多数の人はITに投資しますが、僕らは人に投資をしています。

橋田: コミュニティというのがそれだけ、ペライチというITツールとセットで、なくしては語れない存在になっているわけですね。

山下:ツールだけだと弱くて、そのツールも、そんなに高いテクノロジーはいらないんですよ。ちゃんと使う人にとってちょうどいいレベルのテクノロジーであればいいんです。だからレベルが高すぎても、使いこなせない。そういう意味では、ペライチのサービスはちょうどよくて、ちゃんと適切なはじめの一歩と、そこからのエスカレーションを無理なくしてロードマップをひいてあげるということがすごく大事です。大体みなさん間違うのは、すごく良いビジョンを掲げているんだけども、実際に問題を抱えている人たちの意識や実態とのギャップが大きいんですよ。それが埋められていない。わかりやすい言葉でちゃんと翻訳して、人々を動かすということをやってあげないといけない。そこがけっこう苦手な人が多いと思います。船で例えると、止まっている状態で舵だけ動かしても方向も変えられない。でも一旦風を吹かせて、動かしてから、舵をきると方向が変わっていく。人も同じで、まず、進んでほしい方向じゃなくても一旦動き出す事が大事で、動いてから軌道修正していけばいいんですよ。僕らはまず動き出させるというプラットフォームを作っています。

 

地方には世界最先端の課題がある。

チカイケ:「つくれるのその先へ」とHPに書いてありますが、この文だけ見ると、つくれるというのは、HPを作れるという意味だと思うんですけど、これまでの話だとHPだけでなく「人」ということも入ってくるのかなと思いますが、「つくれる」というのはどこまでを定義しますか?

山下:ページをつくることもそうなんですけど、みなさんが自分自身のプロダクトを作るということや、未来をつくっていくということもありますし、いろいろ含まれています。

橋田:個人が活躍していくためには、例えばペライチでページを作って売るということでもいいんですが、好きなことにチャレンジをして、オリジナルの価値を作っていくことがこれからの時代は非常に重要だと思います。例えばコモディティ化した商品を全部amazonで買える。だけど個人の人が商店で生き残るためには、何か自分のオリジナルなものを作って、売らなきゃいけない。それが成長に繋がっていくのかなと思っていて、これを僕は「新しい価値」と呼んでいます。そういったことも「つくれる」に含まれていると思います。

山下:これから特に地方の価値が高まっていきます。地方の人たちって自分たちで新しいことができると思っていないんですね。東京が新しくて、僕らが遅れているという感覚をすごく持っている。でも実は逆なんです。課題という切り口から見ると、東京より圧倒的に地方のほうが課題が多い。しかも世界中見渡しても日本の地方にしかない課題が。いわば社会課題において日本の地方は世界最先端なんです!そして課題って目の間にないと解決しづらいんです。東京の人が地方にサッといってサッと課題を解決できるほど地域課題は甘くない。つまり、地域課題の解決のカギはその地域に暮らす人たちなんです。まず、地方にいる人たちがいかにその課題を課題と認識できるかが大事。そして課題を認識したとしても、自分事として考えていない人が多いんです。当事者意識を持っていないというか、誰かが解決してくれるだろうと思っているんですね。それを自分事化させないといけない。その過程があって最後に、ITなどのソリューションなんですね。このソリューションは、自分自身がそのソリューションをもっていなくてもよくて、別の地域から解決できる人を連れてくるということでもいいんです。この課題を認識して、自分事化するということをやっていくと、地方からどんどんソリューションがでてきて、日本は必ずソリューション大国になれるはずです。今僕がやっている地方の事例でも、たった1万人の課題でも、これが1億人、数億人となってくと大きいビジネスになるじゃないですか。地方の人たちは、自分たちが未来の世界のヒーローになれるということに全然気づいていない。だからぼくは地方にいって、あなたたちが次世代のヒーローになるんですよということを言っています。そういう意味で価値を生んでいける人たちは実は地方に多くいるんです。

香月:僕の中での「つくれるのその先へ」ですが、「つくれる」は、物質的なもので、「その先へ」は精神的なもの。物質的なものっていろいろあると思いますけど、創造できる物質的なものってあるじゃないですか。わかりやすく言うとペライチならページがつくれる、ページをつくったあとに売上があがる、何かが手に入るという入り口であると思っています。でもその先にいってはじめて気づく精神的な豊かさや幸せはすごくあると思っていて、それが人のためになることや、誰かの助けになることがその人にとっての幸せだったり、成長が幸せだったり。それこそが、「その先」なんだと思っています。

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役に立ちたい、という想いが原動力。

チカイケ:今の話でつくるということの意味が全部つながって腑に落ちました。

橋田:翔さん(山下)が地方に行っているのはすごくわかりやすくて、ぼくは東京出身なんですけど、僕が地方にいっても、なんか東京のIT企業のやつが来たみたいになってしまう。でも彼は地元が佐賀で、広島の大学に行ってという話から入れるので非常に説得力がある。

山下:地方への愛は負けない!ITの「I」は「愛する」の「I」だと思っています!

チカイケ:このサービスが広がると、どんな社会になると思います?

