高いモノは、いい。は本当か?
高い知覚品質が、ブランドに及ぼす影響とは。
ブランド・エクイティの中に、「知覚品質」があります。知覚品質とは、文字通り、知覚できる品質のこと。品質の高低を表します。どんなにいいイメージを持たれていても、結局、そのブランドの知覚品質が良くなければ、リピートはされません。見落とされがちですが、ブランドの機能が高いことは、ベーシックな条件として非常に重要です。
しかし、中央大学ビジネススクール教授の田中洋は、こんな実験をして、自らの著書「企業を高めるブランド戦略」(2002/講談社現代新書)で紹介しています。
◎スキンケア化粧品を被験者グループに1週間使用してもらう。
◎2グループあり、1グループには高い知覚品質の情報(フランス製、高級など)を与え、もう1グループには低い知覚品質(漫画のイラスト、安っぽい文書など)を与えた。
◎実際には両グループとも与えた化粧品は同じ質のもの。機能的なベネフィットも違いがなかった。
以上でどのように被験者の印象が変わるかを実験しました。「使い心地」、「信頼できそう」、「満足」のいずれの項目も、その場の評価ではあまり変わりはなかったが、1週間後の評価は、高い知覚品質を与えたグループのほうが統計的に優位に高かったそうです。
「やっぱり高いモノは違うねえ」というセリフをよく聴きますが、これは人間の知覚的に十分ありえることだと言えます。これを田中氏は「高い知覚評価という情報が予め与えられていると、その情報はそのブランド製品を使っているうちに使用している感触や知覚に影響を与え、その近くの属性評価を高めていくとされる」と言及しています。
ここでは「高い知覚品質の情報」に関する実験ですが、知覚品質に限らず、予めいいイメージのあるブランドであれば、使用していくうちに、どんどん評価が高まっていく、ということも仮説として考えられます。
信頼性のある情報がある→買う→品質がいい(と感じる)→また買う。
リピートにはどうやら、こんな流れがありそうです。
高い知覚品質があるということは、原価も高く、それだけ売価も高価になりがちです。ブランド化するにあたって、高額商品や嗜好品のほうがやりやすいという現実は、上記のようなことも関わっているのかもしれません。
文:BRAND THINKING編集部
- 「◯◯ブランディング」というミスリード。
- 「この媒体ならブランディングできる」は大きな間違い。
- 89年続く牛乳石鹸に強みがないわけがない。
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