パーパスブランディングとティール組織の実践
2020年1月16日、hoops link tokyo(渋谷)にて日本ブランド経営学会サロンの第17回が開催され、この日は約40名程度のみなさんが参加されました。
日本ブランド経営学会は、ブランディングの視点から日本の企業経営を変えていくという志をもった学びの集まりです。なかでも活動を特徴づけるサロン活動には、「ブランディング」という共通の関心事をテーマに社会人が集まり、創発的な取り組みのきっかけの場にもなっています。
今回のテーマは「パーパスブランディングとティール組織の実践」。まずはじめにデザイナーの竹田哲也さんより、ライトニングトークでの発表です。
組織形態がブランドの形もつくる。
竹田さんの所属する株式会社アトラエは取締役以下、ヒエラルキーのない組織。いきいきと働ける組織づくりを心がけているそうです。以前いた組織で理念を考え、決めてきた経験から、今回は「組織とブランディングの関係」について、発表してくださいました。竹田さんはビジョンを最上位概念と位置づけ、それを叶えるために「事業戦略=ミッション」と「組織・人財戦略=バリュー」と分解し、考えているそうです。「組織形態が文化をつくる」(クレイグラーマン)の言葉を引用し、ヒエラルキー組織はビジョンが最上位概念。しかしホラクラシー組織の場合は、ビジョンやバリューが中心で、そこを囲うような円の組織であると規定します。
竹田さんはディズニーリゾートの例とキティちゃんの例を挙げ、欧米的なブランドのつくり方を「スキのない完璧さ」と定義し、一方、日本的なブランドのつくりかたは「遊びのある余白」と定義しました。これらの例を考えると、「組織形態がブランドの形もつくる」のではないかと問題提起しました。
会社と個人のミッションを重ね合わせる。
次に、株式会社ガイアックスでブランドマネージャー(人事労務・広報PR・全社行事管掌)を行っている木村智浩の発表です。今回のテーマに沿って、発表くださいました。ガイアックスは99年に創業。オフィスには外部の人もおり、さらにリモートワークもOKとのことで、木村さん自身も家族で沖縄に短期移住していたこともあるそうです。また子会社はすでに2社、株式公開されています。組織はとても自由で、業務委託で仕事を行う人、ガイアックスだけでなく、別の会社で正社員になる社員もいます。
木村さんは、ブランディングをこう定義します。「人と人、組織を感情でつなぐこと」。ガイアックスはインナーもアウターもない状態。ホームページもブログが中心で、どこにいても情報を取得できる状態になっています。ガイアックスではミッションに関する研修がありますが、会社のミッションについては話さずに「あなたのミッションはなんですか?」と問いかけるそうです。
木村さんは会社と個人のミッションを重ね合わせることが組織では大切と話します。ただ個人でミッションを持っている人は現実少ないし、またそれをつくることは難しい。だからどんな生活をしていきたいのか。例えば「海外旅行には年◯行きたい」などそんなことでもいいと話します。
あまりに自由な組織のため、報酬はどうしているのか。ガイアックスでは一律の基本給。手当で差を出しているそうです。木村さんは「報酬は創造性のインセンティブにはならない」と話し、もっと報酬の欲しい人には、副業などを勧めることもあるそうです。
グループで議論しながら、木村さんご自身がファシリテーターになりながら、進めていきました。熱い議論が交わされました。
写真・文:BRAND THINKING編集部
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