経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

自然にやり続けられること。それが美しさを生み、ブランドになっていく。

スタートアップのブランド論対談<オモロキ鎌田武俊>第1回

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「ボケて」は2007年からスタートした、お題を出して、それに対してボケ合うユーザー参加型のサイト。アプリは500万DL。これまでの累計ボケ投稿数は5000万に迫る勢いで、お題投稿数も250万以上と、あらゆる人がサイトを訪れ、お題を出し、ボケ合っている。それを運営しているのが、株式会社オモロキ。とてもユニークな価値観を持つ企業だ。ボケてを生み出したオモロキという会社の源泉を、スタートアップのブランディングを多数手がける、パーソナル・ベンチャー・キャピタル代表、チカイケ氏が解き明かす。

 

聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

 

ブランド構築は、散逸構造論である。

チカイケ:「ボケて」はとても多くの人に愛されています。これまでも取材は多かったんじゃないでしょうか?

鎌田:いえ、そんなことはないですよ。他のメンバーは表に出て話すのは得意ですが、僕自身はなかなかに不得手で。

チカイケ:今回は貴重な機会ですね。

鎌田:僕が何か与えることができる場合は、喜んでお受けしています。例えば将来、制作の仕事に就きたいと思っている学生たちには、少しは何か参考になれることを話せるかもしれないので。でも話すことは特に根拠はなく、なおかつ実験的なので鵜呑みはしないでください。

チカイケ:とても勉強されていて、しっかりとした考えがある印象があります。

鎌田:今回は、テーマがブランド構築。これまで特にブランドという側面で考えてこなかったので、自分なりに考える、いい機会だと思っています。

チカイケ:ぜひ鎌田さんの考えるブランド論をお聴きしたいですね。

鎌田:お話し伺って思ったのは、ブランドは散逸構造論で考えるとイメージしやすいな、ということです。絶えることなくエネルギーを入れ続ければ、自然に生まれるものだと思いました。

チカイケ:さんいつこうぞうろん??ですか??

 

意図しなくてもつくられるブランドが美しい。

鎌田:散逸構造は詳しくはネットや本で調べてもらえれば思いますが、簡単に説明すると、例えばお湯を沸かすじゃないですか。そうすると対流が生まれますよね。エネルギーによって、構造が生まれ維持される。散逸構造はそのようなもので、対流そのものが、ブランドに近いんじゃないかと思ったんです。

チカイケ:この企業のブランド価値は何だろう、と思った時に、目に見えるものではないですよね。

鎌田:そうですね、目に見えないものですよね。お湯の中の対流はなんとなくもや〜と見えるけど、気流は雲がなければわからないし、確かに何か構造はあるけど、個別に取り出せない。ブランドってそういうものなのかなと思います。

チカイケ:ブランドって、その商品の材質や品質、パッケージ、プロモーションなどなどいろんなものが合わさってブランド・イメージになっています。何か思いがあれば、ひとつの力を生みますが、何もしなければ、組織の思いはバラバラになってきます。

鎌田:雪の結晶は初期構造を拡大させていきますが、企業の哲学とか理念とか、初期構造に合わないと、ブランドは壊れるのかもしれませんね。マネジメントできればいいですが、意図しなくても形成されていく方が自然で、崩壊する臨界点は遅いのかなと思っています。

チカイケ:自然がつくる美ですか?

鎌田:自然にできた構造は美しくて。自然の構造に対してダサい!って思うことはないですし(笑)

チカイケ:ブランドのつくり手を離れた感じでしょうかね。ブランドがいい方向に向かっていく感じ。

鎌田:そうですね。意図のない形で、ブランドが生まれていくのが、受け取る側にも気持ちいいのではないかと思っています。それは散逸構造のように、ただただ自分にとって自然な形でエネルギーを出して続けていければブランドが生まれるんだと思います。

 

自然な行為がパワーを生んでいく。

チカイケ:それには、やはり企業文化が大事だと思います。

鎌田:そういう意味で日本人はブランドを生み出す根源的な考えがすでにあると思うんですよね。

チカイケ:どんな考えでしょうか。

鎌田:諦観ですね。「しょうがない」という言葉。悟って、すべてを受け入れる、という考え方があって、日本人の強みだと思うんですよね。

チカイケ:ありのままを受け止めて、そこからどうする?ということですね。

鎌田:自分の力ではどうしようもないことが起きたとして、でも自分的にはこうしたい、こうすることが自然というか、しょうがない。という境地に経った時、そのままやり続けると、エネルギーになって、勝手に構造が生まれるんだと思います。そしてそれがやがてブランドになるのではないか、と思うんです。

チカイケ:あくまで逆らわず、自然なことをやり続けるんですね。

鎌田:タモリさんの言葉で「人間はいかに自分がしょうもないかを自覚すると、スーッと楽になれる」ということを言っていて、本当にそうだと思うんですよね。

チカイケ:そういう意味で、「オモロキ」や「ボケて」は、鎌田さんにとって自然な行為というわけですね。

 

(第2回は3/9(木)に更新します。)

 

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株式会社オモロキ 代表取締役 鎌田武俊(写真右)

慶應義塾大学総合政策学部卒業。奥出直人研究室でウェブ、映像、デザイン、Flash、DTPからチームマネジメントまで広く学ぶ。大学在学中に六面体映像デバイスの特許を取得。卒業後は日本テレビ放送網株式会社に就職。2007年、オモロキ設立。代表取締役に就任。

 

パーソナル・ベンチャー・キャピタル 代表 チカイケ秀夫(写真左)

デザイナーの経験を経て、株式会社GMOで新規事業などさまざまな事業を経験。2015年よりパーソナル・ベンチャー・キャピタルの代表として活動開始。スタートアップ企業にブランディングを広めることを使命に、数多くのサポートを行っている。さまざまな企業のチーフ・ブランディング・オフィサー(CBO)を務める。

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