経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

2017.02.28

CMという魔物。

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CMの効果とは何か。

CMが一般的に増えるのは、年末年始とGW、お盆。普段なら土日となります。つまり、時間があって、見る頻度が高い時期に増えるということです。

CMの投下には以下のように、大きく3つの概念があります。

1,GRP:のべ視聴率。CMを投下する番組すべての視聴率の合計値。

2,リーチ:1回そのCMを見る人が何人いるか。

3,フリクエンシー:複数回以上そのCMを見る人が何人いるか。

広告業界以外の人は完全に耳慣れない言葉ですが、CMの投下はほとんど1によって決められます。視聴率がいいゴールデンタイムに投下すれば放映回数は減りますし、深夜番組中心に投下すれば、回数は増えますが、1回あたりの2や3が減ります。そういう計算のもとに、予算も見ながら、CMの投下量は決められていきます。

さて、CMはやはり広告の王様です。値段も高いですし、影響力という面では絶大でしょう。もちろんある一定の予算があれば、という条件つきです。予算が中途半端なのにCMを行っても、誰にも認知されずに終わってしまいます。

そう、CMにはブランド論の骨格である、

認知
品質
ロイヤルティ
連想

のうち、主に認知を上げる役割において、大きな影響力を及ぼすのに、効率的なのです。もちろんここでいいCMをつくれば、それが品質や連想、はたまたロイヤルティにまで影響を及ぼせるかもしれません。

地方では、もちろん媒体枠は東京よりも安いわけですが、そのぶん、予算を投下できる企業も限られています。しかし、背伸びして、どうしてもCMをつくりたくなる会社もある。しかし、「本当はCMじゃなくてもっと他にやることあるんだけどなあ、例えば、パッケージとか、スローガンとか、店頭のプロモーションとか…」という企業が多いのは事実です。

そして中途半端な投下予算で、その効果検証も曖昧なまま、進んでしまう。こうすると、WINなのは代理店や媒体側だけになってしまいます。もちろんクライアントさんも納得しているので、この構図がクライアントさんにとって悪いわけではありませんが、ブランド論的な発想からすると、予算がもったいないわけです。

CMには「つくってみたい」「やってみたい」という魔力が潜んでいるようです。

 

誰でもつくれるようになったから、質が低下している。

これと同じことが今、動画にも起こっています。それこそiPhoneでも動画が簡単に撮影でき、パソコンで簡単に編集できる時代になりました。動画需要はますます上がるでしょう。

しかし起きているのは、HP制作が広がった15年前と同じ状況です。つまり、つくり手は増えた。値段も下がっている。だけど必然的に質もまた、相対的に低下していっています。最近は自治体でもプロモーション動画をつくっています。また採用説明会用に動画をつくる企業も増えています。ですが、お世辞にもいい動画だ、と言えるものは少ないと感じています。つくることそれ自体が目的化している場合が多いんですね。

CMの場合、媒体の力で一気に拡散しますが、自社HPや説明会などで使用するムービーの場合、影響力は限定的です。いわゆるネットで拡散することを「バズる」と言いますが、よほどのことがないかぎりバズりませんし、バズりを計算することは、難しいと言わざるを得ません。計画的にバズらせるには、やはりお金が必要です。

であれば、一番大切なのは、コントロールできることをしっかりコントロールすること。誰にその動画を届けたいのかというターゲット設定と、自分たちの強みをどう認識し、伝えていくのか。この基本こそ、動画では最も大切になります。そしてCMでも、同じく大事なことですね。

曖昧なターゲットに、曖昧な強みを届けることほど、それでも高いお金がかかる動画制作で無意味なことはありません。

CMや動画制作というと、つくり手のセンスの問題が論点になることが多いですが(もちろん大事な要素ですが)、その前に、ターゲットと強みの整理がなされているか。ここをしっかり決めないから、誰に何を伝えたいのかわからないCMや動画が多いのだと思います。逆にここをクリアするだけでも、輝くCMや動画になる可能性が高い。地方CMや多くのインターネット動画はここに問題点があります。センスが問われるのは、ここから先の話です。

誰でもつくれるようになった動画。だからこそ、これまでつくれなかった企業も、動画やCMをつくりたくなる衝動に駆られるのでしょうか。もちろんつくること自体に反対ではないし、私自身も、もともとCMをしこたまつくっていた人間として、うずくものはあります。つくるまえに一度立ち止まって、考える時間が、さらにそのCMや動画を磨くことになり、ブランドへの効果となって現れてくるのです。

 

文:BRAND THINKING編集長/むすび株式会社 代表取締役 深澤 了

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