母集団が減っても採用には無関係。
母集団を集めないと決めると一気に道が拓ける。
採用が本格化し、毎日説明会やイベントなどに忙殺されている採用担当者が多いことでしょう。ここから夏までは季節労働よろしく、日々採用に向き合っていかなければなりません。つまり、大局的に見て、大きな戦略を練る暇はなく、また採用担当者が少ない企業では、PDCAサイクルさえ回す余裕がなくなるはずです。現実的に、多くの企業では採用のPDCAは年に1回になっています。だからこそ、毎年採用できないスパイラルになってしまうのです。
採用の間違った信仰のひとつに「母集団」があります。○人採用したいから、と採用フローを遡って○人母集団を集める、と決めるのです。ナビ媒体が効き、その投下金額で集まる母集団がある程度予測できる時代には有効でしたが、そもそも大手や知名度のある企業を除いては、母集団さえ集めるのは難しくなりました。だからこそ、ダイレクトリクルーティングに各社躍起になり、イベントを主催する企業は数年前からバブルが到来しています。
採用ブランディング的な思考で言えば、母集団を集めるという発想を勇気を持って止めると、道がひらけてきます。正確には、採用ブランディングを行えば、母集団は気にならなくなります。理念や価値観に沿った人間を集めると決めれば、自社の説明会に来なかった人たちや途中での離脱はむしろ早期にミスマッチを防げたということで、お互いにプラスです。また、この母集団(正確には候補者群)信仰に異議を唱える動きも出てきました。横浜国立大学准教授の服部泰宏氏の「採用学」でもいたずらに母集団を集めることに対して、警鐘を鳴らしています。
私たちは、上記のような採用ブランディングを行った際、母集団にどのような変化が現れるかを調査したことがあります。結果、母集団は減るのではなく、むしろ微増するという傾向がわかりました。母集団を意識せず採用活動を行っても、結局母集団に変化はないのです。もちろん大幅に減らしたところも例外的にはあります。しかし、採用数は増えているという結果が出ました。調査したすべての企業で見られたのは、欲しい人の含有率の上昇。つまり母集団の「質」が入れ替わったのです。そして採用が効率的になっていきました。採用ブランディングは、採用時点だけではありません。辞めにくいという点でも、経営的に効率的です。
これまでの母集団を「捨てる」ことは勇気のいることです。しかし、採用領域にブランディングを活かすと、そこまで母集団に気をかけなくてもよくなります。母集団にこだわりすぎることがほぼ無意味であることがよくわかるはずです。
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