【Rettyのブランド論対談 第1回】
日本最大級の実名型グルメサービスサイトに成長したRetty(レッティ)。会員は2200万人以上(2016.7現在)にも達している。昨年7月には11億円もの大型資金調達を成功させている。2010年創業から早7年近く。ますます成長に拍車のかかるRettyの土台となる考えは何か。創業者で代表取締役の武田和也氏(写真右)に、パーソナル・ベンチャー・キャピタル代表のチカイケ秀夫氏(写真左)が聴いた。
エンジニアはいなかったけど、やりたいことは明確だった。
チカイケ:武田さんは何かのインタビューで、初めはエンジニアもいなくて、全部自分でやった、というのが書いてあったんですが、本当ですか。
武田:はいそうです。自分で本を買ってきて、それを見ながらサイトをつくっていきましたね。
チカイケ:「Retty」で起業しようと思った背景は?
武田:ネットエイジを3年で辞めて、1年間、自分は本当に何をしたいんだろうと、とことん考えるためにアメリカに行きました。そこで40以上のビジネスモデルを考えて、本当に自分は何をやりたいんだろう、というのを考えた結果ですね。
チカイケ:食というのは、世界に展開もし易いですよね。
武田:はい。そして日本が世界に誇る領域だとも思うんですよね。対象になるユーザーさんも、とても多い。いいお店に出会うと、シアワセな気持ちになるじゃないですか。そういうことを実現できることがやり甲斐につながるんじゃないか、と思いました。
誰かのために働くことが、人の、企業としての、やり甲斐。
チカイケ:そうすると、「食を通じて世界中の人々をHappyに」という理念はもともと武田さんの中にあったんですか。
武田:言葉はその時々で変わっていますが、基本的にはずっと変わっていないですね。
チカイケ:理念を掲げる必然をどのように考えていますか。
武田:結局、人生って働いている時間が大半を占めていると思うんです。自分のために働くのは、短期間ではいいのかもしれませんが、有意義じゃないし、長期的には必ずモノ足りなくなります。それは学生時代のECサイト運営の頃から思っていましたね。
チカイケ:ECサイトではどんな商品を扱っていたんですか。
武田:何でもやってました。北海道の毛ガニから、化粧品まで。僕が扱ってた化粧品って利益率高くて、とても儲かるんです(笑)。でも、なんか違うな、と。これを売って、誰かの人生が良くなっていくイメージが沸かなかったんです。自分が本当にやりたいことをやって、やり甲斐を埋めるものをする必要を感じましたね。
絶対に受け入れられる、という確信があった。
チカイケ:Rettyの立ち上げは最初は何人でしたか?
武田:2人ではじめました。サービスリリース時は5人になっていましたね。
チカイケ:それはすごいですね!
武田:でも、みんなバイトです。本当は社員になってほしかったけど、お金がなかったから、雇うことができなかった。でも彼らがいたから、6ヶ月間でサービス立ち上げまでやれました。
チカイケ:6ヶ月というのは、とても早いように思います。
武田:実名でいいお店を勧め合うというサービスはまだなかったんで、急ぎましたね。食というわかりやすさもあるし、これからマネもあるだろうし、いち早く波を掴む必要があると思っていました。
チカイケ:手応えをつかめたのはどのくらい経ってからですか?
武田:手応え、という意味ではまだまだ今も道半ばですよ(笑)。でも最初に思ったのは、2,3年後。閲覧ユーザーがグッと伸びていく時だったと思います。
チカイケ:2,3年は不安ではなかったですか?
武田:いずれは世界へ、と、もともと目標としていたゴールも大きかったし、自分たちの事業に迷いもなく、絶対に受け入れられる、という確信もあったので、実はそれほどでもなかったんですよ。
第3回「全社員がユーザーを向いて仕事ができる組織をつくり続けたい。」
第2回「東京は世界一の市場。だからイノベーションを生み出せると思った。」
聴き手:チカイケ秀夫 構成:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城
Retty株式会社 代表取締役 武田和也(写真右)
青山学院大学在学中に起業を決意。学生時代からECサイトを運営し、月商数百万円まで成長させる。2007年、株式会社ネットエイジ(現ユナイテッド株式会社)入社。ビジネスモデルを考えるために渡米、約1年の滞在期間中に現在のRettyの原型ができ上がる。帰国後、起業。2011年にRettyをリリースし、現在に至る。
パーソナル・ベンチャー・キャピタル 代表 チカイケ秀夫(写真左)
デザイナーの経験を経て、GMOインターネットグループで新規事業などさまざまな事業を経験。2015年よりパーソナル・ベンチャー・キャピタルの代表として活動開始。スタートアップ企業にブランディングを広めることを使命に、数多くのサポートを行っている。さまざまな企業のチーフ・ブランディング・オフィサー(CBO)を務める。
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