2021年6月17日、オンラインにて日本ブランド経営学会サロン第30回が開催されました。
日本ブランド経営学会は、ブランディングの視点から日本の企業経営を変えていくという志をもった学びの集まりです。なかでも活動を特徴づけるサロン活動には、「ブランディング」という共通の関心事をテーマに社会人が集まり、創発的な取り組みのきっかけの場にもなっています。
ライトニングトークでは、山田裕一さん(株式会社クオーターバック代表取締役ブランディングファシリテーター)と阿比留大吉(株式会社シグニス代表取締役,芸術工学博士,愛知東邦大学客員助教)さんが登壇してくださいました。
山田裕一氏の登壇です。ご自身の経営する会社のオフィス移転を事例に、自社の理念に沿った「つながりの生まれるオフィスづくり」を紹介。単に家賃の削減につながっただけではなく、理念を体現するオフィスにしたことで「個人的には」という言葉が減り、意思決定が早くなった、という効果を発表くださいました。
次に阿比留大吉氏の発表です。ご自身が手がけた学生寮づくりを事例に発表くださいました。「成長装置としての学生寮」を標榜し、学生による自主運営が行われています。これまでの5期の取り組み歴史では、「自分の夢を叶える扉」、「破壊せよ、自分の扉」などのコピーを開発。その年の課題を抽出し、改善し、年ごとに異なった訴求を行い、学生を募集。また、学生自ら利益を上げるしくみづくりを行うため、ゲストハウスを運営。売上的にも1000万円を超えました。大学のブランドコンセプトとも連動し、まったく新しい学生寮づくりについて、発表が行われました。
そして、今日のメイン登壇は、土野史隆氏(株式会社Toreruパートナー弁理士/COO)の登壇です。テーマは「ブランド戦略の落とし穴〜投資対効果を左右する『知財の鉄則』」です。土野氏は一貫して知財畑を歩んできました。「商標はブランドを守るためにあるものなのに、自分はよくブランドをわかっていない」。そんな自身の課題感から、ブランドについての学びを深め、現在は「ブランド×知財」を推進する「ブランド弁理士®」を標榜しています。
ブランドと知財は切っても切れない縁のはずが、意外とブランドに関わる人たちにとっては、わからないことが多い分野。ゆえに何も対策を講じられていないブランドも数多く存在しています。一見わかりにくそうな知財の話をとてもわかりやすく展開してくださいました。
土野氏は、知財を考えていくときに、ブランドの消費者とのタッチポイントを考えていくことが重要であると訴えます。例えばひとめでそのブランドとわかる商品パッケージや、店舗での「いらっしゃいませ」の声がけの体験。それらも知財が土台になっていて、すべてのブランド体験は知財を通して伝わっていると説きます。
また知財に投資することでの、ブランドへの投資効果についての発表してくださいました。「ブランドに価値が出てくるから、知財にも価値が出てくる」というのが土野氏の見解。知財は期限があるのに対し、ブランドは時期が限られない。つまり、ブランドの価値を高めることで、知財の権利があるうちに優位に事業を進めることができ、そして知財の期限が切れたあとも優位に事業を進めることができる、とまとめます。知財とブランドの密接な投資効果について、さまざなまポイントから話してくださいました。
土野氏の発表後はいくつかのブレイクアウトルームに分かれ、それぞれのルームでディスカッションが行われました。
毎回このディスカッションでは、成功話だけではない、苦労や失敗などのブランディングの実践における、生の議論が繰り広げられています。次回のサロンは7/15(木)19:30〜の開催となります。
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