経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

ブランディングが、スタートアップの発射角度を上げる。

【Skyland Venturesのブランド論対談 第3回】

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25歳以下の若手スタートアップに積極的に投資をする企業がいる。10年続く企業が1%とも3%とも言われる熾烈な世界。Skyland Venturesはなぜ不確実な生まれたばかりの企業に向けて投資を行うのか。それを明確に打ち出したスローガンが「The Seed Maker.」。このほど自分たちが世の中へもたらす価値(=バリュー)も言語化した。その背景や今後の行き先について、代表パートナーの木下氏(写真左)と、ブランディング・プロジェクトを主導したPARK代表取締役でBRAND THINKINGで連載も持つ、コピーライターの田村氏(写真右)が語り尽くした。

 

聴き手・構成:田村大輔・BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

 

拠点があるから、投資家も集まる。

——–インキュベーションオフィスである「HIVE」がちょうど2周年。インキュベーションプログラムである「WAVE」も2017年6月から始まりました。

木下:渋谷のこの立地ですし、コストはとてもかかります。でもいいこともあり、やっぱり拠点があることで投資相談は増えています。経営者やVCはなかなかオフィスにいなくて捕まらない人も多い。けど、僕らは「HIVE」に極力いるようにして、いつ相談が来ても良いようにしています。

田村:起業家へのメリットもありますよね。ちょっと成功しはじめると勘違いしちゃったりすると思うんです。でも近くに一緒にいて発破かけられたり、絶望を感じている背中を見せてくれたりするのはとても重要なことだと思います。

木下:「HIVE」をやり始めて会える人数が増えたのはベンチャーキャピタリストとして嬉しいことです。ここで起業家をゲストにしたイベントを定期開催したり、毎週水曜日の午前は15分×10本のスタートアップとのMTG「SEEDS」というものを開催しています。さらにこの拠点をベースに、シードスタートアップがここに入居して立ち上がっており、最近では「WAVE」という3ヶ月のインキュベーションプログラムをスタートしました。シード期を一気に超えて、最速で成長する発射台になれればと思っています。

田村:木下さんがたくさんの起業家や起業家の卵と会う中で、成長するスタートアップは何が違いますか。

木下:ポイントは幹部が入るかどうかだと思います。人間が1人でやれることなんて限られてますから。とくに会社の成長へのインパクトで言うとCOOが入ることは、組織上とても重要です。

 

プロと仕事をすることで、スタートアップは成長する。

——–COOが入社すると、何が変わりますか。

木下:単純に、「そのタスク忘れてました」。という未消化タスクが確実に減るんですね。一緒にミーティングして「これやりましょう」と言っていて、その場では盛り上がったんだけど、全然進んでいない、ということはよくあります。小さな約束が遂行されると、組織はどんどん進化していきます。

田村:手が回らなくてできない、ということが減るのは、やることが多いスタートアップでは大きいですよね。

木下:それと外部のプロフェッショナルな人と仕事をしていくことも大事です。だからいろんな人を紹介しますよ。それこそ、会社のロゴひとつとっても、友達のデザイナーやクラウドソーシングなどで頼むよりは、ちゃんと実績のあるプロの紹介を受けやってもらうほうが、先々に変えることを考えれば安いと思います。

田村:そのあたりは、デザインや言葉まわりを整える、つまりブランディングの土台を整えるということですが、そこにはスタートアップとの金額のミスマッチがどうしても存在しています。でも、これから有名になるスタートアップの仕事ができる、というのは僕らにとっても開拓する価値の高い分野だと感じています。

木下:スタートアップからすると、1億円の資金調達しても、売上がほぼなかったら、まとまったお金を使って外部に仕事をお願いすることは経験値がない起業家はなかなかできない。でも僕らベンチャーキャピタリストや先輩経営者がこういうことに資金を投下しても良いんだと伝えていけば、より文化として根付いていきやすいかと思っています。自分たちの理念を明確にして、それをロゴやクリエイティブに表現することは、商品やサービスを研ぎ澄ますことにもなりますから、僕らは今後積極的に協力をしたいと思っていて、コピーライターやデザイナーの人とスタートアップのミートアップをし始めています。

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起業家と目線を合わせる。だからいい仕事ができる。

——–スタートアップからのブランディングは、金額面さえクリアできれば、多くの企業の成長を後押しできそうです。

田村:起業する人って、したいことが明確である場合が多いと思うんです。スカイランドさんもとても明確でした。僕らからすればそれを言葉にしていけばよかった。逆に言うと、「こうしたい」という想いがない場合は難しいですね。

木下:何でもそうですが、絶対にその道のプロを巻き込んだほうがうまくいくんです。プロかプロでないかは、それを任せられるかどうかだと思っていて、きちんとしたプロに頼んで、クリエイティブやその効果を仮説検証していくことで、成長できるし、結果的にお金にも困らなくなるはず。その仕組みづくりを一緒にやっていければと思っています。

田村:僕らも、クライアントさんからダメ出しを貰えるような関係性がいいと思っています。「クリエイター」っていうよくわからない人がやってきて、なんだか腑に落ちていないけど、「プロが言うならこれでいくか」、ってケースもあると思うんです。ミッションやバリューがどこかから借りてきた言葉なのではなく、本当にその会社の心の底からの言葉であることが大事なんだと思います。

木下:スタートアップのブランディングは、自分たちのプロダクトがイケると感じたら絶対にやったほうがいい。でも、やったほうがいいと言われても、なかなかやれない。それはイメージがわかないからです。だからこそ、クリエイティブのプロフェッショナルとの接点を早くからつくって、目線を合わせることが、とても重要かもしれません。

田村:僕らクリエイティブを担当する人間にとっても、「起業家から学べ。起業家と暮らせ。」っていうことな気がしますね。

 

(おわり)

 

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木下慶彦(写真右)
Skyland Ventures 代表パートナー
1985年生まれ。ベンチャーキャピタリスト。インターネットサービスをつくる25歳以下のスタートアップへの投資をメインに行うシードファンドを運営するSkyland Venturesの代表パートナー。 「The Seed Maker.」というミッションを掲げ、日本国内を中心に40社以上へ投資。総額14億円を運用する。早稲田大学理工学部卒業。

田村大輔(写真右)
1982年生まれ。2004年よりコピーライター廣澤康正氏に師事。ユニクロ、ロッテリア、ミズノなどのブランディング/プロモーションに携わる。2012年、面白法人カヤック入社。コピーライター専属部署「コピー部」の立ち上げに参画。サービス立案・運営からキャンペーンまでを担当。2013年、オレンジ・アンド・パートナーズ入社。プランナー/プロデューサーとして、企業ブランディングや地域活性プロジェクトを担当。2015年、クリエイティブエージェンシー株式会社パーク設立。「愛はあるか?」を理念に、最近ではスタートアップ系のブランディングに力を注いでいる。

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