経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

理念さえ毎年見直す。それがカヤックの文化だから。

【カヤックのブランド論対談 第1回】

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カヤックは言わずと知れた日本で最も有名なIT企業のひとつ。複数代表を置く共同経営の先駆けでもある。2014年に上場し、受託事業やゲーム開発だけでなく、ウェディング、葬儀など近年はさまざまな事業を手がけている。ユニークな人事制度、本社・鎌倉へのこだわりなど、独自の文化を持つ企業だ。その背景にある考え方とは何か。代表取締役CEO柳澤大輔氏(写真左)に、BRAND THINKINGで連載も持つ、パーソナル・ベンチャー・キャピタル代表・チカイケ秀夫氏(写真右)が聴いた。

 

決断に正解はない。だから理念という指針を決めた。

チカイケ:カヤックと言えば、理念がとても強い会社、という印象があります。

柳澤:でも理念は毎年見直しているんです。

チカイケ:毎年ですか!?

柳澤:カヤックの文化として、「なんとなく世の中のルールだからこうしよう」というのを見直す、というのがあります。私たちが持っている考え方と、世の中のルール、どっちが大事か?というのを考えるんですね。これは理念に限らず、何でもそうですが。

チカイケ:ということは、今の「つくる人を増やす」も、毎年見直しているんですね。

柳澤:はい。毎年見直しても、ここ数年はこれを超える理念はないですね。

チカイケ:どうして「つくる人を増やす」にしたのですか。

柳澤:あれはたしか半年くらいかけてつくったと思います。コピーライターと一緒に考えて、たくさんの案の中から僕が書いたものにしたんですね。結局、これまで僕らが大事にしてきたことって、過去の決断に出ていると思うんです。それを丁寧に見つめた時に、今の言葉につながるものが出てきたということなのだと思います。もちろん、こうした作業をしていきながら、自分たちが大事にしていることに改めて気づくことっていっぱいあるのですが。

チカイケ: 毎年、自分たちの価値観を見直す時間をちゃんとつくっているのですね。

柳澤:人の決断って、正解も不正解もないじゃないですか。だとすると、経営していく時の指針は、理念だと思うし、経営に正解はないですから。言語化することで、人に語り続けることができるようになります。言語化していなかったら、僕がいなくなったら、文化が消えてしまいますよ。それが理念をつくるということなのだと思います。

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ブレストは、たくさんアイデアを出すことが大事。

チカイケ:理念浸透もとても力を入れていて、企業ホームページを使ってオープンにやられていますよね。

柳澤:「みんなの理念解釈」のコンテンツですね。あれも社内のブレストをやっている中で、メンバーから上がってきたアイデアです。

チカイケ:柳澤さんの指示ではないのですね。

柳澤:うちはブレストの文化がありますからね。「書いている人は理念について考えるいい機会だけど、見ている人はあまりおもしろくないから、せいぜい3ヶ月に1回くらいの更新にしてね」という注文をしているだけです(笑)。僕は企業ホームページの編集長的な位置づけで、コーナーのOKを出す役ですね。

チカイケ:ブレスト、というのもカヤックの大事な文化ですね。

柳澤:もうずっとやっていますからね。ブレストが文化をつくっていると言っても過言ではないです。ブレストで出たアイデアを自分が実行できれば、愛着も湧きますしね。自然と主体性も出ます。

チカイケ:フラットな組織文化にも自然になりそうです。

柳澤:そうですね。これはコーポレートサイトにも書いてありますが、とにかくブレストは数を出すことが一番大事です。誰かのアイデアに乗っかることや褒め合うことで、チームワークがよくなります。

チカイケ:「アイデアいっぱいの人は深刻化しない」という考えもカヤックにはあります。

柳澤:「もはや打つ手がない」と思うから、人は深刻になっちゃう。打つ手がないと思ったら、まずはたくさんアイデアを出してみればいいんです。

 

本質的で笑いになる採用手法を。

チカイケ:採用もとてもユニークですよね。「卒制採用」や「エゴサーチ採用」など毎年新しい採用方法を編み出しています。

柳澤:卒業制作だけで応募できる「卒制採用」は、年を重ねるごとに、同じような採用をするところも増えてきましたね。

チカイケ:それはあまりおもしろくないですよね。

柳澤:いえ、むしろ最近では「卒制採用」をやりたい会社で一緒になって、16社合同でやりましたよ。

チカイケ:ずいぶん、懐が深いですね。たくさんのカヤックならではの採用手法がありますが、ゴーサインを出す基準は何ですか。

鎌田:本質的でかつ話題になるものでしょうか。話題になるけど、本質的でないものはやめようと思っています。

チカイケ:確かに。今の採用のスタンダードに対して、どこか問題を突いたり、問いただすような採用手法を世の中に出していますよね。「面白法人」というスローガンともつながるものがあるし、一貫性や深みが生まれますよね。

 

第2回は3/30(金)に公開します。

 

聴き手:チカイケ秀夫 構成:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

 

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株式会社カヤック 代表取締役CEO 柳澤大輔(写真右)
慶應義塾大学環境情報学部卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメント入社。1998年、大学時代の仲間であり、現CTO貝畑政徳、現CBOの久場智喜とともにカヤック設立。「サイコロ給」や「スマイル給」など、独自の価値観に基づいたユニークな人事制度、「旅する支社」などワークスタイルを発信。2012年カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル審査員。著書に、「面白法人カヤック会社案内」(プレジデント社)、「アイデアは考えるな」(日経BP社)など。

パーソナル・ベンチャー・キャピタル 代表 チカイケ秀夫(写真左)
デザイナーの経験を経て、株式会社GMOで新規事業などさまざまな事業を経験。2015年よりパーソナル・ベンチャー・キャピタルの代表として活動開始。スタートアップ企業にブランディングを広めることを使命に、数多くのサポートを行っている。さまざまな企業のチーフ・ブランディング・オフィサー(CBO)を務める。

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