山下:みんなが優しくなると思います。自分のためではなくて、誰かのために行動できる人が増えていくと思います。子供たちがそういうふうに変わっていってほしいです。社会人になる前に、このコミュニティに触れることによって、かっこいい大人の定義を変えたいんですよ。地方に行って、かっこいい大人たちをたくさん見てきたから、そういう人たちが評価される世の中にしたい。
かっこいいの定義が自分のために野心をもって何かをしている人ではなくて、世の中のために、汗水たらしてやっている人たちをすごくかっこいいなというようにしていきたいです。そんな大人になりたいなと子供たちが憧れる存在にしていきたい。サポーターさんの中には、セミナーを無償でやったりしている人もいるんですよ。

香月:何がそんなにモチベーションなのかと、外の人に聞かれるんですけど、利他の精神だったり、周りを助けたいと思っている人たちが、ペライチをはじめとしたツールを使って、周りの人たちの役にたつことをしたいとシンプルに思っているからです。

 

ペライチに関わる人が成長する。

山下:ペライチの目指す世界の1つに、ペライチがなくなることがあります。極端に言うと、インターネットとマーケティングが不要になる世界をつくりたいんですよ。マーケッターとしてすごく思っていることが、マーケティングって誰かのニーズとか考えないといけないじゃないですか。それって前提として、「人は自分のために行動するんだ」「自分のメリットになることにアクションを起こすんだ」というのがあるんですね。一番いいのは、自分が何かをやりたいと言ったときに、身近な人たちが無条件に「それいいね!」「翔さんがやりたいなら応援するよ!」と言ってくれること。あなたのやることに協力はするけど、私にもメリットをくださいねということではなくて、あなたがやりたいことを純粋に応援しますよという世の中にしていきたい。それはペライチを使うと実現できるとおもうんですよね。遠い誰かではなく、身近な誰かがちゃんと応援してくれるような、相互に応援しあえるようなコミュニティを作っていくことをやっていきたいです。

橋田:僕も実現したい世界に関して言うと、誰でもチャレンジできるような世の中にしていきたいです。さきほど、ペライチにこだわる必要はないという話をしましたが、ペライチなんかどうでもよくて。どうでもいいっていうと語弊があるけど(笑)。とにかくやりたいことは、好きなことをやって生きていける人たちをどんどん生み出すこと。だから僕はどちらかと言うと、もともとエンジニアでスタートしてるんで、こういうのあったらいいよねという、もっと新しいアイデアとか、実現できるものっていうのを増やしていきたい。だからペライチっていうプロダクト以外もやっていきたいというのはそういう意図で。ターゲットはいっしょなんだけど、全然違うアプローチで何かができるっていうふうに本気で思っていて。だからそういうものをより生み出していきたいという気持ちはすごい強いです。

チカイケ:香月さんはどんな未来を実現していきたいですか?

香月:ぼくはペライチってどういう会社ですか?って聞かれたら、成長する会社ですって答えていて。ペライチが成長するというよりも、関わる人たちが成長する。成長の先に何があるかと聞かれたら、幸せがあるんですよ。成長の先に幸せがあるというのもあるんですけど、厳密に言うと、成長してるときに人って幸せを感じるんですよ。特に僕は普段はエンジニアなので、エンジニアって成長を感じやすいんですよね。成長しているときは、時間を忘れるほど夢中になれる。で、人はどういうときに幸福感を感じるのかと言うと、成長していることともう一つ、何か人のためになっていることをしている時だと思うんですよね。これは科学的にも証明されていて、子供のときから、人のためになることをすることが喜びだって子供はわかっていて、実験で子供にお菓子を渡して、好きなようにしていいよって言ったときに、喜んで目の前の人にお菓子を差し出したときが一番幸福指数が高かったらしいんです。世の中の人たちってそれを忘れているというか、ベクトルが自分に向いている、自分のために生きているという人は多いと思うんですけど、おこがましい言い方になってしまうかもしれませんが、人のために、他の人に方向が向くということが成長だと思っています。でもその為には自分が満たされていないと難しいんですよ。余裕がないときにそういうことやってもそれって自己犠牲にしかならない。その反面、人のためではなく、自分のためのことばっかりやっていても、それは自己満足ですよね。それをぼくは「思いのベン図」って呼んでいるんですけど、人のためと、自分のためが重なった部分に生きることが一番幸せだと思うんです。ペライチが成長して、そこになっていってもらうことが、ペライチの役割だと思っていて、そのためのコミュニティであり、プロダクトであり、サービスであるかなと思っています。

 

(おわり)

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代表取締役 橋田一秀(写真中央)
東京理科大学卒業後、株式会社NTTデータに就職。1年半で退職し、株式会社うるるでほぼ未経験ながらエンジニアとして就職。4年3ヶ月の勤務後、山下氏、香月氏を誘い、株式会社ペライチを創業。

取締役 山下翔一(写真左)
広島大学卒業後、株式会社ライツアパートメントにて、プロデューサー、WEBチームリーダーを歴任。中小企業から上場会社まで30社以上の経営戦略、マーケティング、PRを請け負う。株式会社ペライチでは、長期的なミッションやビジョンの言語化、経営戦略、マーケティング・PR戦略、サポーターコミュニティやセミナー周り運営、法人支援部および省庁や企業や自治体等とのアライアンス等を担当。

取締役 香月雄介(写真右)
中央大学を卒業後、新卒で制作会社にiOSエンジニアとして勤務。その後1年ほどフリーランスを経験し、エレビスタ株式会社の設計・開発・運用を担当。
株式会社ペライチでは、主にプロダクトの開発を担当。

chikaike

 
チカイケ 秀夫

パーソナル・ベンチャー・キャピタル代表。企業ブランディングパートナー/社外CBO(チーフ・ブランディング・オフィサー)。一部上場IT企業でベンチャー立ち上げ、グロースハック、企業理念策定や代表直下でグループでのさまざまなプロジェクトを担当。そこでの『ブランディング』を通して、現在は、個人/スタートアップ/ベンチャーへの支援を行う。

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